地方職業訓練事情−ケセラセラ、カッサラから−

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青年海外協力隊 24年度2次隊 自動車整備
眞下 都史

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カッサラ職業訓練校:農業機械科の先生たちと

職業訓練を考える時、まずその地域について考えます。そうすることで、求められる人材や技能が見えてきます。スーダンの首都ハルツーム州から東、エリトリアと国境を接するところにカッサラ州があります。今回、私はカッサラ州が運営するカッサラ職業訓練校と、スーダン赤新月社による職業訓練校を見学する機会をいただきました。カッサラならではの特色と地域を考えた職業訓練とは何か、そして更には学校が抱える課題について考察してみたいと思います。

スーダンと聞くと砂漠をイメージされるかもしれませんが、実際には広大な国土に様々な表情を持っています。カッサラは豊かな大地が広がっており、農業が盛んでソルガムやゴマ、野菜などの農作物が有名です。カッサラ職業訓練校を訪問した印象は、地元のニーズにあった職業訓練を提供しようと模索している様子でした。カッサラの農業に不可欠なものに農業機械が挙げられます。そこで自動車ディーゼルエンジン科を農業機械科に改変し、より農業機械に特化した訓練を実施しようとしていました。時代や地域のニーズに合わせて変化する職業訓練を見据え、求められる技術を身につけることは、若者が安定した収入を得るために重要なことであると感じました。

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カリキュラムの説明を受けている様子

カッサラ職業訓練校の先生たちに話を伺うと、現在の若者の傾向として、長期間の職業訓練を求めず、安易に技術習得に時間を要さない仕事を選ぶ傾向にあるとのことでした。この状況を打開するため、カッサラ職業訓練校では3年間かけて全コースを履修します。学生たちは初めは低賃金で働き出すものの、時間をかけて習得した技術はより安定した職業と結びつき、将来的に大きな収入が期待できます。長期的な視野で将来を考えることの重要性を理解することができました。またスーダン赤新月社が運営する職業訓練校を訪れたとき、カッサラの地域性から、エリトリアの難民キャンプの存在を知ることができました。そこでは様々な年齢の方を対象とし、地元住民との共生を考えた職業訓練が提供されていました。短期的な訓練で基礎を学んだのちに実際の市場で親方について実践的な技術を学ぶことがプログラムに組み込まれており、その中でより地域の人と関わり支え合うことになります。助け合いお互いを必要とし、相手を認め合うことで共に手を取り合って暮らしていくことができます。こちらの学校も同様にニーズに沿った訓練を目指している事が伺えました。

最後に、カッサラでの職業訓練における課題を考えてみた時、農業機械科の設置を目指しながら実習用の農業機械がない、また講師側にも農業機械の知識、経験の不足が垣間見られるなど、取り組みに対して欠如している点が挙げられました。また実際のマーケットニーズの把握なども断片的で、今後はこうした点できめ細かい対応ができるような支援に協力していきたいと感じました。彼ら自身が課題を見つけ、高いモチベーションを維持できるよう、ケセラセラな気持ちで彼らに寄り添い、共に歩んでいけたらと思います。