高知ファイティングドッグスの駒田徳広監督がパラオで野球指導を行いました!

2017年1月6日

 現役時代には「満塁男」と呼ばれ、通算2006本のヒットを記録し、現在は四国アイランドリーグの高知ファイティングドッグス(以下、高知FD)で監督を務める駒田徳広監督が12月5日から8日までパラオへ野球指導のため訪問しました。
訪問中には小学校3校を訪れ、現地で活動する大庭良介隊員と共に野球教室を開き最終日にはパラオ代表と交流試合を開催しパラオのメディアでも大きく報道されました。

太平洋に浮かぶヤキュウ王国?

内海と外海の風景。内海には波が立たない 

野球をする子ども達

 パラオは人口約2万4000人からなる小さな島国で、1914年から1945年までの間日本の統治下にありました。現地を訪れてみると「ダイジョーブ」「オキャク(お客)」「ゼンザイ」など日本語が残っており、その数はなんと800を超えるそう。非常に親日的で街を歩いていても「こんにちは」とにこやかに声をかけてくれる人も多くいました。
野球も日本がパラオに伝えました。1925年ごろ「コウノ モトジ」さんが教えたそうでパラオでは「baseball」ではなく「ヤキュウ」と呼び、街の中心部には日本人が建設した「アサヒ球場」があります。現在も野球は国技であり、国民の中にも広く根付いています。
 しかし最近はバスケットボールで人気を二分しています。その背景としてバスケットゴール一つとボールが一つあればできるバスケットボールに対し、野球はバットやグローブといった用具や安全で広い場所の確保が必要なことと、バスケットボールより多くのプレーヤーがいないとできないことにあるようです。
偶然空き地で野球をしていた子どもたちに出会いました。一つのバットと一つのグローブを分け合い、ボールはテニスボールを使って遊んでいました。「本当は3つベースがないといけないけど場所がないから、ベースを一つにしてやってるんだよ」と工夫して遊んでいることを教えてくれました。

「日本からの元プロ野球選手が来た!」

大庭良介隊員 

「シュッ」と肩甲骨を寄せる運動

「もっと早くー!」との掛け声でみんな一生懸命

同時通訳をこなす大庭隊員  

「はい、パラオー!」

 滞在中には3つの小学校を訪問しました。どの学校にも制服があり、教室は学年ごとに分けられていました。机も子どもの成長に合わせて高さが変わっていたり、靴を入り口で脱いでいたりと清潔で整備されているという印象を受けました。話を聞くとタブレットを導入している学校もあるそうでICTの普及が進んでいる一面が見えました。

 初めに訪問したペリリュー小学校では大きな広場があり私達が到着すると子ども達は裸足で駆け回っていました。
海外からのこのような野球指導はもちろん初めてで「日本からプロ野球選手だった人が来るんでしょ」と授業の前からグローブを手に持ち待ちきれない様子の子どももいました。

 始業のベルがなり子ども達がグラウンドに集まると、大庭隊員の通訳のもと、いよいよ駒田監督の野球教室が始まりました。(ウォーミングアップ、キャッチボール、バッティング、守備の順です。)
まずはストレッチとウォーミングアップ。「こうやって、シュッとね!」と言って見せると子ども達も「シュッ!」と真似ながら笑顔がこぼれます。駒田監督は誰よりも大きな動作で声を出しながら子ども達を引っ張っていきます。
キャッチボールを始めると意外にもみんな上手で駒田監督からも「いいね!」の声。女の子もソフトボールをしている子も多いそうで5m程離れた相手に難なくボールを投げていました。

 バッティングの練習ではまずは駒田監督が見本を見せてくれることになりました。「あのフェンスの向こうくらいかな」と堂々のホームラン宣言。全員の視線が集中する中、一球目。パーンと打ったその打球はまさにテレビを観ているような綺麗な放物線を描いてすんなりとフェンスを越えていきました。続くのは運動場中に響く子ども達の驚きと羨望の大喝采。
その後の練習では、みんながフェンス越えを目標にバットを振りました。
 野球教室の最後には駒田監督が「野球は楽しい。だからみんなももっと野球を楽しんで、もっともっと野球を好きになってほしい」と野球教室の中で伝えたかった想いを口にしました。生徒達も「バッティングが楽しかった。もっと練習したい。」と声を弾ませていました。

パラオ代表 VS JAPAL

開会セレモニーの様子

駒田監督も試合に参戦!

 滞在の最終日にはパラオ代表チームと、駒田監督、高知FDの選手4名、パラオ在住日本人から成る「JAPAL」チームの交流戦を開催しました。

 実は交流試合開催まで二つの問題を抱えていました。
 一つ目はグラウンドのコンディション。乾季に入ったばかりのパラオは天気が不安定で滞在中も毎日雨が降っていました。前日訪れたグラウンドは足を踏み込むと地面にぐっと沈み走ることもおぼつかない状態でした。
 二つ目は選手が集まるか。普段からあまり練習をしないというパラオ代表。試合はするけど練習はしないという気質だそうで大庭隊員も頭を悩ましていました。大庭隊員が口を酸っぱくして「日本のプロ野球団が来るから練習しよう!」と声をかけても感謝祭後は一回も全員での練習はなかったそうです。加えて雨が降ると練習や試合には来ないので、実は前日に行う予定だった代表との練習もキャンセルになっていました。
試合は本当にできるのか、当日まで不安な気持ちが途絶えることはありませんでした。

 試合が始まる1時間前。アサヒ球場に足を運ぶと、練習するパラオ選手がウォーミングアップをする姿が。18人の選手が集まり大庭隊員も思わず安堵の表情。
グラウンドも当日はほとんど雨も降らず、大庭隊員が綺麗にならしてくれていました。
会場もパラオ人や現地在住の日本人、そして中には台湾のユニフォームを着た人やグアムから来たという人までたくさんの人で観客席が埋まりました。

 レイ(歓迎の意を表す貝殻でできた装飾品)と高知FDのキャップが開会セレモニーで交され、いよいよプレイボール。
初回、一番打席はパラオの小学校にも通っていた銀次郎選手。銀次郎選手がセンター前ヒットを打つとJAPALチームは勢いづき、一気に一回で5点を挙げました。
 先発の岡部俊太選手が一球目を投げると、その伸びのある速球に会場がどよめきました。一回を三者凡退に終え、その後も力を見せつけ3回を無失点に抑えました。後に観客の何名かに試合の印象を聞くと口を揃えて「岡部選手の投球。素晴らしい」と答えました。
最後は追い上げられたものの試合は6対5でJAPALチームが逃げ切りました。
最後には観客の人も含め全員で写真撮影を行い、足を運んだ全ての人の心に残る試合となりました。

今後のパラオ野球に期待を込めて

 野球教室でプロの野球を体験し「楽しい!もっと練習したい!」と言う子どもたちや、交流試合でファールボールを拾って「これで練習したらきっと上手くなるんだ」と嬉しそうにはにかむ子ども達がいました。東京オリンピックで正式種目として復活した野球ですが、駒田監督の訪問できらりと光る夢を見つけたパラオの子ども達が、夢を目標に変えていつかパラオの代表としてオリンピックや、そして日本のプロ野球で活躍するような選手へと成長することを期待しています。