砂埃と汗にまみれた技術指導のやりがい−隊員生活を振り返って−

2010年4月7日

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同僚へ電子制御システム診断機の取り扱い方を指導する野村隊員。

スーダンの首都ハルツームで約6ヶ月間の活動を終えた野村宜弘隊員にスーダンでの隊員生活を振り返っていただきました。野村隊員が活動したハルツーム2職業訓練センターは、スーダンの職業訓練分野におけるJICAの技術協力を象徴する機関です。1980年代に専門家が派遣されたほか、2008年度には自動車科をはじめ主要な科へ機材が供与されています。こうした協力を基盤とし、現場の技能向上を目指す取り組みが協力隊員に期待されていました。3年ぶりに途上国の現場で活動したという野村隊員。久しぶりの国際協力活動はどのようなものだったのでしょうか。

1.スーダンでの活動を振り返ると?

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実習車を使ってセンサーの仕組みを具体的に説明します

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埋もれていたパソコンを授業で活用できるようにしました。

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故障車の修理は最も実践的な指導の場です。

自動車科全体(ガソリン科、ディーゼル科、電装科)を担当し、各科の先生である同僚9人と共に活動しました。活動内容は、同僚の先生方に自動車整備の技術指導をすることです。同僚はみんな気さくで、アラビア語を話せない私にも気軽に話しかけてくれます。他の科の先生も同様に気さくなので、どの先生ともすぐに仲良くなることができました。また、英語を話せる先生が少ないので、お互いに身振り手振りを交えてコミュニケーションをとることが多かったです。それでも、不思議と何を言いたいのか通じあうことができました。同僚や生徒と作業を共にした経験も忘れられません。同センターでは故障車の修理を請け負っています。故障車が入庫したときは、いつも彼らと一緒に修理作業をしていました。少し動いただけで滝のような汗が出る猛暑の中、砂埃と汗にまみれた作業でした。故障車の修理は、実践的な技術指導ができる最も効率のよい指導方法の一つです。この共同作業を通じて、日本の整備士がもつ技術や考え方が少しでも彼らに伝わっていることを願っています。

このほか、使われずに眠っていたパソコンがあったので、授業に活用するよう提案しました。その結果、インターネットから教材になりそうな資料を集め、理論を学ぶ授業のなかで活用してもらえるようになりました。ただし、これも順調にことが進んだわけではありません。資料をダウンロードしているときに大量のウイルスがパソコンに入り込んでしまい、パソコンが一時期使えなくなってしまったことがありました。

活動を振り返ってみると、いろいろな思い出がよみがえりますが、やはり一番の思い出は良き同僚に出会えたことですね。

2.スーダンでの生活・暮らしぶりは?

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朝ごはんはいつも同僚と一緒に食べました。中央の皿に入っているのが豆を煮込んだスーダン料理「フール」です。

スーダンの首都ハルツームは治安がよく、暮らしやすかったです。一番怖い思いをしたのは、通勤で毎日通る道に野犬がいて、私を威嚇してきたことです。日に日に威嚇の激しさが増し、ついには吠えながら追いかけてくるようになりました。さすがに危険を感じ、道を変えようと思ったその日、警察によって野犬駆除が行われたため、その後はようやく安心して通勤できるようになりました。

生活環境を振り返ると、買い物は近くにスーパーがあったので比較的何でも手に入り便利でした。唯一困ったのは、停電が起こるとエアコンが使えなくなり、部屋の中がものすごく暑くなったことです。外気温は日中40度を軽く超えます。停電時に備えて発電機があるのですが、ほとんど動きませんでした。水が止まることは無かったものの、停電は頻繁にあったので、そのたびに暑さにやられながら、再び電気が戻ることを祈っていました。

娯楽の少ないスーダンで私にとって唯一の楽しみといえば、週末にシーシャ(水タバコ)を吸いに行くことでした。また、外食に出かけることも多かったです。実は赴任前、「スーダンに来たらきっと痩せて日本へ帰るのだろう」と思っていました。しかし、予想は見事に外れました。原因の一つは、活動先で同僚と食べた朝ごはんです。毎日、「フール」という豆の煮込みを食べるのですが、これに大量の油をかけ、パンに付けて食べるため、カロリーがかなり高くなります。しかし、この素朴なスーダン料理がとてもおいしく、ついついたくさん食べてしまい、確実に太ってしまいました。

3.スーダンに来て良かったと思うことは?

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今後のスーダン自動車業界を担う生徒たちと。

良き同僚に出会え、その中でスーダンの文化や人々の多様な考え方を教わったことです。いろいろな問題を抱えながらも、笑顔と冗談が大好きなスーダンの人々の生き方には、本来の人間らしさがあるように感じました。それは、人として根底に根ざすべき大切なものだと思います。また、3年ぶりに国際協力に携わり、改めてそのやりがいを感じました。私が同僚の先生たちに教えた新しい自動車の技術を、今度は先生たちが授業で生徒に教えていました。そんな光景を見ると、なんともうれしい気持ちになります。今回の活動が、そうやって少しずつでもスーダンの自動車業界を担う人材の育成につながっていってほしいと思います。

野村隊員、6ヶ月間お疲れ様でした!いつかまた国際協力分野で活躍されることを期待しています!