所長あいさつ

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JICAスーダン事務所のウェブサイトにお越しいただきありがとうございます。
2018年3月に着任しました、スーダン事務所長の高橋です。

皆さんは、スーダンという国について、どのようなことをご存知でしょうか。

スーダンは、ピラミッドで有名なエジプトからまっすぐ南に下った(ナイル河を上った)ところに位置し、人口約4千万人、アフリカで三番目に大きな国土を誇る歴史・民族・文化、自然環境・生態系のとても豊かな国です。驚いたことに、現存するピラミッドの数では、エジプトより多くのものがスーダンにあるというのです。紀元前8世紀頃、エジプト地方を含む一帯を統一した大きな王国がスーダン北部ヌビア地方にあったということです(2008年2月号、ナショナル・ジオグラフィック日本語版「黒いファラオ」より)。

JICA事務所がある首都ハルツーム(「象の鼻」という意味)は、「母なるナイル」の支流、青ナイルと白ナイルの合流地点にあります。主要都市の中で、最も暑いとされるハルツームは、人口約800万人。4~6月の最高平均気温は40℃、時に50℃を超えます。過酷な乾燥地にも関わらず、悠久の時を超えて、人々の営みが続けられてきた不思議。雄大な時の流れと、「母なるナイル」の偉大さを感じないわけにゆきません。

「微笑みの国」といえば、東南アジアのタイを思い浮かべる方もあるかもしれません。私は、ここスーダン共和国もまさに「微笑みの国」であると感じています。スーダンを一度でも訪れ、人々と触れ合った方は、その突き抜ける笑顔、ホスピタリティ、尊厳と誇りに満ちた堂々とした振る舞いに大いに魅了されるはずです。厳しい自然条件とは対照的に、眩しい程のコントラストでスーダンの人々の明るさ、吸い込まれるような優しさ、心の豊かさに触れ合うことができます。

例えば、街中にあるジールと呼ばれる水瓶(みずがめ)。砂漠や街ゆく人々の渇きを潤すため、コミュニティや人々の手によって、名もない誰かのために今日も水が満たされてゆきます。なんと豊かで、美しいことでしょう。

スーダンにおける、私たちJICAの重点協力分野は以下3つの柱で構成されます。

  1. 平和の定着支援:紛争被災地における基礎的な生活向上支援、州政府の行政サービス能力強化に主眼をおいた活動展開を通じて、平和構築と格差是正に取り組みます。
  2. 基礎生活分野(BHN)向上支援:保健、水、衛生環境、職業訓練の分野で、政府の能力強化と開発モデルの構築に取り組みます。
  3. 産業多角化支援:南スーダン独立前の石油依存体制から脱却、潜在的発展の余地が大きい農業分野の開発や貿易・投資の促進に必要な行政能力の向上に取り組みます。

可能性に満ちた国であるにも関わらず、1956年の英国からの独立後スーダンは、長年の紛争に苦しんできました。2011年7月の南スーダン分離独立によって、人口の20%、石油収入の75%、農業や牧畜に適したミネラル豊富な土地の25%を失いました。

難民・国境・資源問題を含む南スーダンとの関係、エジプト、エティオピア、エリトリア、サウジアラビアなどの周辺国との関係、地域全体の安定成長を実現させるためにも、スーダン共和国が、中長期的な視点で平和と安定、持続的成長を遂げることは、日本にとっても非常に重要です。

私たちJICAは、スーダンの人々のオーナーシップを尊重し、パートナーとして、スーダンに人々による国づくりに向けた自助努力、開発を今後とも支えてゆきます。技術協力、無償資金協力、ボランティア事業、科学技術連携、民間連携、大学・自治体連携などの多様なモダリティを駆使し、日本はもとより、世界中の多様なリソースやステークホルダーを巻き込み、大局観をもって、革新と共創(Co-creation)の輪を広げてゆきます。

私たちの取り組みが、スーダンの人々に一層の誇りをもたらし、日本の人々との信頼関係、友好関係に寄与することができるのであれば、これ以上の喜びはありません。

高橋 亮