南スーダン向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:スポーツを通じ青少年を育成し、平和及び国民融和を促進

2019年8月30日

国際協力機構(JICA)は8月8日、ジュバにて、南スーダン共和国政府との間で、技術協力プロジェクト「スポーツを通じた平和促進プロジェクト(Youth Empowerment through Sports for Peace Promotion:YES for Peace)」に関する討議議事録(Record of Discussions)に署名しました。

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RD署名式においてJICA南スーダン事務所、文化・青年・スポーツ省と一般教育省代表が署名を行った

南スーダン共和国(以下、「南スーダン」)は2011年7月に独立を果たしましたが、その後国内の権力闘争を背景にし、伝統的に存在していた民族間の対立が表面化して紛争が継続しています。2013年12月の大統領・副大統領間での武力衝突発生の後、2015年8月には「南スーダンにおける衝突の解決に関する合意文書」が署名されたものの、2016年7月には再び両派間で武力衝突が発生しました。その後、2018年9月には「再活性化された南スーダンにおける衝突の解決に関する合意(R-ARCSS)」が関係者間で結ばれ、2019年11月の暫定政府樹立を目標に合意事項の履行が進められています。

そのような状況のもと、JICAは2016年から毎年「国民結束の日」全国スポーツ大会(NUD:National Unity Day)の開催を支援し、平和及び国民融和への貢献を試みてきました。その結果、第4回NUD開催時に実施した調査によると、NUDを通して参加選手の95.6%が「他地域の選手と友人となった」と回答し、また99.7%が他地域・他部族の人との交流を「快適」と回答するなど、スポーツを通じた活動が、紛争が長引く南スーダン国内の、特に若年層の相互理解促進、規範順守、心理的ケア等に効果的であることが確認されました。

これらの成果を踏まえ、本プロジェクトでは、南スーダン文化・青年・スポーツ省および一般教育・指導省に対し、平和の促進を目的とする全国スポーツ大会を継続および改善していくための能力強化を支援すると共に、学校を核としたコミュニティにおけるスポーツを通じた平和促進活動を推進します。具体的には、南スーダン全土において全国スポーツ大会出場のための、公平で包括的な予選会の実施を推進し、全国スポーツ大会の際や各地の学校において、平和を担う若者を育成するための平和構築やジェンダー平等などに係るワークショップや研修を実施します。加えて州政府・スポーツ支援団体や国際機関等との連携体制の構築を行うことにより、主に青少年の育成や平和促進活動の主体的な実施を図り、もって南スーダンの国民の相互信頼や結束を高め、融和促進に寄与します。また、それらの活動を行うために、研修やOJTを通じて南スーダン文化・青年・スポーツ省および一般教育・指導省に対する能力強化を行います。

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第4回NUDにて 各地域の代表として開会式で州旗を掲げる選手たち

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第4回NUDでの女子陸上競技800m決勝の様子

案件基礎情報

国名

南スーダン共和国

案件名

スポーツを通じた平和促進プロジェクト

実施予定期間

2019年11月~2023年10月

実施機関

文化・青年・スポーツ省および一般教育・スポーツ省

対象地域

ジュバ市およびパイロット州

具体的事業内容(予定)

実施機関の政策策定・事業計画や監督・財政管理能力・調整能力の強化、全国スポーツ大会の開催、学校を核としたコミュニティ・レベルにおけるスポーツを通じた平和促進活動、関係省庁と国際機関及び他事業との連携のためのプラットフォーム構築