カッサラの未来と課題

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青年海外協力隊 24年度1次隊 電気・電子設備
桑野 利一

カッサラ州はスーダン東部に位置し、農業と観光を主産業とするのどかな州、という印象があります。私たちボランティアがいる首都ハルツームと大きく違う点は自然の豊かさです。州のシンボルである新婚ハネムーンの名所には、標高1000メートルのタカ山がそびえ、ガッシュ川とアトバラ川という大きな2本の川が州内を流れています。ビルや家屋がひしめき合い、人口密度が高く交通量も多いハルツームからカッサラへ入ってみると、まるで違う国に行ったかのような感覚を味わいます。

環境が違えばニーズも違う。このような視点からカッサラのより良い未来を構築するために何が必要なのか、カッサラ州の省庁職員の方々5人からお話を伺う機会を得ましたので、その様子をご報告させていただきます。

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財務省職員へのインタビュー

『産業、教育、医療、インフラ(水や電気、道路など)整備、どれが一番必要だと思うか。』という質問を全員に投げかけたとき、インフラ整備と答えたのは観光省スタッフでした。「観光業を発展させるには、何といってもインフラ整備が大事です。観光地であるタカ山周辺の整備を充実させたり、市街地や主要道路を整備して、観光客が来やすいような街づくりを目指し、カッサラをもっと賑やかにしていきたい」というコメントから、カッサラを発展させたいという熱い想いが伝わってきました。

「教育が第一です。何故なら教育は全てのものを生み出すから。産業も医療もインフラ整備も、全ては教育からです。」と語ったのは農業省に勤める女性スタッフ。「このカッサラ州内では都市部と地方部の教育格差が大きいのが現状です。もっと地方の小さな村などにも教育を普及できるように、州政府がもっと教育に対して力を入れていくべきであると思います。」とカッサラ州の教育に対する問題意識を掲げていました。

その他の方々からも、教育が重要という意見が多かったのがとても印象的でした。「色々な団体が機材を供与してくれても使い方が分からない。商売を始めるきっかけを与えてもらったけどお金の管理方法が分からない。これでは長続きはしません。大事なのはやはり人材育成なんです。」と、人材育成の大切さを強調したのは、JICA技術プロジェクトK-TOP(注)の窓口でもある財務省のスタッフでした。「JICAボランティアを是非ともカッサラに。日本の知識や技術など、指導してもらいたいことはたくさんある。現場の強化がもっともっと必要だ。」と、とても前向きな意見をいただきました。

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カッサラ州の省庁職員の方々との集合写真

昨年からJICAボランティアの長期派遣を再開したスーダンではハルツーム州を対象に派遣しており、現在、カッサラ州はボランティアを募集している段階です。出張という形でカッサラの職業訓練センターへ技術指導をしに来ることは出来ますが、短期間のため、伝えたいことが伝えきれなかったという反省点があります。今回のインタビューの内容を受けて、やはりカッサラに根付いたボランティアの存在が必要だと感じました。カッサラで様々な省庁の人から話を聞き感じたのは、州省庁の職員の方々や現場で一緒に仕事をするカウンターパートの意識の高さでした。技術移転や人材育成の大切さなど、JICA技術プロジェクトがカッサラで活動するその意図がしっかりと伝わっているように感じました。

「やりたいことはたくさんある。でもどのようにしたらいいか分からない。」こういった意見に対して、カッサラで、あらゆる分野においてJICAボランティアが大いに活躍できると思いました。大自然に囲まれ、温かく前向きなスーダン人とカッサラの明るい未来を築く。雄大にそびえ立つタカ山のような大きな可能性を、私は強く感じる事ができました。

(注)K-TOP:正式名称カッサラ州基本行政サービス向上による復興支援プロジェクト。カッサラ州住民の基本的ニーズに応えるため、水、職業訓練、農業、保健分野における行政機関のキャパシティー・ディベロップメント支援を行っている。現在約25名の専門家が活躍中。