JICAボランティア ソロモン日記(42)

2020年2月7日

JICA海外協力隊・神 翔子(理学療法士)

こんにちは。ソロモン諸島マライタ州のキルフィー病院で理学療法士として活動している2018年1次隊の神翔子です。私の任地のマライタ州は伝統が強く残り、慣習をとても大切にしています。シェルマネー(貝貨)が有名で、現在でも通貨と同様に日常生活で使われています。特に結婚の際は結納金として新郎側が新婦側へシェルマネーを渡すしきたりがあります。

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結納に使われるシェルマネー

私の主な活動は病院にて入院・外来の患者さんに対しリハビリを提供するPhysio(理学療法)部門と、村にいる来院困難な患者さんを訪問しリハビリ支援を行うCBR(Community Based Rehabilitation地域に根ざしたリハビリ)部門のサポートです。

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病院リハビリ室での治療の様子

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訪問リハビリの様子。歩行訓練用の平行棒を作るようアドバイスすると次回訪問時には完成していた。

マライタ州はソロモンで一番人口が多く、また州立キルフィー病院の管轄地域は非常に広範囲に及びます。マライタの州都アウキから船で30時間以上かかる非常にアクセスの悪い地域もあります。数時間ブッシュの中を歩かないとたどり着けない村もあります。そういった場所の人々が医療を受けられる機会は数年に一度、病院の医療チームが出張で来るときのみです。正しい知識や設備があれば完治できるような傷病でも適切な処置がなされずに数年経過し完治不能な障害へと至ってしまうケースを多く見てきました。その為、出張の際は予防医学の知識を広げる活動も行っています。

またマライタ州の人口に対しリハビリスタッフが3名と人員不足も深刻です。そこでマライタ全土のおよそ80クリニックのナースとの連携システムを試験的に導入し、さらにナースが地域の患者さんに対しリハビリ分野のアドバイスが出来るようワークショップを実施しました。

まだまだ課題はたくさんありますが、これらの活動が今後のソロモンのリハビリの発展に繋がっていけばと思います。

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村での啓発活動の様子

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出張中の悪路。結局警察の牽引車を待つ為3時間ここで立ち往生

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出張先にてお世話になった村の方々と

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医療スタッフ対象のワークショップの様子

ソロモンでの生活も残すところ5ヶ月を切りました。言葉の壁や文化・価値観の違いから悔しい思いをすることもたくさんありましたが、本当に多くの人々の優しさ支えられてここまで活動することが出来ました。お世話になった方々へ少しでも恩返しできるよう、残りの任期も精一杯活動に励み、毎日を大切に過ごしたいと思います。

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リハビリ室の前で病院スタッフと