JICAボランティア ソロモン日記(30)

2019年8月15日

青年海外協力隊・角田 紘世(障害児・者支援)

初めまして。私は障害児者支援の隊員として、昨年1月からソロモン諸島の首都ホニアラの特別支援学校(Special Development Centre)に配属され、障害児の教育やリハビリテーションに携わっています。日本では病院で作業療法士として働き、発達障害を持った方のリハビリテーションをしていました。

今回は、ソロモンの障害児教育や福祉について少し紹介したいと思います。

ソロモンには特別支援学校が私の配属先の1校しかありません。生徒は全部で約100名で、聴覚障害や視覚障害、知的障害や脳性麻痺などの様々な障害を持った生徒が通っています。日本のように、聴覚障害者に対する学校、視覚障害者に対する学校…のように障害別で分かれていません。

この学校には、通常の教員以外に手話を教える先生や点字を教える先生がいて、それぞれの障害を持った子供に対してそれぞれに教育を提供しています。私の担当するクラスは肢体不自由の子供のためのクラスで、一日平均3~4名の生徒が週3回グループ活動を行ったりリハビリテーションを受けに来ます。

ソロモンで唯一の特別支援学校なのに、来ている子供がとても少ないと思いませんか?

障害を持った子供のなかには、普通の学校に通っている子供も少しはいます。しかし、ソロモンでは障害を持った子供は学校に通わず、家でずっと過ごしている現状が多くあります。特別支援学校自体が1つしかないことも大きな理由ですが、道路や交通事情が整っていないため特別支援学校の近くに住んでるにも関わらず来ることができない子供もいます。

私の配属先の学校では、そのような子供に対して各家庭に訪問教育を行っています。様々な事情があり頻繁には行けませんが、時折訪ねるとみんな笑顔で楽しそうに勉強をしたり活動に取り組んでくれます。その姿を見ると、子供たちは本当は学校に行きたいんだろうなと感じます。私が活動していく中で気づいたことは、ソロモンではなかなか障害を持った子供が教育を受けるといった概念自体が根付いていないように思います。ソロモンに義務教育がなく健常の子供でも学校に行っていない状況ですので、障害児となるとさらに難しいと思います。すぐにこの状況を変えることは難しいですし、私がボランティアでやっていることは本当に小さな小さなことですが、障害を持っていても教育を受けることが当たり前のことになるように、少しでも貢献できたらと思います。

【画像】

筆者の担当のクラスに通う生徒