スリランカ災害管理センターにおける災害想像ゲーム(図上演習)の実施報告セミナーの開催について

2016年1月29日

JICAスリランカ事務所

2016年1月25日、JICAは、図上訓練手法の一つである災害想像ゲーム(Disaster Imagination Game:DIG)の実施報告を防災関係者向けに行いました。同報告に先立ち、JICAは災害管理センター(Disaster Management Center:DMC)の災害対策室に置いてDIGを実施しました。

2014年10月末に発生したコスランダ土砂災害以降、JICAはアフターアクションレビュー調査の実施や、同調査を基にした災害応急対策タイムスケジュールの作成を通じ、土砂災害へのスリランカ政府の対応状況に付きレビューし課題や教訓の抽出に努めてきました。その中で、事前に行動計画が定められていないことや、関係機関との細かい事項の調整などが予め実施されていない点が課題であることが分かりました。

そのため、まずはDMC内にて実際の災害応急対応業務を念頭に自分たちが実施すべき事柄を明らかにし、より効果的な災害対応及び災害への備えが出来るようにDIGを試験的に限定したメンバーへ実施することとしました。

スリランカでは、2004年のインド洋大津波を契機に、災害対策法が整備され、防災省(Ministry of Disaster Management)およびDMCが設置されました。しかし、DMCではこのような図上訓練を行った経験が無く、現在UNDPの支援下で策定中の国家緊急時対応計画(National Emergency Operation Plan: NEOP)策定の過程でもこのような訓練はこれまで実施されてきませんでした。今回、初めてDIGを実施しましたが、想定された訓練中でも危機管理要員間で異なる見解を示す事象があるなど、実際の対応行動が人によって異なるなどの課題が浮き彫りになり、図上訓練の紹介が大いに参考になったとのことでした。

報告会では、DIGの結果見出された課題を総括したのち、日本地域開発センターの西川理事が日本の防災制度が発展してきた過程について紹介しました。特に、大きな災害だけでなく様々な災害を調査し、報告書を作ると共に抽出された課題を基に法律や制度などを改善していくことの重要性について伝承することが出来ました。

スリランカでは長らく内戦が続き、災害に対する関心が高まったのも2004年のインド洋大津波以降とつい最近です。経済発展が進む現在でも、例えばBuilding Back Betterの概念は導入されておらず、防災体制の構築は開始されたばかりです。持続可能な社会構築のために、今回示された日本の「Kaizen(改善)」文化をいかに取り込めるのか。熱心な質問が多数飛び交った報告会は、スリランカの持続可能な発展に貢献する一助となることが期待されます。

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冒頭の挨拶をする災害管理省のミヤナワラ次官

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防災能力向上のための訓練手法の説明を行うパシフィックコンサルタンツ(株)の北沢氏

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1月22日(金)に実施された災害想像ゲーム(DIG)の参加結果を報告する災害管理省危機管理対策室長のリヤナゲ准将

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DIG実施を踏まえ、改善点を報告するパシフィックコンサルタンツ(株)の長谷川氏

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日本の防災文化形成について発表する日本地域開発センターの総括研究理事の西川氏

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質疑応答で熱心に質問する参加者