スーダンという国・人々から学んだこと−隊員生活を振り返って−

2010年8月10日
岩岡未佳(栄養士・イブンシーナ病院)

1.スーダンでの活動を振り返ると?

イブンシーナ病院の栄養科で半年間活動させていただきました。

活動は、栄養士業務や食事内容の改善を中心に現状を把握することから始まりました。赴任当初は、表面的にはきちんと仕事がこなされているように感じたのですが、実態を知れば知るほど改善点が多くみえてきました。例えば、衛生管理や食事管理、栄養管理、さらにはコンピューターによるデータ管理等です。まずはお互いが何をやりたいのか、何をしなければいけないのかということについて話し合いを重ねました。

活動上の大きな壁になったのは、同僚たちの目指す方向がバラバラだったことです。私の同僚は栄養士だけでも10人以上います。それぞれの個性やスキル、モチベーションの違いは大きく、それに文化の違いも加わって、これらが活動に大きな影響を与えました。カウンターパートである栄養科長は、栄養科内のコミュニケーション不足が長年の課題だと感じています。そのような状況の中で、同僚たちにどう接し、どうアプローチするべきかとても悩みました。また日本でのやり方をそのまま適用することはできないので、どう取り入れるかについても気を遣いました。このように心配の種は尽きなかったものの、同僚はみな、いつも私のことを気にかけてくれましたし、私の意見を聞こうと常に向き合ってくれました。ときには時間にルーズだったり、約束を守ってくれなかったりしますが、それ以上に彼ら彼女らの優しさや前向きさを感じることができました。

こうしてようやく現状を把握し、さあこれからスタートだという矢先に任期終了。当初からここにいられる時間が少ないことは分かっており、一人で焦ってしまうことも多かったのですが、スーダン人の大らかさに触れるなかで、何事も余裕をもって行わなければならないということを教えてもらいました。また、時には自然の流れに逆らわず、待つことも悪くはないのかなと感じるなど、日本では味わえない経験ができました。

いつも笑顔の同僚に支えられた半年間。一度にすべてを改善することはできなくても、一歩ずつ前に進んでいけばいつかはゴールが見えてくる、そんな気持ちで同僚のやる気に期待し、これからの発展を信じたいと思います。

2.スーダンでの生活・暮らしぶりは?

生活・活動場所が首都ハルツームだったため、不自由を感じることなく生活できました。以前、ガーナで協力隊員として活動した私にとっては、なんといっても水がいつでも簡単に使えることがとても嬉しかったです。また、ハルツームは基本的に停電もありません。しかし、私の部屋だけ日中(時には夜も)停電していたことがあり、それを知った時は、管理人も原因がわからず、お互いいつも眉間にしわを寄せていました。結局、停電トラブルには任期の半分以上にわたって悩まされることになりました。

ハルツームの気温は決して低いとはいえません。でも、湿度が低いため不快感をそれほど覚えずに過ごせました。物資等の面では、欲しいものがだいたい手に入りますし、交通手段もたくさんあります。渡航措置に伴う行動範囲の制限を除けば、何かしたいと思うことに対する制約は少なかったと思います。

このほか、男性と女性の違いを強く意識させられる場面がしばしばありました。

たとえば、「女性らしさとは何か」ということをスーダン人の普段の生活から考えさせられました。女性は男性の前では家族以外に肌を見せません。化粧とみなされる行為もNG。私がリップクリームを塗ろうとしたら、「だめ!!!」と大声で言われたのは赴任間もないころでした。その時はわけも分からず戸惑いましたが、後から理由を聞いて納得。女性としてのマナーをスーダン人から教えてもらった瞬間でした。

3.スーダンに来て良かったと思うことは?

さすがアフリカ一の面積を誇るスーダン! いろんな人種の人が共存しています。ハルツームはイスラム圏の一部なので中東の雰囲気を強く感じましたが、同時にアフリカの空気もあり、二つの文化圏を同時に知ることができたように思います。

また、何より人々の温かさを感じました。みな、神の教えを守り、人には優しく、笑顔が絶えません。人種は違っても誰とでも仲良し。「いつも笑っているのはイスラムの教えがあってこそなのか」と、イスラム教に対する興味も湧きました。同僚はいつもイスラムの教えを一生懸命話してくれます。イスラム教徒でない私でも、その教えは人として必要なことを説いているのだと感じました。

スーダン人にとって大切なイスラムの世界をのぞかせてもらえたことは、私にとって大きな刺激になりました。

同時に、スーダンにいる日本人との出会いも私にとって大きかったです。活動するフィールドは違っても、だからこそいろんな話を聞くことができ、人間的にもっと大きくならなければという刺激を与えられました。

スーダンで得た出会いや経験を、これからの仕事や人生に大いに活かしたいと思います。

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初めて提案を実行する事が決まった時(食札に色付けして間違いを減らそう!!!)

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実習生に対しアドバイスを送る同僚

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患者さんへの食事に関するアンケートを一生懸命手伝ってくれました。

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スーダン女性のおしゃれ、ヘンナ初体験。スーダンでのお気に入りNo.1

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日本の食品成分表を使って一生懸命栄養価計算する同僚。

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いつもの食事の準備風景。