平成24年度JICA地方マスメディア派遣レポート−アフリカ・中東編−

2013年5月1日

平成24年度地方マスメディア派遣では、徳島新聞社にボツワナ・ザンビア(共同取材)・エジプトを取材していただきました。ボツワナでは、首都から920km離れた町での青年海外協力隊員の奮闘ぶりやプロジェクトを、ザンビアでは徳島の特定非営利活動法人「TICO」が携わる事業を、エジプトでは四国出身の専門家や協力隊員の活動現場を取材いただきました。この取材に同行した徳島県国際協力推進員から現地レポートをお届けします。

ボツワナ共和国−プロジェクト視察−

ヤトロファ試験栽培場の視察

関西国際空港から香港、香港から南アフリカ共和国のヨハネスブルグを経由し、ボツワナ共和国の首都ハボロネに到着。到着した日の午後、さっそく文科省とJICAの協力で2012年4月から始まったプロジェクト「ボツワナ乾燥冷害地域におけるヤトロファ・バイオエネルギー生産システム開発プロジェクト(地域規模課題対応国際科学協力技術協力)」を視察しました。

ヤトロファは中南米原産の落葉低木で、やせた土地でも生長が早く、かんばつや病気にも強い。種子は油分が豊富で、古くから植物性の燃料資源として着目されています。現在、鳥取大学グループを中心に理化学研究所、琉球大学グループがプロジェクトを展開しています。

ボツワナ政府は2020年までに国内ディーゼル油消費量の約10%にあたる量のバイオ・ディーゼル燃料の生産達成を目標としています。同プロジェクトは、地球温暖化対策の切り札として、植物性バイオディーゼル燃料の材料として注目を集めています。

ボツワナ共和国−ナミビア国境沿いの町で−

ひたすら良好な道を走る

「ようこそボツワナへ!」長旅の末、近藤隊員と固い握手をする藤長記者

水タンクを確認する近藤隊員を取材

近所の子供達と踊る近藤隊員(左端)

徳島県出身の近藤 豊隊員(職種:電気・電子設備)の任地・チャールズヒルはナミビア国境まで30分ほどの国境沿いの町。首都ハボロネからは片道920キロの行程でしたが、道路のコンディションが大変よく、苦痛を感じる事なく10時間ほどで任地のチャールズヒルへ到着しました。この間、同乗のJICAボツワナ支所の熊谷支所長より、同国におけるJICA活動現場の詳細を聞く事が出来ました。

近藤隊員は水供給公社に勤務し、住民に水を確実に供給するための活動を行っています。サバンナ気候に位置するこの地域では水は大変貴重です。同僚と共に毎日、町に点在する水タンクを巡回し、問題がないか、また水量は十分かなどを確認します。そこには近藤さんと同僚との確かな信頼関係がありました。

夕方、近藤隊員宅では、現地の子ども達との交流など活動外の時間を取材することができました。そこでは、近藤隊員が現地の人々の暮らしに溶け込み、現地の人々とともに生活している様子を垣間見ることができました。

ダイヤモンドを算出する豊かな国・ボツワナは、教育や福祉を充実させることに力を注いだといいます。その国の政策が、首都から約千kmも離れた辺境の町でも効果となって表れていると感じました。国境沿いの町でも主要道路以外の道もきれいに舗装されており、治安も良く、富が人々にうまく分配されているように感じました。

 

ザンビア共和国−TICOの活動−

ンゴンベ・コミュニティースクールの教室を見学(左から副校長先生、TICOの田村さん、瀬戸口さん)

成人対象クラス(商品加工・販売、洋裁、栄養)

ネットボールやサッカーをする生徒達。後ろは新設されたンコンジェ・コミュニティスクール 

徳島についてのミニ出前講座で阿波踊りを披露

チャールズヒルから首都ハボロネに戻り、ボツワナでの日程は終了。次の訪問国・ザンビアの首都ルサカへ。

徳島の特定非営利活動法人TICO(徳島で国際協力を考える会)は、ザンビアで様々な国際協力活動を実施しています。首都ルサカには現地事務所があり日本人スタッフも常駐しています。取材先のンゴンベ地区コミュニティスクール及びンゴンベ・コンパウンドでは、TICOが開始した事業が、学校運営を含め現地の人々によりしっかりと継続され、地域コミュニティで自立発展している様子を見る事ができました。外国からの支援終了後、継続が難しいプロジェクトも多い中、現地の人々が同スクールを愛し大切にしている様子がひしひしと伝わってきました。

JICA草の根技術協力事業「チボンボ郡地域住民が支える安全な妊娠・出産の支援事業」では、TICOが建設した同地域の妊婦が出産まで宿泊・待機し衛生的に出産できる施設「お産を待つ家」及びヘルスポスト(コミュニティレベルで住民に保健医療サービスを提供する施設)を見学し、関係者に聴き取り取材を行いました。

またモンボシ地区郊外のンコンジェ・コミュニティスクールでは、TICOは香川県の公益社団法人セカンドハンドの協力を得て校舎建設を行っています。同校での取材も通し、TICOの農村部における教育面や医療面での包括的な協力活動を知る事ができました。TICOさんの紹介によりモンボシ・ベーシックスクールで、徳島新聞記者の藤長記者と私で徳島県観光国際局国際戦略課から譲り受けた英文紹介ビデオや、徳島県立城南高等学校・スーパーサイエンスハイスクールの生徒さんが作成した理科の実験ビデオレターを上映し、短い出前講座を行いました。また阿波踊りを披露すると踊り好きの生徒達は即座に反応。にぎやかな時間となりました。

ザンビア共和国−KAIZEN大会−

日本発の生産性の向上活動「カイゼン(KAIZEN)」は、いまや世界共通語となっていますが、TICOが支援するSMAG(妊産婦保健に関する住民組織)メンバーが、ザンビア政府開発局主催の「第4回KAIZEN全国大会」に出場し事例発表をすることになり、ルサカで一番大きい会議場で大会を見学しました。次の訪問国エジプトでもKAIZENをキーワードにした視察場所がいくつもあり、KAIZENの大切さと世界での浸透ぶりを改めて実感しました。

 

エジプト・アラブ共和国−奮闘する隊員を取材−

荒川隊員の通勤路

荒川さん活動先取材

3カ国目の訪問国はエジプト。
「アラブの春」から2年、訪問した時期はちょうどエジプト革命記念日の時期と重なり、情勢は不安定な状況でしたが、首都カイロは一見平穏な様子に見えました。しかし独特の緊張感がある中、徳島出身の荒川 千尋隊員(職種:青少年活動)を取材しました。

荒川隊員は着任して1年。JICAエジプト事務所の安全指導は徹底されているものの、政情が不安定な状況が続くカイロでは大変な目にあうこともしばしばあると言います。それでも、地下鉄を乗り継いで配属先に通い、市場で果物を買い、良く行くレストランで食事をしたり、エジプトでの普段の生活の様子を紹介してくれました。

荒川隊員は何らかの理由で公共の学校に通えない子どものための現地NGOが運営する教育施設ベント・ダルエルサラームで、英語や美術、音楽をアラビア語で教えています。難解なアラビア語に奮闘しつつ頑張る姿が頼もしく映りました。

エジプト・アラブ共和国−プロジェクト視察(1)−

E-Justキャンパスの一部

日本の技術協力プロジェクトとして、地中海に面するエジプト第2の都市アレキサンドリアに既存の国立・私立大学とは全く異なる、日本型の工学教育の特徴を生かした国立大学「日・エジプト科学技術大学(E-Just)」をエジプト政府の要請により新設中です。日本からの高価な機材の中には、徳島の日亜化学工業株式会社へ特別注文したものもありました。

エジプト・アラブ共和国−プロジェクト視察(2)−

ボルグ空港にて山田氏(愛媛県出身)に取材

右から2番目が橋梁専門家の大川氏(香川県出身)

ボルグ・エル・アラブ国際空港は、アレキサンドリア市の南西約40キロに位置し、国内線のほか、中東、欧州とエジプトを結ぶ便が乗り入れています。

周辺地域の観光業、農業、石油化学などの産業発展に伴い、今後空港利用者の大幅な増加が見込まれるため、円借款事業により、ターミナルビルが新設されるほか、誘導路など関連施設も整備され、株式会社日本空港コンサルタンツ(設計・施工管理業務)と成田国際空港株式会社(空港のマネジメント)の協力のもと、(1)空港の管理・運営・保守、(2)空港経営、(3)スタッフ育成、(4)マーケティング、(5)開港準備など運営面での支援も実施しています。

空港長に表敬した後、空港内を見学。株式会社 日本空港コンサルタンツの山田 慶蔵さん(愛媛県出身)への取材を行いました。山田さんは阿波踊り空港を含む、四国内の空港の建設にも携わってこられたとの事で、ここでも四国出身者の活躍を知ることができました。

また今回、香川県出身の大川 宗男JICA専門家ともお会いしました。大川さんは現在エジプトの橋梁プロジェクトに協力されていますが、四国内の橋梁建設にも携わられた方で、四国での仕事の話や現在のエジプトでのプロジェクトの話をお伺いしました。

エジプト・アラブ共和国−プロジェクト視察(3)−

大エジプト博物館建設現場にて

大エジプト博物館保存修復センターでは、ピラミッドからの遺品や、パピルスの修復に和紙が使われていると聞き、その現場を見せていただくことができました。
徳島の和紙は使用されていないようですが、和紙の原料のこうぞは、徳島のものが使われている可能性有りとのことでした。また土佐典具帖紙や美濃紙は現在使われているようです。また同センターでは、和紙の保存修復に携わるJICA短期ボランティアの要請が上げられています。

 

おわりに

3カ国、16日間におよぶ長い取材期間でしたが、その内容は徳島新聞朝刊に大型連載されています。現地取材ならではの各国の様子、国際協力に携わる人々や活動現場、日本、四国とのつながりが力強く生き生きと伝わってきます。
ぜひ各項目の関連リンクの記事をご覧ください。

今回のJICA地方マスメディア派遣に際して、取材へのご協力および、お力添えいただいたすべてのみなさまに感謝いたします。どうもありがとうございました。