援助調整の担い手たちとの協働作業−隊員生活を振り返って−

2010年3月26日

スーダン国際協力省でプログラムオフィサーとして8ヶ月間の活動を終えた小野里宏代隊員に、スーダンでの生活を振り返っていただきました。同省は、スーダン政府とドナー間の援助調整業務を担っています。小野里隊員の活動内容は、配属先の若手職員の事務能力向上に取り組むこと。報告書の作成や文書管理など、基本的なスキルを伸ばすことを目標とし、同僚である対象職員18名と席を並べて活動してきました。

1.スーダンでの活動を振り返ると?

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配属先の同僚。事務作業を担うのはほとんど女性です。

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小野里隊員の提案を受け、効率的なファイリングに挑戦する同僚。

赴任当初は、同僚18人のほぼ全員が、コンピュータのファイルや紙の文書を保存する際に、まともに分類できていませんでした。例えば、コンピュータに保存するときのファイル名が一貫していないため、後でファイルを探すときに検索機能を使うのが当たり前になっていました。これでは、上司から必要なファイルや文書を求められても、見つけるのに膨大な時間がかかってしまいます。しかも、見つけられないときは一から情報を収集し直し、書類を作成し直すというありさまでした。

そこで、同じ配属先で活動していた国連ボランティア2名と一緒に、ファイル名の付け方や文書の分類方法をまとめたマニュアルを作成しました。また、同僚一人ひとりの席をまわって、ファイル名を一つひとつ変更したり、フォルダを作成して分類し直したりしました。文書が山積みになっている同僚に対しては、ファイリングの手順を提案しました。まず文書の内容に応じたカテゴリーをつくります。そして、カテゴリー別に文書を分類します。最後に、新しいバインダーを用意し、背表紙にカテゴリー名を書いて、日付順にファイリングしていきました。こうした作業に、日常業務の合間を縫って一緒に取り組みました。

報告書を作成するときは、一緒に情報収集したり、データを分析したり、文章を構成したりしました。こういった細かい作業を通して一人ひとりのスキルや人柄がみえてきたので、「より効果的にサポートするには、それぞれ違ったアプローチをとる必要がある」と感じました。同僚らは一人ひとり不得手な部分が違います。意欲は高いけれど時間を上手くつくれない人。スキルはあるのにあまり意欲がないマイペースな人。スキルが弱く時間をつくれない人。それぞれのニーズに応じたサポートをしたいと思うようになりました。

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書類は付箋紙を活用してカテゴリー分けされ(写真上)、きれいに整理されるようになりました(写真下)。

同僚全員に共通する特徴は、一対一で対応すると問題点などを率直に打ち明けてくれるのに、別の同僚がいるとなかなか自分の考えを表に出さないことです。試しに、同僚や上司との情報共有を目的として、何人かで一緒に打合せをしたり、同じメールを複数人で共有したことがあります。しかし、お互いの考えや意見が出ず、情報共有が進まないということがありました。チームワークを避けたがる人もいます。他者とあまり関わらず個人で業務をこなすことが自分の地位を守ることにつながる、という考えが背景にあるのかもしれません。一方でチームワークが上手な部署もありました。そこでは職員がみなさまざまなスキルに長けています。「どの部署もチームワークを発揮して業務に取り組めたら仕事の効率もあがるのに」と感じました。しかし、自分自身の経験や人に伝える力、人を動かす力が十分でなく、思い描くような活動ができなかった部分があります。それらは今後の自分の課題として持ち帰りたいと思います。

2.スーダンでの生活・暮らしぶりは?

スーダンは灼熱の国です。日本で育った私にとって、11月から1月の気温が20度台まで下がる冬の時期を除いてはエアコンや扇風機をつけずにいられる日は一日もありませんでした。現地の人は、暑さにとても強いです。また、夜、寝るときは屋外にベッドを出したりドアや窓を開けたままにするなど、暑さをしのぐ工夫をしています。私も暑さに体力を奪われないよう、外出する用事があるときはできるだけ日が沈んでから出かけるようにしていました。

首都ハルツームは、とても安全な街で安心して暮らせる環境にあります。イスラム教に基づくシャリーア法が浸透しているため、風紀が保たれています。また、食材も豊富で、新鮮な肉や卵、さまざまな野菜、短粒種のエジプト産米が手に入り、不自由なく自炊ができました。

3.スーダンに来て良かったと思うことは?

首都ハルツームにはアフリカ最大の面積を誇るスーダン全土から人が集まっているため、さまざまな容姿の人々を目にすることができます。たとえば、ある部族の一員であることを示す「しるし」を顔に刻み込んでいる人々を見かけます。スーダン国内からだけでなく隣国のエリトリアやエチオピアから移住してきた人々もいます。さらに世界各国から援助関係者も集まっています。スーダンに来てさまざまな背景をもつ人々に出会えたことは一番の思い出です。ここでの経験は、今後異文化に触れる場面で大きく役立つと思います。

小野里隊員は最後に、今後も国際協力分野での仕事につき、今回のボランティア経験を社会に還元していきたいと語ってくれました。これからも活躍されることを期待しています。小野里隊員、お疲れ様でした!