有望なコミュニティ助産師により良い技術と自信を!

2016年6月15日

「コミュニティ助産師として一人前に育てるために必要な実習機材が不足しているので、十分な助産訓練ができません。そのため、生徒たちは近くの病院やヘルスセンターで実習することになります。ただ、生徒たちが保健施設に移動する交通手段もなく、実習の機会はとても限られています」ジャジーラ州東ジャジーラ郡にあるルファー助産師学校長のワヒーバさんの言葉です。

スーダンでは、乳児死亡率(1000出生対52)、妊産婦死亡率(10万出生対133)等の母子保健指標が特に地方において依然高い水準にあります。「国家プライマリーヘルス拡大計画(2012-2016)」において、スーダン政府は人口約1000人または各村に対し1名の助産師を配置することを目標としているため、連邦保健省は主に村落での出産介助を行なう「コミュニティ助産師」の育成を強化しています。

連邦保健省の統計資料であるヘルスマップ(2015)によれば、ジャジーラ州で現在働いているコミュニティ助産師の数は2千名を超えます。しかしながら、その多くは助産実習室で練習した経験がありません。ジャジーラ州にある12校の助産師学校のうち、2校しか実習室が設置されておらず、その2校の実習機材も技術訓練を行うには十分とはいえませんでした。

JICAプライマリーヘルスケア政策アドバイザーとしてスーダン連邦保健省に派遣されている清水専門家は、会陰切開や縫合の練習にタイヤのゴムが利用されている現場に驚きを隠せませんでした。現場視察を重ね、ジャジーラ州のみならず、この国のほとんどの助産師学校で実習室が全く整備されていない実態を知りました。「医療施設の貧弱な村落で、母子の命を左右するコミュニティ助産師の技術力向上に実習機材は欠かせません」という清水専門家からの報告を受け、JICAは助産実習機材導入を決定しました。国のガイドラインやスペックに準じた29品目の供与機材の調達には、連邦保健省、ジャジーラ州保健省、助産師養成校本部(アカデミーオブヘルスサイエンス)、オンドルマン助産師学校からの技術的助言および承認を受けています。

2016年5月22日、ルファー助産師学校にてスキルラボ機材供与式典が盛大に行われました。式典には伊藤秀樹駐スーダン日本国大使、ムスタファ・エルシャミ東ジャジーラ郡知事、連邦保健省や州保健省、JICA事務所など数多くの関係者が参列し、在校生達と祝う記念すべき日となりました。「実物に近い人体模型を使って繰り返し練習することができ、技術習得にとても役立ちます」と、ジャジーラ州保健省リプロダクティブヘルス主任のファトマさんは喜びます。

このJICAによる機材供与により、ルファー助産師学校はジャジーラ州におけるコミュニティ助産師養成と現任者研修の中心的な役割を果たす教育施設となります。また、JICAはプライマリーヘルスケア拡大支援プロジェクト(2016-2019)を6月に開始し、その活動にはジャジーラ州のコミュニティ助産師能力強化支援も含まれています。連邦保健省、州保健省と協働し、JICAはスーダンにおけるプライマリーヘルスケアの発展に引き続き貢献していきます。

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ジャジーラ州東ジャジーラ郡にあるルファー助産師学校は1982年に設立されました。

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JICA支援前、会陰切開や縫合の練習はタイヤゴムで行われていた。

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JICA支援前、助産訓練機材は非常に限られていた。

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JICA支援で供与された人体模型で繰り返し練習を重ね、技術の向上が期待される。

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機材供与式典にて、ムスタファ東ジャジーラ郡知事より日本の支援を感謝される伊藤駐スーダン日本国大使。