スリランカ沿岸警備庁による油防除展示訓練の実施−スリランカに伝わる日本の防災技術−

2016年2月10日

スリランカ事務所

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展示訓練を見学する出席者

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訓練の様子(油回収用タンクを設置するスリランカ沿岸警備庁油防除隊)

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油汚染区域拡大を防ぐためにオイルフェンスを展張する沿岸警備庁油防除隊(左端は日本の海上保安庁機動防除隊より派遣中の短期専門家)

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沿岸警備庁油防除隊と話す中野海上保安庁警備救難部参事官

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JICA短期専門家(写真中央)と海岸警備庁油防除隊

1月29日、JICAはスリランカ沿岸警備庁と共にディコヴィタ漁港で油防除展示訓練を開催しました。スリランカ側は防衛担当国務大臣のルワン・ウィジェワルダナ氏、海軍司令官のラビンドラ・ウィジェグナラトナ氏、日本からは在スリランカ日本国大使の菅沼氏、海上保安庁警備救難部参事官の中野氏らが出席し、訓練の成果を見学しました。訓練の様子は、テレビ局5社や新聞社数社による取材を受け、日ス間の協力の成果がスリランカ中に伝えられました。

スリランカは日本と同様、四方を海で囲まれ、GDPの約半分を海洋に関する産業で占めるなど、海洋環境の保全は必要不可欠です。また、インド洋で自然災害や事故が起これば、航行する船舶の安全に悪影響をもたらします。

2014年9月の安倍首相スリランカ訪問以来、JICAは無償資金協力を前提とした海上保安能力向上計画調査の実施や個別専門家による海上防災対策及び海洋環境保護能力強化アドバイザーの派遣を実施してきました。

今回の展示訓練は、これまで技術指導を行ってきたJICA短期専門家(海上保安庁機動防除隊)が見守る中、沿岸警備庁油防除隊のみで供与した機材を用い実践的な対応が行われました。漁から戻った漁船から油が流出しディコビタ漁港内で汚染が拡大すると共に、郊外に流出する可能性があることを想定していました。そのため、油防除隊は汚染区域を特定しオイルフェンスを展張して拡大防止措置を図ったのち、 油吸着マットやひしゃくなどを用いて油の回収作業を実施しました。また、オイルフェンスで囲われた外側に漂流する油は消防用放水ポンプによる放水拡散処理や油処理剤の散布による中和作業を行いました。

訓練は無事に成功し、沿岸警備庁油防除隊は日本が供与した機材を確たる技術を持って活用できるようになったことが証明され、スリランカ及び周辺の海洋環境汚染に対する備えが整ったことが実証されました。

沿岸警備庁は発足から5年と新しい機関ですが、新しい技術を学ぶ意欲が高く、吸収した技術を直ぐに活用しています。実際に、2015年10月にカドウェラ漁港で発生した漁船火災では、積み残しの燃料油による海洋汚染の可能性に気づき、JICAが供与したオイルフェンスや吸着マットを活用して油防除措置を行ったり、その後も2015年12月末に発生したルナワ湖周辺でのオイルパイプからの油漏れ事案への対応や、2016年1月に発生したニルワラ川での油流出事案対応など、数々の事案対応実績を積んでいます。

その一方で、スリランカでは油貯蔵を行う業者や公社の油流出事案に対する意識が低く、油が漏れても特段の対応を行わないなど、環境汚染や火災等の二次災害の可能性が依然として高い状況です。そのため、流出した油の汚染拡大・改修対応といった事後対応に加え、油流出事案を未然に防ぐための意識啓発や規制の強化が求められます。