JICAボランティア ソロモン日記(35)

2019年10月18日

青年海外協力隊・服部 蒔子(青少年活動)

2017年度4次隊・青少年活動の服部です。現地の子どもたちの読書活動を促進するため、公共・学校図書室の運営支援をしています。

イザベル州で最も大きな島、サンタ・イザベル島は山地が多いです。そして、かつてソロモンに存在した首狩り族の襲撃から逃れるために山中に隠れた人たちが集落を築き、今も山奥で生活する島民が多い地域です。

人が住んでいれば、そこに学校も存在します。しかし村の数に比べて学校数が足りません。イザベル州にはトラックなどが通れる道がほとんどないので、ジャングルの中を2~3時間歩いて学校に通う子どもは少なくありません。授業は朝8時から始まるので、早朝5時半頃に家を出る子もいるそうです。その場合、日の出までの約1時間は真っ暗闇の中を歩いていることになります。

またソロモンは熱帯地域なので雨が多いです。ジャングルの中は水はけが悪く滑りやすいため、悪天候の日は学校に行くことができません。そのような環境で生活する子どもたちにとって、親や友人などの身近な人、様々な文化、情報に触れる機会はとても限られています。ましてや外国人に出会うことはほとんどありません。‘

私はこの島で小中学生に対して読書推進活動を行っています。あらゆるインフラが不十分なイザベル州に住む子どもたちにとって、“本”は森羅万象との唯一の懸け橋だと思っています。“本を読むこと”を通じて子どもたちが自分自身の才能に気づくきっかけに、そして将来の夢を叶える手助けとなれるように、今私ができることから手を付けています。

具体的には学校図書室の整備&運営指導と本を身近に感じてもらうためのイベントを開催しています。イザベル州はほとんどの学校に“Librari(Library)”と呼ばれるスペースがあります。しかし本の数や種類は十分ではなく、新しい本はほとんどありません。また、きちんと活用されている学校図書室は多くはありません。寄贈された本が書架に並ぶことなく放置され、ネズミにかじられて読めなくなってしまっていたケースもありました。

イザベル州の読書環境、ソロモン全体の教育の課題は日本とはまるで異なります。しかし子どもたちの可能性はどの国の子どもも平等であってほしい。私がここイザベル州で行っている活動が少しでも子どもたちの将来に役立つと信じて、残りの任期を送ります。

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イザベル州で最も標高が高い学校に通う子どもたちと筆者

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山の上の村とそこに住む子どもたち

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小学1年生のクラス。算数の問題に真剣に取り組んでいる

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通学路 日影が多いので足元が滑りやすい

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イザベル州の一般的な小学校の校舎

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イザベル州の一般的な学校図書室

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紹介した日本のゲームの勝者にメダルをあげる筆者

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小学校の先生、児童達と学校図書室を整備している様子