第71回日本消化器外科学会総会の特別企画にてケニア派遣中の青年海外協力隊が講演

2016年7月25日

【画像】 7月14日徳島市で開催された第71回日本消化器外科学会総会での特別企画8「発展途上国やへき地における医療支援」において、現在ケニアで青年海外協力隊員として活動中の保健師 山脇由紀子さんが登壇。山脇隊員は「ケニアから風に立つライオン便り〜保健師から見る地域医療と国際協力〜」と題し、ケニアの医療事情や現在の活動について発表しました。

 その他、現在途上国や地域医療で精力的に活躍されている次の方々も発表を行いました。
・川原 尚行先生(NPO法人ロシナンテス 理事長)
・平島 修先生(医療法人徳洲会奄美ブロック総合診療研修センター、名瀬徳洲会病院)
・吉岡 秀人先生(特定非営利活動法人ジャパンハート代表)
また特別ゲストとして、歌手のさだ まさしさんも登壇されました。

山脇隊員の発表

【画像】 山脇隊員は、国際協力を志すきっかけが、中学生のころに同じ世代の途上国の子どもたちが教育や医療を十分に受けられないことに衝撃を受けたことだったと語り始めました。そして志はあるものの周囲からの理解が得られず挫折しそうになった時、背中を押してくださったのが川原先生とさだまさしさんの存在でした。大学時代に川原先生の講演を聞き、さだまさしさんの歌に出会い、改めて世界を舞台に活動したいと強く決意し、青年海外協力隊に参加しました。

 現在活動しているケニアの現状として、一世帯に子ども5,6人は当たり前で、特に医療は都市部に集中し、地方の村には慢性的な医者不足の状態であることを紹介。活動拠点には15の診療所があるが医者は1人だけしかおらず、山脇隊員は27もの地区を時にはオフロードバイクに乗りながら巡回し、医療機関と地域との連携、住民の意識向上、マネジメント強化などに取り組んでいます。
任地に住んでいる日本人は山脇隊員たった1人であり、どこで何を買っていたかまで知られてしまう点が時々不便だと感じると率直な思いも語りましたが、発表の中で紹介された生活の一場面や現地の子どもたちの写真は印象深く、参加者の方々は熱心に見ていました。

 また、今年8月27、28日には日本の呼びかけで始まったTICAD VI(第6回アフリカ開発会議) が、初めてアフリカ大陸のケニアで開催されることを紹介しました。アフリカ開発に対する日本の貢献をアフリカから発信し、世界中に認識してもらう機会となることが期待されています。

 山脇隊員はケニアでの活動で感じたこととして、今後コメディカル(医師以外の医療従事者)の重要性が高まってくると訴えました。看護師・保健師をはじめとするコメディカルは患者の一番近くにおり、常に会話をしながら患者のことを一番よく知る存在であると考え、地域に根差した活動ができると感じているためです。加えて山脇さん自身、日本で働いていた時よりも生き生きと仕事ができていることを実感しているとのことでした。

 発表後、さださんからの「ケニアの地方で、それも女性一人で頑張るのは大変ではないか。」という質問に、「話を聞いてくれないなど大変なこともあるが、時々バトルをしながら、思ったことをぶつけ合うこともある。」と回答。さださんは、「後の人に道を開くために必要な素晴らしい仕事。体に気を付けて頑張ってください。」と声を掛けられました。

各講師の発表

 ロシナンテスの川原先生は、アフリカ、スーダンでの活動の成果として診療所建設、給水所、学校、電気の整備を挙げ、今後は巡回診療を行うスタッフのトレーニングをするなど活動の広がりについて報告。
 ジャパンハートの吉岡先生は、これまでのミャンマー、カンボジア、ラオスでの医療協力の歩みと、現在は日本から医療従事者に休暇を活用し短期派遣で来てもらい協力等を行っていること、これからはネットワークを広げていきたいとの展望を発表されました。
 鹿児島県奄美群島で総合診療医として勤務されている平島先生は、離島での仕事は地元と仕事が近いと語り、「手当の心」が何よりも必要になってくると熱く語られました。
 加えて、徳島県吉野川市で地域の診療とザンビア支援を行っているTICOの吉田修先生も会場に駆けつけ、アフリカ ザンビアでのJICA草の根技術協力事業をはじめ、ご自身の活動について紹介されました。

トークセッション

 各自の発表後には講演者全員が再登壇しトークセッションを行いました。山脇隊員が訴えたコメディカルの重要性の観点から話が広がり、地域医療、途上国での医療協力を含めたすべての医療には、チームとして動くことが大切であるとの共通の認識を確認しました。また、現在は各団体が別々に国際協力を行っている状態ですが、今後は医療分野で国際協力の横のつながりを広げていく必要性を熱く訴えました。
 さだまさしさんは昨年8月に(一財)風に立つライオン基金を設立され、ガラス張りの国際協力(見える国際協力)や地域医療支援のプラットフォームとなることを目的に活動を始められています。アフリカで活動している先生方からはTICAD VIで開催予定であるアフリカ医療関係者のネットワーク構築会議のために、同基金からの協力を求められ、さださんがその場で快諾されるといううれしい発表もありました。

さださんによるミニコンサート

【画像】 全てのセッション終了後は、さだまさしさんのミニコンサートが行われました。ギターの弾き語りで3曲披露し、最後の1曲はケニアで医療支援に携わる実在の医師をモデルに制作された「風に立つライオン」で締めくくりました。大盛況の中、特別企画は終了しました。