JICAボランティア ソロモン日記(26)

2019年6月14日

シニア海外ボランティア・太田 和子(野菜栽培)

2017年度2次隊、野菜栽培で派遣されているシニアボランティアの太田和子です。ソロモンの首都ホニアラの東にある「カスタムガーデンアソシエイション(KGA)」という有機農業を普及しているNGOで働いています。

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カスタムガーデンの入り口

KGAは1995~1999年にオーストラリアのNGOがソロモンで行ったカスタムガーデンプロジェクトがもとになって、2000~2003年にソロモンのNGOとしてカスタムガーデンアソシエイション(KGA)とプラントマテリアルネットワーク(PMN)ができました。KGAは主に農家への農業関連トレーニング、PMNは会員農家への種子や苗などの普及を行っていて、今は一体で活動しています。

私はここで主に農薬や化学肥料を使わない有機農業技術の開発に取り組んでいます。野菜栽培といっても日本とは環境が違い、一年中30度くらいで、雨が降ると激しく、晴天が続くと強い日射ですぐに乾燥してしまう、野菜にはかなり厳しい環境です。冬がないことで病気や害虫も多いです。KGAは20年の歴史があり、農家の経験の中から有機農業技術も蓄積されていて、学ぶことも多いです。初めに世話したトマトが次々と病気で枯れてしまい、まずはトマトの病害虫について調べることから始めました。トマトを栽培していると、高温障害で花がちゃんと咲かない、実がならない株もあり、病気に強く、実をたくさんつけるような熱帯に適した品種を栽培していくことが必要と思いました。今は初めに栽培していたトマトの子どもや孫の世代を育て、良い系統を選んでいます。

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実がなったトマト

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子世代のトマトの果実

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孫世代のトマト畑

また、病害虫防除の面では、ピーマンのコナジラミという害虫をニームの葉の抽出液で防ぐ実験を行っています。また、こちらの農家は街まで遠かったり、現金収入が少なかったりで、簡単には肥料を買えないので、コンポストの作成やマメ科植物の利用などに取り組んでいます。

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ピーマンのコナジラミ

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ニームの抽出液を作っているところ

KGAの大きな仕事として、農家に有機農業技術を教えるトレーニングがあります。昨年から今年の2年間は、FAO(Food and Agriculture Organization of the United Nations:国連食糧農業機関)のプロジェクト「農民と農民グループの生産と農場経営を改善する能力の向上」を請け負っていて、ガダルカナル、マライタ、テモツ州の農民グループや学校で、苗生産や病害虫管理のトレーニングを行っています。また、今年からはCTA(Technical Centre for Agricultural and Rural Cooperation ACP-EU)というEUが援助する農業関係の機関からの基金がもらえて、イモ類などの地方品種の保存圃場を作り、種苗保存のトレーニングをガダルカナル、マライタ、ウェスタン州で行っています。カスタムガーデンでトレーニングが行われるときは、私は写真係になったり、食事つくりの手伝いをしたりしています。また、アンケート調査の集計を手伝っています。

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FAOのトレーニング

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CTAのトレーニング

その他の活動として、カスタムガーデンの地図を作り、更新しています。また、図書室の整備や虫よけスプレーの開発をしています。日本食を時々作って紹介をしていますが、ソロモンの標準の台所は薪で火を焚くので、まず火をつけるのが大変で、暑いのと火加減が難しく苦労しています。

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豚汁

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チキンカレー

反対にソロモンの食事もご馳走になっています。普通の日は、青菜とラーメンの煮物が多いですが、会議の日とかクリスマスの時は同僚がすごいご馳走を作ってくれました。

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普段の昼食

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クリスマスバージョンのキャッサバプディング

農業の技術開発には時間がかかり、残り少ない任期でどこまでできるかわかりませんが、何か役に立つものが残せたらいいなあと思っています。