25年度 1次隊
今井 英里さん(愛媛県)
25年度6月にホンジュラスへ小学校教師として派遣されました。1年経った今、その現地の様子を教えていただきました。
ホンジュラスに着任し、早1年が経ちました。今、着任時を振り返ると、日本と異なる文化・言語にただ慣れるためだけに毎日が過ぎていたように感じます。中でも苦労したのが、水環境です。
私の住む地域には水の供給状況に格差があります。毎日水が出る家もあれば、一週間に1度30分ほどしか出ない家もあります。私が住んでいる家は、残念ながら、後者の水が乏しい家です。乾季になれば、その頻度は15日に1度30分という過酷な状況に至ります。ここでは、水の出る時間帯に「ピラ」と呼ばれる貯水場に水を貯めて、次の水配給まで凌いでいます。それでも、家族7人で生活するにはピラの水は3日もたず、水の無い日がほとんどです。
水道から出る水は黒ずんでいたり黄ばんでいたりと決して綺麗ではありませんし、ピラには犬の毛やほこり、虫の死骸、落ち葉が浮いています。ボウフラが湧いていることもしばしばです。酷い時にはネズミの死体が浮いています。しかし、どんなに汚くても与えられている水はその水だけです。中米独特のカラッとした暑さの中、ベトベトな体を綺麗にしたいという欲求はどうにもなりません。犬の毛、ほこりが混じった水でも、黒ずんだ水でも、黄ばんだ水でも、ボウフラが湧いていても汗が落とせればそれで十分と感じるのです。
水は生活に最低限必要なモノです。日本で生活していると、毎日、それこそ当たり前のように、綺麗な水を与え続けられます。そんな中で水の大切さに気付くことができるでしょうか。ここでの生活は心体ともにボロボロになるほどの苦労もありますが、このような「当たり前の有難さ」に気付かせてくれます。何かを有難いと感じることは、自分の価値の幅が広がることです。その体験こそが人格の成長であり、人生をより豊かにしてくれると思っています。
研修会の様子
■ラパス県算数研修会チームで月に1テーマ2会場で算数の研修会を行っています。この写真は研修会の内容をチームで確認し合っているところです。私の活動は、授業なり研修会なりを教えたり指導したりするのではなく、それらを「作り上げるプロセス」をホンジュラス人と一緒に行うというスタイルをとっています。
授業参観の様子
保護者が子どもの教育に興味を持ってもらえるように、ディオニシオ小学校本校、分校ともに今年から参観授業システムを導入しています。授業を参観してもらった後、担任の先生、保護者、校長、ボランティアで話し合いの場を設け、子どもたちがさらに学習を習得するにはどうすれば良いのかについて意見を出し合っています。先生も子どもも保護者も参観授業を気に入っています。
日本の子どもたちと絵を交換して異文化交流を行っています。今回の絵のお題は「自分の大切なもの」というテーマでした。日本の子どもたちは電車、鉄棒、ゲーム、キャラクター、サッカー等の絵を描き、ホンジュラスの子どもたちは山、鳥、蝶、花、家族、学校等の絵を描いていました。同じ子どもなのに大切なものが異なることに子どもたちは異文化を感じていました。
ホンジュラスに着任して1年経った今改めて、たくさんの気付きを与えてくれるこの協力隊の生活に感謝しています。