2019年7月16日
青年海外協力隊・大滝 咲美(作業療法士)
こんにちは、2017年度2次隊、作業療法士として派遣されている大滝です。配属先は首都ホニアラ市役所のCBR(Community Based Rehabilitation 地域に基づくリハビリテーション)課です。CBR課は障害者の訪問看護・リハビリテーションや患者・家族教育、福祉用具の提供、発達検診での障害や発達遅滞のスクリーニング、各種障害者イベントの企画・運営など、幅広く障害者支援全般を担っている部署です。日本ではリハビリ職や介護士、看護士、保健師、社会福祉士、ケアマネージャーなどで役割分担されている幅広い分野ですが、人的資源の少ないソロモンではCBRワーカーがそのすべてを行わなければなりません。
現在ホニアラ市内には約500名の障害者が登録されています。もちろん自立し社会参加されている方も多くいますが、まだまだ医療的・物理的・社会的支援が必要な人もたくさんいます。ソロモンは決して障害者にとって住みやすい環境であるとはいえません。
派遣当初から1年ほどはカウンターパートとともに、ホニアラ市内の患者宅やクリニック、特別支援学校などを訪問しながら、スタッフや実習に来た学生の教育、技術移転、業務の効率化などを行っていました。しかし、カウンターパートの辞職があり、現在は保健省内にあるナショナルオフィスでの活動にシフトしています。
現在の主な活動内容は、障害者宅やクリニックへの訪問をしながら、職場内の各種業務のマニュアル作りや書類の効率化、データ管理のためのフォーマット作り、CBRワーカーの教育(主にリハビリの知識や技術面)支援を行っています。
また、ソロモン国内に作業療法士として働いている人材がいないため、週に1回国立病院を訪問し、外来患者さんを中心に作業療法を行っています。CBRワーカーや理学療法士が参加する勉強会を通して、作業療法士の考え方や、知識・技術などの共有・伝達も行っています。
加えて、今年度より小学校での“障がい”についての啓発活動を開始しました。ソロモンでは、障害者や患者さんに対する家族のサポートがとても手厚い反面、コミュニティの中では障害者を笑ったり、家の中にかくまっていたりという差別がまだ根強く残っています。また、障害のある方はなかなか職場や学校などで受け入れてもらえないという現実があります。そこで、CBRワーカーと協力し、小学校での障がいについての啓発活動や車椅子・視覚障害者体験などを計画・実施しています。少しでもソロモンに住む障害者を取り巻く人的な環境が整い、住みやすい国になればいいなと思います。