【スーダン ビジネス事情(1)】日本人講師によるセミナーを開催しました

2012年7月5日

2011年7月に南部スーダンが分離独立したスーダンは、国内石油の85%を失い、石油依存体制からの脱却と国内産業の多角化へ向けて、新たな経済開発方針を掲げています。貿易投資促進のほか、貧困削減や食糧安全保障につながる民間セクターの重要性も再認識されています。本シリーズでは、経済活性化の担い手となる民間企業や政府、またJICAの民間連携の取り組みをご紹介します。

2012年6月11日、ハルツーム市の通商省で、政府関係者を対象に「貿易投資促進セミナー」を開催しました。JICAスーダンでは、3月末から「スーダン国 貿易・投資促進のための基礎情報収集・確認調査」を実施しています。本セミナーは、調査団の渡邊洋司総括(ユニコ インターナショナル)、居合禮団員(ユニコ インターナショナル)を講師として、通商省、ハルツーム州投資促進評議会(Investment Encouragement Council:IEC)(注)、産業省、外務省、フリーゾーン(経済特区)等の約30名を対象に行われました。

まず、各国の投資促進政策を紹介し、スーダンの優位点とチャレンジについて、比較検討を行いました。スーダンでは、隣国に比べ電気代が高いことが、製造業におけるボトルネックともなっています。また、労働コストが高く、エジプトの日系企業で働くエンジニアよりもスーダン人の方が高いのが現状です。一方で、優位性として、自由競争市場、豊富な資源、アラブ市場との良好な関係、女性の社会進出があります。セミナーでは、フリートレードゾーン(Free Trade Zone:FTZ)について、スーダン政府と同様、非石油産業と産業の多角化を目指したUAE(アラブ首長国連邦)、アジアの投資家が集まるシンガポール、ナイジェリアの例を紹介しました。「どのようにFTZを発展させたらよいのか」という参加者の質問に対し、講師の渡邊団員より政府の強いイニシアティブ、各機関による協力体制と戦略、ロケーション、戦略的な産業育成、インフラを含む投資家の生活環境の改善、インセンティブ等が他国での成功のカギであるとの報告がありました。

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セミナーの冒頭で参加者に挨拶する貿易省次官(中央)

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「投資促進政策」「貿易促進政策」の2セッションからなるセミナーでは、日本人講師が各国の例を紹介しました

貿易促進の取り組みについては、インドネシア商業省輸出振興庁(NAFED)の事例から、鉱物資源、家畜、野菜、植物油、飼料等の貿易促進を目指すスーダンと、インドネシアの非石油製品輸出戦略を比較しました。講師の居合団員は、NAFED参加機関の職員数、役割、優先品目、所属機関、予算執行等の比較表から、貿易促進庁の機能強化や戦略作成のヒントを得てほしいこと、また、職員のコミットメント、情報共有、金融機関とのパートナーシップの重要性を訴えました。セミナー後、参加者より「実務的な内容で大変役に立つ情報だと思いました。今後、他機関と協力して促進政策を改善し、職員のトレーニングにも活用したい」とのコメントが寄せられました。JICAスーダン事務所では、7月末に「貿易・投資促進のための基礎情報収集・確認調査」を終了し、政府関係者に共有しながら、今後の協力方針を検討していく予定です。

(注)スーダンでは、州レベルでは、連邦政府投資省(Ministry of Investment)がありますが、2012年7月現在、新しく大統領直属の投資促進庁(Investment Agency、仮)発足に向け、組織立ち上げ中です。