南アフリカで障害者の地域自立生活を支援−南ア社会開発省とJICA専門家による障害主流化研修で、草の根技術協力事業関係者が報告−

2014年2月28日

2014年2月24日(月)から27日(木)まで、南アフリカ(以下、「南ア」)ヨハネスブルグにおいて、南ア・ハウテン州行政官及び障害当事者団体を対象とした、障害主流化研修が開催された。本研修は、南ア・社会開発省(以下、「DSD」)障害課に派遣中の鷺谷(さぎや)大輔JICA専門家「障害主流化促進アドバイザー」の協力により、DSDが南ア各州で実施しているもので、今回で5州目となる。

今回の研修では、ヨハネスブルグで実施中の草の根技術協力事業「障害者地域自立生活センター設立に向けた人材育成」(日本側協力団体:ヒューマンケア協会、南ア側協力団体:Remme-Los、ILC-Soweto)の関係者も参加し、事業報告が行われた。

コミュニティから社会を動かす

本研修の参加者は主に州DSDに勤務する行政官と当該州内で活動する障害当事者団体からの代表者であるが、南部アフリカ地域内での経験・知見の共有、ネットワーキング化を目的とし、南部アフリカ地域内の政府・障害当事者団体も随時招へいしている(過去に、レソト、スワジランド関係者が参加)。今回は、ナミビアの政府・障害当事者団体関係者から7名(手話通訳者含む)が参加した。

研修には、連日60名を超える参加者が集まり、両国での経験・課題の共有、障害平等化研修(DET)、ユニバーサルデザインとバリアフリー、他国でのJICA活動におけるグッドプラクティスの紹介等を行い、最終日には地域毎に分かれて活動計画の作成、発表を行った。過去の自身の経験を踏まえ他国での事例を紹介した鷺谷専門家は「小さな活動であっても継続性を持ったものであれば、社会を徐々に変えることが可能。他国では、コミュニティでの小さな動きが後に社会全体を動かす大きな流れを生み出している」と参加者に語り、小さな良い事例を積み重ねる大切さが繰り返し強調された。ここで作成された活動計画は今後、鷺谷専門家とDSD障害課によりモニタリングが行われる予定である。

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鷺谷専門家の説明を熱心に聞き入る参加者

コミュニティに隠れている障害者を巻き込む

3日目には、ヨハネスブルグで実施中の草の根技術協力事業「障害者地域自立生活センター設立に向けた人材育成」関係者による事業報告の時間が設けられ、これまでの活動状況に加え、本年2月に行われた日本での研修成果が報告された。

日本での研修に参加したモニカさんは、日本の電車やバスのアクセシビリティの良さにつき「南アでも車いすで自由に移動できる交通機関の整備が必要」と語った。2012年に事故に遭い車椅子生活になったソウェトに住むオレボゲングさんは、自身が草の根技術協力事業の南ア側パートナー団体ILC-Sowetoの代表ムジ氏から紹介され、自立生活(インデペンデント・リビング)のコンセプトを知るに至った経緯を話し「障害者が自立して生活できることに驚いた。今後はコミュニティで無視されている障害者を見つけ、社会に巻き込んでいきたい。その中から将来のILCセンターのリーダーを育てたい」と力強く語った。

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オレボゲングさんによる発表の様子

ナミビアでも広がる地域自立生活の動き

質疑応答では、日本の社会変革の歴史や、障害者支援に関する法整備についての質問がなされた。また、ナミビアから参加し、2012年度JICA課題別研修「アフリカ障害者地域メインストリーミング研修(自立生活プログラム)」の帰国研修員でもあるダニエルさんからは「日本は1970年代から活動が続けられており、現在多くの事が実を結んでいる。ナミビアでも我々が社会を変えていきたい」との決意が述べられた。また、ナミビアでは、ダニエルさんが中心となり、ナミビア保健社会福祉省と障害者団体が合同で「障害者のための自立生活に係る第一回関係者会合」を、2013年に開催したとの報告があった。今後、南アのみならずナミビアなどの南部アフリカ地域で、障害者のための自立生活を広げる動きが活発になることが期待される。

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質問するダニエルさん、前列左から2人目