初めてづくしの2年間−ラオスでの出会いは一生の宝物

【写真】高橋 里佳さん(愛媛県出身)H23年度2次隊/ラオス/小学校教諭
高橋 里佳さん(愛媛県出身)

青年海外協力隊として派遣される隊員の中には、大学卒業後すぐに協力隊に参加するという方もいらっしゃいます。愛媛県出身の高橋 里佳さんは、教壇に立つのも海外での一人暮らしもラオスが初めてという初めてづくしの2年間。不安を感じていた時に出会った先生に助けられ、活発に活動できるようになったという高橋さんに、ラオスでの活動と帰国後の活動について伺いました。

ひとりの先生との出会い

2年間、ボランティアでラオス語を教えてくれた大学の先生と

私は大学を卒業した年の9月から青年海外協力隊に参加したので、教壇に立つのも海外での一人暮らしもラオスが初めてでした。1年目は自分の算数の指導技術やラオス語力に自信が無く、自分に何が出来るのか分からず、何も出来ない自分に焦りを感じていました。

私がラオスに赴任して6ヶ月経ったある日、ラオスの学校のお祭りでひとりの大学の先生と出会いました。その先生は日本に留学した経験のある英語の先生でした。彼は私に「何か困ったことがあったら私に言いなさい。私があなたにラオス語を教えるよ。そうすれば、きっとあなたはラオスでとても良い先生になれるよ。」と言ってくれました。それから1週間に1回大学の英語の先生の所にラオス語を勉強しに行くようになりました。その先生と出会ったことでラオス語で書いた書類などもすぐに手直しをしてもらえるようになり、安心感から活動を活発に行えるようになりました。

2年目からの活動

放課後の時間を利用して算数の楽しさを伝える

運動会で紅組が勝ち、勝利を喜ぶ子どもたち

研修会に参加した先生の笑顔

2年目は活動先の小学校の児童に図画工作指導をしたり、放課後補習では算数の楽しさを伝えるために数字の手遊び歌やビンゴゲーム、百マス計算などをしていました。また、同じ郡内に配属されている隊員と協力してラオスの子どもたちの計算力を高めるための問題集を作成し配属先の郡内の小学校に配布しました。そして活動の終盤に入った3月には日本から紅白帽子などを支援していただき運動会を実施しました。

ラオスの学校では雨季休みが3ヶ月あります。その時期を利用してラオス人の先生を対象としたワークショップで算数の指導方法を教えました。また、他のボランティアが活動する児童館に通う子どもたちを対象に、2泊3日のキャンプでダンスや歌、茶道、理科実験、スポーツなどを通して普段出来ないことをして、夏休みの思い出作りをしました。

ラオスで行ったことの全てが私にとって初めての経験でした。言葉の壁や文化の壁もあり不安や苦労もあったけれど、私にとってラオスでの経験は今後の私の人生でプラスになるとても良い経験だったと思います。また親元を離れ外国で一人暮らしをしていた私に、ラオスの人々はいつも優しく話しかけてくれました。ラオス人の友達や同僚など、私のラオスでの生活を支えてくれた人々との出会いは一生の宝物です。これからも手紙やメールなどを通して、ラオスの人との交流を続けていきたいです。

出前講座は私自身の学びの場

私はラオスから帰国後、愛媛県内の小・中学校、高等学校での出前講座を積極的に行っています。私は将来教育関係の仕事をしたいと考えています。そんな私にとって出前講座でいろんな学校に行くことが出来る今は、子どもの様子や先生の子どもたちとの関わり方などを見ることが出来る、絶好の機会となっています。

これからも、出前講座を通して私がラオスで見たこと・体験したことを積極的に伝えていきたいです。そしてたくさんの経験を積み、私自身も多くのことを学んでいきたいです。

今も続いているラオスとの繋がり

子どもたちが日本から支援してもらった文房具で楽しそうに絵を描く様子

日本の高校からいただいた兜をかぶり笑顔の子どもたち

私がラオスで活動中に、愛媛県立北条高等学校から文房具の支援をしてもらいました。それがきっかけで手紙や絵、工作などのやりとりなどを通して北条高等学校とラオスのバンクン小学校の交流が始まりました。以前はラオスの子どもたちは黒板に描かれた絵を写すだけで、自由に絵を描いたり色を塗ったりすることが苦手でした。しかし、文房具を支援してもらってからは、クレヨンや絵の具を使って色を塗ることを楽しめるようになりました。私は図画工作の授業の中で、出来るだけ子どもたちが自由に楽しく絵を描くことを大切にして指導をしていました。ラオスの子どもたちが笑顔で絵を描く姿を初めて見た時私は「日本から支援してもらって良かった。」と心から思いました。

そして私はラオスから帰国して北条高等学校に出前講座で行かせてもらいました。そこで、高校生のみなさんがスピーチコンテストなどの色々な場で、ラオスのことやラオスに文房具の支援をしたことを発表してくださっていると知りました。また、「これから私たちに出来ることはありませんか?」と言ってくれた生徒さんもいました。私はその事実を知った時、すごく驚きました。私がしてきた小さな活動が、こんなにも多くの人の心を動かしているとは、正直思っていませんでした。

私はラオスから日本に帰国しましたが、これからもラオスと日本が繋がっていくためのお手伝いを微力ながら続けていきたいです。

今、若い世代に伝えたいこと

キャンプで仲良くなった子どもたちと

とにかく夢中になれるものを見つけて、目標を持って努力してほしいです。私は小学校1年生の時から珠算をしており、高校2年生まで続けて頑張り目標であった1級に合格することが出来ました。私は珠算を長年続け、目標を達成したという経験から自分に自信が持てるようになり、何事にも前向きに努力できるようになりました。その経験があったからこそ、協力隊員生活の中でも積極的にいろんなことに挑戦し、どんな困難にも負けず前向きに最後までやり遂げることが出来たと思います。

皆さんもできるだけ早く自分が夢中になれるもの見つけ、目標を持って頑張ってください。そうすれば皆さんはきっと夢を叶えることが出来ると思います。