ウガンダでの体験−今も続くウガンダとのつながり

【写真】小島 理世さん(高知県出身)H23年度2次隊/ウガンダ/村落開発普及員
小島 理世さん(高知県出身)

青年海外協力隊として途上国で活動するのは2年間。しかし、ここ四国には現地での活動を終えて帰国した後も現地の人々とつながり、活動を続けている方がたくさんいます。高知県出身の小島理世さんもそのひとり。小島さんは東アフリカの赤道直下に位置するウガンダで、平成23年9月から村落開発普及員(現在はコミュニティ開発)という職種で活動されました。小島さんのウガンダでの活動のお話を伺います。

肥沃な大地と笑顔で暮らすバナナの国・ウガンダ

マトケ(食用バナナ )

ウガンダのごはん:蒸して潰したマトケを豆のスープにつけて食べる

私は、平成23年の9月から平成25年9月までの2年間、ウガンダのムベンデ県で活動を行いました。ウガンダは東アフリカの赤道直下に位置する国です。標高が高いため気候も穏やかで、雨季には雨もたくさん降ります。大地は肥沃で葉が青々と茂り「アフリカの真珠」とまで言われたウガンダ。人口の80%以上が農業で生計を立てています。

主な農作物は何と言ってもバナナ。甘いバナナだけではなく、マトケと言われる食用バナナを主食として食べます。年間消費量は世界一とまで言われ、バナナの国と言っても過言ではありません。食べ物が豊富なため、当初私がアフリカに抱いていた貧困、飢餓のイメージは吹っ飛びました。村では村人がお皿に溢れんばかりの食事を用意してくれ、いつも陽気で明るいウガンダ人がいました。

しかし、日本や国連も含めアメリカ、ドイツ、中国など様々な国や機関からの援助が入っているのも事実でした。ウガンダ人の中に援助依存の傾向や、自分たちは貧乏で何もできないという思いが心の底にあるように見られました。また、52の部族が存在するため部族間での劣等感や優越感もあり、嫉妬深い性格でもありました。これは、2年間彼らと一緒に活動を行い、生活したからこそ分かったことだと思います。

水の防衛隊として活動

井戸修理の様子修理工と一緒に長く使ってもらえる井戸を目指す

そんなウガンダで、私は村落開発普及員(水の防衛隊)として活動しました。主に地方給水と衛生状況の改善を住民と一緒に行いました。首都のカンパラから160km西に行ったムベンデ県の県庁に配属され、7つの村の井戸とそれぞれの井戸管理組合で活動しました。

ムベンデ県では、10年前のJICAのプロジェクトで深井戸が建設されました。しかし井戸が壊れた後、住民たちでは修理の方法が分からず、また修理資金がないため、放置されてしまうケースが散見されました。住民レベルまで井戸の運用方法が徹底されていないことが原因でした。私自身は井戸を直すスキルはありませんが、住民と一緒に井戸を長く使っていく方法を考えることはできます。修理工と住民をつなぎ、一緒に修理代金の捻出法を考え活動を行いました。

きれいな水を守るための野菜栽培−チニガ村

野菜試食会 白菜の塩もみが人気!

苗床に毎日水やりするモゼスさん(井戸管理組合メンバー)

住民たちで井戸の近くに白菜を植替え

手洗い啓発の活動

ムベンデ県チニガ村には、浅井戸が一つありましたが、故障していました。そのときは小規模な修理だったので、各世帯から約1か月間かけてお金を集め、修理を行うことができました。村長さんと井戸管理組合の頑張りのおかげです。しかし、修理代金をあらかじめ貯めておけば、代替水源であるため池を使う必要はありませんでした。そこで、井戸の水を使った野菜栽培による収入向上を提案しました。

最初に行ったのは、野菜を食べてみよう!というワークショップ。彼らが見たこともない白菜やホウレンソウを目の前で調理して試食会を行いました。同時に種の即売会も行いましたが、一瞬で売り切れるほどの人気ぶりでした。その後、同僚である農業担当職員による苗床作りのワークショップ、苗床作り、植替えと進んでいき、白菜とピーマンが順調に育ちました。その間も組合メンバーは、水汲みの合間に毎日の水やりを欠かさず行ってくれました。

村でのお葬式や雨などでワークショップや植替えの日が何度も延期になり、もう続かないかもと思ったこともありました。しかし最後には村の各家にもキッチンガーデンができており、村全体で野菜を育てる光景が見られました。組合が収穫した野菜は、月ごとの水料金を払っている家庭に配布されることに。こうして野菜を食べることで栄養価も上がり、集金率もあがることで井戸の修理費用も捻出できる、という結果が出ました。

良かったことは、チニガ村の人たちが自分たちはやればできるんだ!という想いを持てたことにあると思います。この村のことは県庁内でも、成功事例としてたびたび紹介しました。チニガ村にとっては成功体験を持てて、他の村にとっては自分たちもできるかもしれないというやる気のアップにつながります。そのように、成功の輪が広がっていけばと思い取り組んでいました。

井戸の運用支援以外にも、小学校での衛生コンテストの企画運営や妊産婦さんに対する衛生啓発を行いました。また更なる収入向上のためにクラフト(手工芸品)販売にも力を入れました。

雨水貯水タンクプロジェクト

稼働している別村の学校の雨水タンク

ため池 牛と一緒の水を飲んでいる現状が

水の入ったジェリカンを頭にのせて運ぶ子どもたち

任期が1年を迎える頃、郡の保健師である同僚と学校の水衛生調査に行く機会がありました。そこで初めて、幹線道路からバイクで約40分入ったところにある、ブシェニャ村を訪れました。村の唯一の小学校であるブシェニャ小学校は総生徒数が300人程度と小規模の学校でしたが、水衛生の状況は極端にひどいものでした。その学校には雨水タンクがありましたが、壊れて利用ができていませんでした。ここで日本のみなさんにとって、雨水タンクは馴染みがないと思うのでご紹介します。

日本にも家の屋根には樋がついていますが、ウガンダでも波型の薄い鉄板の屋根に樋がついて雨水を流すようにしています。その樋の先に大きな貯水タンクを設置し、その雨水を洗濯や料理、また飲料用としても使用します。雨水は水道水の次にきれいだといわれており、降水量が比較的豊富なウガンダにとって貴重な水源の一つです。

このブシェニャ小学校では、雨水タンクがあるものの壊れていたため、周囲に井戸もなくため池の水を使用せざるを得ない状況でした。このため池までは、歩いて約30分、往復で1時間近くかかります。この水汲みは子どもたちの仕事。つまり、授業時間を割いて水汲みを行うことが日常です。また、水をいれるジェリカンと呼ばれる容器を持ち帰ってくるのも一苦労。
ため池の水質も、藻が生えて明らかにきれいではありません。この汚い水をそのまま飲むことで、病気にかかることもあります。

この状況を知ったことは、水に関わる仕事をしていた私にとってショックな出来事でした。そして何かできることはないかと考え始めました。しかし、ただお金を出して修理をしたり雨水タンクをプレゼントしたりというのも、ウガンダ人の中に援助に寄りかかってしまう気持ちを作り上げてしまうのではと思い、いつまでも行動を起こせずにいました。

大ヒットしたぬいぐるみキーホルダー

制作中のムカンドリマーナさん一家

ぬいぐるみキーホルダー

ムカンドマリーナさんと

活動も残り半年に差し掛かった時、日ごろから良くしてくれていたブシェニャ村出身の郡の政治家の方と話をする機会があり、やはり水の問題は小学校だけではなく地域全体に関わっていることを知りました。そこで彼と一緒に村の家庭調査を行いました。結果は、やはり水やトイレの衛生状況も悪く、地区にもよりましたが下痢の症状を訴える人が多い状況でした。

その調査で出会ったのが、村人で家族と一緒に人形を作っているムカンドリマーナさん一家でした。その質の良さと丁寧な仕事に感動を覚えひらめいたのが、この人形を外国人向けに売れるようにすることで、この村の状況を少しでも改善できないだろうかということでした。早速話を持ちかけ、すぐに商品開発の日々が始まりました。そうして、この村に毎週通って少しずつ改良を重ね、活動の残り1か月の時に完成したのが、ぬいぐるみキーホルダーでした。

このぬいぐるみキーホルダーがお土産として大ヒット。売っては発注を繰り返し、そのたびに製品の質を上げていくムカンドリマーナさん一家。この家族には子どもが5人います。下の子は小学生で、上の子は高校生です。学費がかさみ大変な状況でしたが、ぬいぐるみの売上で、引き続き子どもたちは学校へ通うことができています。そして村への還元方法は、ぬいぐるみ販売を手助けする代わりに、売上の一部を村の雨水タンク設置のために使用するというものです。

しかし、2年間の任期に終わりが来ました。雨水タンクの設置までは、期間が足りず行うことができませんでした。しかし現在、このぬいぐるみと雨水タンクプロジェクトは、ウガンダにいる隊員が想いを引き継いでくれ、続いています。想いに共感してくれた人がいることを、本当に感謝しています。そして私自身も、JICA四国や前任校の先生方のサポートもあり、高知県や東京都で販売を続けています。この売り上げは雨水タンクプロジェクトに還元します。

今後の目標−楽しかった2年間の思い出とともに

ホイマ県にある天然温泉、といっても熱湯です。近所の子達とホカホカ〜の1枚

お隣の双子ちゃん。ウガンダで双子には必ずバビリエ、ナカトウと名付けます。裸で元気いっぱい!

隊員が日本に帰ることで続かなかった活動は、そこまでの活動だ、と言われることもあります。私が日本に帰ってくるときに、関わりを終わりにすることもできました。でも私が関わったウガンダ人が、いい素材はあるのに活かしきれず、今日も遠くまで水汲みに行って、病気の恐れのある水を飲んでいるのかと思うと胸が痛みました。「Water is life=水はいのち」という言葉を胸に刻みながら2年間の活動を行ってきました。誰かの役に立ちたいと思いながら中学生の時から夢見ていた青年海外協力隊。そこで活動して、日本に帰ってきた現在も彼らと一緒に、彼らのために活動できることは喜びでもあります。

今後の目標は、まずは雨水タンクの設置。その次は、日本人がいなくなっても彼ら自身でクラフトの販売を継続してもらうこと。これはムベンデ市内に、クラフトショップを立ち上げようとするダイアナさんのサポートを行ったことで実現しそうです。これからも、心の片隅には現在進行形のウガンダとウガンダ人、そこでがんばる日本人がいます。楽しかった2年間の思い出とともに、これからも様々な形でつながっていければいいなと考えています。