ワドエルヘレウ郡とJICAのつながり−インターンからみた国際協力−

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JICAスーダン事務所インターン
斉藤 由美

カッサラ州は、スーダン東部に位置し、北部を紅海州、南部はガダレフ州、東部をエリトリア、エチオピアに囲まれています。今回、私たちが訪問させていただいたワドエルヘレウ郡は、カッサラ州の南部に位置しています。

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ロバと一緒に川へ水を汲みに来る水商人

ワドエルヘレウ郡の中心街は、人口約1.5万人が住んでいます。マーケットでは、食べ物や衣類など様々なものが売られています。マーケットの規模は小さく、周辺の村落は郡内に点々としているため、人々は、車、ロバ、牛などを使って、買い物をしたり、水を汲みに行っています。

カッサラ州を含む東部スーダンでは、現地部族が武装蜂起し、政府軍との間で紛争が起きました。2006年10月に終結しましたが、貧困は現在も続いており、「水」「健康」「教育」の改善が課題となっています。ワドエルヘレウ郡では、給水施設の維持管理モデルの確立と郡病院内の産科施設の建設や、村落助産師への訓練を通じた母子保健の強化にJICAが力を入れており、今回実際にその現場の見学をさせて頂きました。

水の支援

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病院へ水を送るポンプ

「カッサラ州基本行政サービス向上による復興支援プロジェクト」の一環として、2011年5月より、カッサラ州水公社からの要請に基づき、給水クラスターでは、州水公社の給水供給能力の強化を目指し、都市給水、地方給水、水資源開発等3分野におけるパイロットプロジェクトが開始されました。地方給水における大規模村落給水モデルのパイロットサイトであるワドエルヘレウ郡では、プロジェクト開始前はウォーターヤードが一つも機能しておらず、住民は毎日何時間もかけて川まで水を汲みにいくか、ロバの水売りに高いお金を出して、清潔ではない川の水を買っており、赤痢・腸チフスなど水系疾患に悩まされていたと聞きました。しかし、プロジェクトを通じて、郡内の4つのウォーターヤードを改修した結果、きれいな飲み水が村の中で手に入るようになり、今まで水汲み労働で学校に行くことができなかった子どもたちも、学校に行くことができるようになりました。また、ウォーターヤード改修後は、住民と州水公社が連携して、水料金徴収なども進め、今では以前ロバの水売りに払っていた水料金より安くきれいな水が手に入るようになりました。ウォーターヤード管理費などを住民が払うことで、自分たちで施設を維持するという意識を持つことに繋がります。ただ施設を与えるだけでなく、住民が主体となる支援が行われていました。

母子保健の支援

私たちは、ワドエルヘレウ郡病院の産科施設建設着工式に参加させて頂きました。村と村の間は数キロ離れており、一つの村には約800人住んでいます。これから、JICAの支援によって、既存の病院に産科施設を建設し、医療機材を充実させ、村落助産師の能力向上(Capacity Building)を更に強化していきます。この地域には、長年訓練を受けていない村落助産師が多く、古い器具や手法を使って助産したり、危険兆候にある妊産婦の搬送判断が遅れたりして、命を落としてしまう母子もいました。そのため、カッサラ州保健省とJICAの協力で、新しい技術等を指導する研修などを行い、村落助産師の能力向上に取り組んできました。

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ワドエルヘレウ病院の建設セレモニーで歌う村落助産師の方々

ワドエルヘレウ郡病院の中に、手術室等ありましたが、医療機材は十分ではなく、医師、看護師の数や能力もまだ十分ではありません。病院の周囲は、道も舗装されていないような荒野が広がっており、現地の人々の緊急時に対応ができる唯一の病院になります。このような状況の中、JICAの支援で病院が建てられることになり、州政府、医師、住民は感謝の意を表現していました。

カッサラで、地域の人の生活に根ざし、生活向上のためになる持続性のある支援を行っている現地の専門家の方々にお会いし、その姿勢にとても感動しました。ワドエルヘレウ郡知事にお会いした際も、JICAの給水プロジェクトのおかげで、現地の人々が安全で清潔な水を利用できることによって病気や死亡率が減ったと、感謝の意を何度も表していました。また、JICAが郡の要望を州の保健省に伝え、両者の関係をつなぐ重要な役割を担っており、今後もJICAとの連携を続けていきたいと話されていました。スーダンはイスラムの文化の影響が濃く、日本の生活や仕事環境とは全く異なります。そんな中、専門家の皆さんは、現地のカウンターパートと、細部まで相談をしながらプロジェクトを進められており、とても良い関係を築いていらっしゃいました。常に相手の立場に立って考えられるJICAスタッフの方々の誠実さがカウンターパートに伝わっているようでした。信頼関係によって高められた現地の人々のモチベーションと活気を私も肌で感じることができました。