【スーダン ビジネス事情(2)】巨大複合企業 ダル・グループの農業展開

2012年7月19日

スーダンには多角的に事業を展開している、コングロマリットが数社あり、民間で最大のビジネスグループがダル・グループです。1951年にエンジニアリング製品の貿易会社として設立されたSayer & Colley社(現在のDAL Engineering Company Ltd.)と、同社が後に獲得したキャタピラー製品の販売資格権を使って代理店業務を行ったSudanese Tractors Company (SUTRAC)を前身とする同グループは、食品、農業、エンジニアリング、不動産業、医療品の5分野で業務展開を行っています。また、キャタピラー、三菱自動車、メルセデス・ベンツ、コカコーラ、ユニリーバ、コマツ、グラクソ・スミスクラインなど、38の国際ブランドと代理店/ライセンス契約を結んでいます。世界26カ国からなる多様な国籍の従業員は5,500名を超え、中国、マレーシア、UAE、サウジアラビア、ジプチ、エチオピア、英国に事務所を開設しています。

ダル・グループを率いるスーダン人オーナーが、近年とくに力を入れているのが農業です。もともと家畜用飼料の生産により成功したグループの農業・農産品事業には、牛乳やヨーグルト等の食品加工と販売を手がけるDAL Dairy、サウジアラビアやカタール等湾岸諸国向け家畜飼料を生産するDAL Agriculture、粉ミルクやパスタ等の輸出向け食品加工を行っているSAYGAがあります。

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コンピューター制御された水装置を利用しているダル・グループの農場

ハルツーム北部(市内から車で約1時間)にあるBlue Nile Dairy Farmのゼネラル・マネージャー、モハメッド・サイード・ノール氏は、北海道大学で博士課程を修了しました。2007年よりダル・グループに加わり、新しい農場建設のために、ナイル川から用水路を引き、家畜用飼料アルファルファの栽培を中心に事業を始めました。用水路は近隣コミュニティの住民にも使用されています。500ヘクタールの農場では、1,500頭の乳牛飼育、ティラピアの養殖、野菜栽培のほか、花や植木、果樹の生産を行っています。自然状況に影響されやすい伝統的な天水農業が主流のスーダンで、水やり等の管理は24時間コンピュータ制御されており、ずらりと並んだビニールハウス内は、酷暑の中で一年中トマトやキュウリの栽培をするために、温度調整されています。ニュージーランド等から輸入した1,500頭のホルスタイン・フィリージャンは、冷房完備の牛舎で飼育され、スーダン種との改良が試みられています。自動化された搾乳設備から生産された牛乳はダル・グループの工場へ運ばれ、野菜は外国人向けスーパーで販売していますが、モハメッド氏は、輸出も視野に事業規模を拡大していきたいと語っています。

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(左上)水と風を利用した環境にやさしい冷房設備のあるビニールハウスを案内するモハメッド氏
(中央)ビニールハウスでは、キュウリやトマト等を栽培している (右上)搾乳施設

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農場ではトマト、キュウリ、キャベツ、ナス等を生産している

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冷房完備の牛舎では、約1,500頭のホルスタイン・フィリージャンが飼育されている