難民のよりよい生活と自立の実現へ向けて−ギルバ難民キャンプ訪問から考える難民支援の意味−

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JICAスーダン事務所インターン
岡田 一葉

密集したテント、劣悪な生活環境、貧困…これらは私がいわゆる「難民キャンプ」に対して以前から抱いていたイメージです。しかし、訪れたギルバ難民キャンプは、私が想像していたような場所とは180度違うものでした。

カッサラ州にあるギルバ難民キャンプは1979年に設立されました。現在は6,247人が生活しており、そのうちのほとんどはエリトリアからの難民が占めています。難民と言っても、多くの住民がこの地域に長く滞在しており、スーダンで生まれた故郷を知らない2世・3世も数多く存在します。スーダンで引き続き生活することを望んでいる住民がほとんどであることから、現地では国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を中心として、難民の定住化と地域社会への統合を進めています。

私が実際に現地を訪れてまず驚いたのは、「難民キャンプ」と呼ばれている場所が周りと一見変わらないコミュニティとして地域に溶け込んでいたことです。私が想像していたような周りを囲む柵などもなく、何も知らなければ難民キャンプであることすら気づかなかったのではないかと思います。

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マイクロファイナンスを行う女性グループの会合の様子

キャンプ内の水供給施設や小学校、診療所、女性のためのセンターなど様々な場所を訪問したのですが、行く先々でお会いする住民の方々がゆったりと生活している姿が印象的でした。女性が集まるための場所として作られたセンターを訪れた際には、マイクロファイナンスを行う女性のグループが会合を開いており、女性がこのコミュニティをよりよくするために活発に活動している様子を見ることができました。また、キャンプ内の小学校ではギルバ地域の中で見ても成績優秀な生徒が多く輩出されているとの話を聞くこともでき、コミュニティが一体となって質の高い教育を提供していることが伺えました。

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センターに来ている女性達が作った工芸品

しかし、難民キャンプで話を伺う中で気になった点がありました。それは「持続性」と「自立」です。難民の地域への統合とスーダン人との共存は平和的に行われてきているようですが、彼らの生活水準は決して高いとは言えず、多くの住民がUNHCRをはじめとする国際機関やNGOの支援にまだ頼っている状況です。様々な外部からの支援によって、住民は水や医療へ無料でアクセスできるとともに、教科書の提供などのサービスも受けています。難民の生活向上のためにこのような支援は欠かせないことですが、外部からの支援が終わりを迎えたときに、彼らだけで持続的な生活基盤のシステムを維持していけるのだろうか、とふと疑問がよぎりました。

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難民キャンプ内の診療所

住民が外部からの支援に頼っている限り、彼らが自立し、プロジェクトが終わってからも自分たちの手で持続的に生活を向上させていくことは難しいはずです。私たち外部の人間は、住民自身が自分たちの力でよりよい暮らしを実現していくためのお手伝いをする立場であり、そのためにはどのような支援を行っていくべきなのか、ということを考えさせられました。ギルバ難民キャンプで暮らす方の生活がさらに向上していくことを願うとともに、今回感じた点を突き詰めながら、これから難民支援に関わっていきたいという思いを新たにして訪問を終えました。