JICAボランティア ソロモン日記(33)

2019年10月1日

シニア海外ボランティア・伊藤 亨(医療機器)

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通勤風景
トラックの荷台よりKonbanha!!Oyasuminasai!!

こんにちは。ソロモン諸島国首都ホニアラにて医療機器メンテナンス活動を行っている2017年3次隊シニアボランティア伊藤が投稿致します。
まず、ここに2018年1月赴任後感じたことはソロモンアイランダー(ソロモン人のこと)はとても親切で陽気であり、また高齢者に対して畏敬の念を抱いているということである。(私もおかげさまでその恩恵に与っている一人である)毎朝40分自宅より職場まで歩いているが老若男女問わず「モーニング、モーニング、ボス(ボス:目上の人)」と満面の笑顔で挨拶してくれる。
これが私の心地良い一日の始まりであり、びっくりするのは突然朝から「こんばんは」と日本語で声をかけられると返答に困る時がある。多くのソロモンアイランダーは「日本はお金だけの支援ではなく教育、技術、医療、インフラ整備等様々面で支援してくれている」と言ってくれる。
これはこれ迄日本がこの国でJICAボランテアだけではなく様々な活動を通して成果を挙げ、両国間の信頼関係を構築した諸先輩達に対する感謝の言葉と感じる。
そういう意味でソロモンアイランダーとの触れ合いを通しての活動には喜びを感じて止まない。

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病院風景

私の勤務するここ国立中央病院(National referral hospital:NRH)はもともと第二次世界大戦中アメリカが建設した野戦病院であり地元ではNo.9(ナンバーナイン)と呼ばれ親しまれている。1993年に台湾当局の支援を受け大幅に拡張され現在、病床数 約300床、医師数約50人規模の病院である。
ミッション系3病院を含めソロモン全島12国立病院が存在するが現在医療器メンテナンス担当はここNo.9にしかおらずおよそ1,600台の医療機器を私も含め3名で管理している。
この5月以降、内視鏡センター新設、内科病棟増設、最新鋭超音波エコー導入、そしてペースは鈍いがCTスキャン導入計画の具体化など最新鋭設備を備えた病院としてソロモン諸島国の医療に貢献している。

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エコー本体、自分の腹部異常なし

さて、ここNO.9に配属されて早や1年半経過、日本では医療機器メーカに勤務し、呼吸、循環分野(部位で言えば肺と心臓)で医療機関で使用する検査器、治療器(心電計、ポリグラフ、人工呼吸器)などを医師、ナース、検査技士、メディカルエンジニアに対し操作説明、及びメンテナンス経験があり、こちらでも当然その類の医療機器フォローに期待?していたわけだが。
比率でいうと圧倒的に院内の電気設備(自家発電機、滅菌装置、レントゲンシステムなどの大型機)のメンテナンスに日々奮闘している。
これまでに一番冷や汗をかいたのは緊急対応が要求される手術中の器機障害、多くの患者さんが撮影待ちのレントゲン機器対応だったが、無事終了した時はほっとした。
多くの現場スタッフ、患者さんからtangio tumas!(大変ありがとうの意ーソロモンで使用されているピジン語)と感謝の言葉をいただいた時は活動に対する生きがいを感じた。
現在問題なのは修理部品の調達に時間がかかりすぐに修理完了とならず、あっという間に倉庫は満杯となってしまうことである。

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修理待ち(部品待ち)機器

現在、修理と並行して機器の在庫管理も行っているが台帳にあるはずの機器が行方不明だったり、資産番号の重複登録、購入機器と寄贈機器の区別化がなされてなかったり1,600余りの機器を整理するのに悪戦苦闘の日々を送っている。
それでも陽気なカウンターパートとともに冗談を交え毎日活動を楽しんでいる。
私生活では近所のソロモンアイランダー夫妻から休日に夕食招待され、ソロモン料理をごちそうになり御家族とともにソロモンと日本の文化、歴史、慣習を語りあいその都度親睦を深めている。
最近何となく私自身ソロモンアイランダーになりきっているのかなと感じる時がある。
この投稿記事が公開される頃には私のソロモンアイランドライフは既にカウントダウンが始まっているはず。生活面含めてお世話になったソロモンアイランダーに感謝を込めて任務を全うする所存です。