所長あいさつ

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JICAスーダン事務所のウェブサイトにお越しいただきありがとうございます。スーダン事務所長の本村 洋です。

中学1年生の時に学校の図書館でたまたま人類学に関する本を手にして以来、私はいつの日かアフリカへ渡航したいと夢見るようになりました。でも多くの人ががそうであるように、夢と現実のはざまで揺れ動き、迷い、時としてその夢を忘れかけたこともありました。
二十歳になった時、幸運にも夢が実現し、二ヶ月間ケニアを旅行することができました。その体験から、何らかの形でアフリカに関わっていきたいという気持ちをより強く持つようになってきました。その二年半後私はJICAに就職し、最初の海外赴任地もタンザニア共和国に決まりました。

1988年5月、身重であった妻を日本に残し、単身でタンザニアに向け旅立ちました。経由地のフランクフルトからタンザニアのダルエスサラームへ向かう機上、窓の外に大規模な灌漑スキームが広がっているのを目にしました。水面が薄暮の空を映して光り輝き、とても美しく、とても幻想的だったことを鮮明に覚えています。

これが私とスーダンの最初の「出会い」でした。長い年月を経てもなお、その夜のフライトと窓の外の美しい光景が記憶に残っているのには理由があります。ダルエスサラーム空港に到着した後、迎えに来てくれていた前任者から、ちょうどその頃、私のひとり娘が日本で無事にこの世に生を受けていたことを知らされたからです。

その後スーダンを訪れる機会はありませんでしたが、28年の時を経て、ようやくスーダンの地に降り立つことができました。

独立後半世紀以上にわたり、スーダン国民は長引く紛争に苦しんできました。2011年の南スーダン分離独立では、スーダンは人口の20%、石油収入の75%、農業や牧畜に適したミネラル豊富な土地の25%を失うこととなりました。それでもなお日本の5倍もある広大な国土は農業のみならず鉱物資源の開発可能性を秘めています。何よりも文化的多様性に富んだ3000万人の人的資源はスーダンの貴重な財産であり、スーダンは成長と開発ポテンシャルの高い国であると信じています。スーダンはアラブとサブサハラアフリカの境界を成し、情勢の不安定なアフリカの角地域とも国境を接していることから、スーダンの安定的な発展は周辺地域のみならず、アフリカ全体の安定に必要不可欠であると考えています。

スーダンにおいて、私たちJICAは、紛争被災地域での復興及び平和の定着を推進するとともに、基礎インフラを整備し、紛争被災地域を含めた人々の基礎生活の向上を図っていきます。また農業を始め産業の多角化を通じてスーダンの人々の貧困削減に取り組んでいきます。重点3分野は以下のとおりです。

  1. 平和の定着支援: 紛争被災地における基礎的な生活向上支援を通じて、平和構築と格差是正に取り組んでいきます。主に州政府の行政サービス能力強化に主眼をおきます。
  2. 基礎生活分野(BHN)向上支援: 保健、水、職業訓練の分野で、政府の能力強化と開発モデルの構築に取り組んでいきます。
  3. 産業多角化支援: 石油依存から脱却するための代替産業の育成を図ります。ナイル川の水資源により潜在的発展の余地が大きい農業分野の開発(灌漑施設の活用等)や、主に中東諸国を対象とした貿易・投資の促進に必要な行政能力の向上に取り組んでいきます。

私たちJICAは、スーダンの経済、社会の発展を促進するために、技術協力を始めとした支援を引き続き実施していきます。そして私たちの共同作業が、スーダンの人々に持続的な平和をもたらすことを切望しています。
スーダンにおいて貧困削減と経済成長を支援していく中で、私たちの経験や知見を活かすことができるのであれば、これ以上の喜びはありません。

2016 年5月
JICAスーダン事務所
所長 本村 洋