素朴で優しいスーダン人との約束事は神頼み−隊員活動を振り返って−

2010年4月7日

ハルツーム州保健省でコンピュータ技術隊員として約6ヶ月間の活動を終えた山中貴幸隊員に、スーダンでの隊員生活を振り返っていただきました。

1.スーダンでの活動を振り返ると?

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保健情報システムの現状について同僚と話し合う山中隊員。

「インシャアッラー」という言葉に右往左往した日々でした。「インシャアッラー」とは、イスラム教において、「もしアッラーの神が望むのであれば」という意味合いがあり、約束事をするときなどによく口にします。しかし、残念ながら神が望まないことも多いようで、「インシャアッラー」の末、こちらがやろうと提案していることを何度催促しても進まないことはめずらしくありませんでした。私自身が求める活動結果と、配属先が求めていた期待が折り合ったのか、あるいは達成点に到達したのか、という点では不完全燃焼の感が否めません。しかし、そんな中でも、私が言ったことを実践し利用者向けのマニュアルを作り始めるコンピュータ技術者が出てきました。私がこの6カ月間にあがいてきたことは全く無駄ではなかったのかもしれません。また、仕事先の事務所の天井が壊れてしまい、派遣期間の半分以上を臨時の執務室(図書室)で過ごすという状態にも陥りました。元の事務所が修復されるかどうかも、まさに「インシャアッラー」。しかし、そんな経験を繰り返すなかで、いつしかスーダン人がもっている心のゆとりを感じられるようになった気がします。

2.スーダンでの生活・暮らしぶりは?

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巨大なナイルフィッシュ。丸ごと揚げたものを、たまねぎやパン、辛味ペーストなどと一緒に手でほぐして食べます。

日中は年中暑いスーダンですが、私の活動期間は朝夕が涼しい過ごしやすい季節に重なったため、とても快適でした。しかし、過ごしやすいとは言っても、さすがに日中はかなりの酷暑なので、出歩く気が起きません。そんななか、夜間でも出歩ける治安の良さは非常にありがたかったですね。着任する前は、スーダンというと内戦が継続している国というイメージがありましたから、ちょっと驚きました。

食事はほぼ外食で、スーダン料理を堪能しました。ハルツーム中心部では、肉や魚、フール(煮豆)を取り合わせ、パンを主食として食べます。とくにナイルフィッシュと呼ばれる魚は川魚なのに臭みがほとんどなく美味でした。一方、東西に流れる青ナイル川を渡ったハルツーム北部(バハリ地区)に行くと、「これがスーダン本来の郷土料理なのだろう」と思われる食事を楽しむことができました。例えば、「キスラ」。これは、トウモロコシの仲間であるソルガムを粉にしクレープ状に焼いたもので、オクラを使った粘りのあるソースをかけて食べます。また、「アシダ」はキャッサバなどのでんぷんを練り合わせた餅のようなもので、トマトやモロヘイヤをベースとしたソースをかけて食べます。こうした食べ物を通じて、スーダンの食文化の広さを感じることができました。

このほか、果物が充実していました。スイカ、イチゴ、マンゴー、グレープフルーツなどを市場で安く手に入れられるのでうれしかったです。新鮮なフルーツジュースも簡単に手に入りました。また、スーダンでは路上にお茶屋のおばさんがおり、そこで仲間とおしゃべりしながらお茶の時間を楽しむのが習慣です。多くのスーダン人は、生姜入りのコーヒーや、砂糖をスプーンで山盛り何杯も入れたお茶を好んで飲みます。スーダンでは新鮮なミントが手に入るので、お茶にミントを加える人もいます。私は、「ナナ・サイー」という、ミントだけを煮出した飲み物が好きでした。

3.スーダンに来て良かったと思うことは?

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どこまでも続く地平線がスーダンの広大さや多様性を感じさせてくれました。

素朴で親切なスーダンの人々に出会えたことです。全く見ず知らずの人が、突然私を招き寄せて紅茶をごちそうしてくれる、そんなことが何度もありました。日本や他の国ではなかなか経験できないことだと思います。

山中隊員、頼みどころは神のみ、という中での活動本当にお疲れ様でした!