北澤豪 パレスチナの子供たちに夢を(2006年9月)(5/5ページ)

第2回サッカーイベント

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第2回サッカー教室の様子

いよいよイベント2日目、午後8時半、ジェリコの中学生50人は4チームに分けられグランドにきちんと整列しています。観客は7〜800名ほどでしょうか。来賓の県知事、市長から、「ジェリコに対する地域開発への支援と、このようなイベントを行ってくれた日本の皆さん、JICAに本当に感謝しています」とのスピーチがあり、鹿取大使は、「ジェリコがパレスチナにおける開発のモデルになっていくよう日本としても支援していきたい」と挨拶されました。

北澤さんが紹介された後、注意事項を与えさっそく練習開始。今日は爆竹もほとんどありません。きのうより大きな生徒たちですので、少し高度な練習メニューです。リフティング、笛の回数で即座にメニューを変えていく練習など、北澤さんの指示に子供たちは無我夢中で駆け回ります。子供たちの技術はなかなかのもの。北澤さん、安彦さんは右に左に指導に奔走。後半はチーム対抗の10分ずつの試合形式の練習を行い、子供たちは元気いっぱいゲームを楽しんでいました。みんな満足そう。

グランドでのサッカー教室終了後、「これをきっかけに幸せで心豊かな生活がともに築けるよう、いっしょに平和構築に向かってがんばっていきましょう。」と北澤さんからメッセージが送られました。

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インタビューを受ける北澤さんたち

当日は中東地域で有名な衛星放送アルジャジーラのインタビューを受けました。

パレスチナの子供たちはどうでしたか、これからも来てもらえますかの質問に、「僕は世界中を回っていますが、パレスチナは厳しいところですが子供の純粋な心は変わらない。JICAが皆さんの豊かな生活のために環境づくりをしていますが、これからも子供たちの未来に対してサポートできればやっていきたいと思っています」。

子供たちのサッカー教室の後は、市長・市議会議員、エラカートPLO交渉局長を含むジェリコ名士チームと、北澤さん・安彦さんに応援に入ってもらった、大使、公使、JICAパレスチナ・ヨルダン両所長を含めたシニア日本チームが親善試合を行いました。両チームの平均年齢は50歳前後。したがって試合時間は15分1本勝負ということに。見ればグランド脇にはしっかり救急車も待機しています。

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親善試合の様子

始まると思いのほか俊敏な動きで攻め込む日本チーム。北澤さんからは随時的確なパスが繰り出されます。日本側JICAの成瀬所長が先制ゴール! ジェリコ名士チームは地元の盛大な声援を背に負けじと同点ゴール。時間が迫るなか、まだまだこれからと水内公使の決勝ゴールでついにシニア日本チームの勝利! 観客席を大いに沸かせました。両陣営ともケガもなくやれやれ。あとは若手にまかせた。

日程最後には日本・パレスチナ若手混成チームと、パレスチナ若手サッカークラブチームが試合を行いました。地元クラブチーム強し。

北澤さん一行はじめ、大使館員、JICA事務所員、プロジェクトの専門家、ジャーナリスト、商社マンなど、これほど多くの日本人がジェリコという地に集まったのは町の長い歴史の中でもおそらく初めてでしょう。しかも、元日本代表選手を含む日本チームとサッカーの試合を行うなんてジェリコ市民にとって(もちろん私たちにとっても)本当に珍しい出来事だったに違いありません。日本人とサッカーを通して共に流した汗は、ジェリコの子供たちの心の中にもずっと残っていくことでしょう。

全日程が終了してホテルに帰りついたのは午前0時過ぎでした。皆さんご苦労さま。

出発の朝

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北澤さんへのインタビュー

10月1日(日)。空港へ向けて出発前の朝、ジェリコのホテル前で遠くの山をバックに北澤さんは語ってくれました。

「パレスチナに対する先入観とか人々に対する想像は、自分の目でしっかり見てみると、だいぶ違っていたなと思いました。これまで訪問した国もそうでしたが、JICAをはじめ色々な方々が大変な場所で大切なサポートをしていることがよくわかりました。こういった活動は国民の皆さんにはなかなか見えないかもしれませんが、日本としてできることを精一杯やり、それに対してパレスチナの皆さんがすごく感謝しているということを非常に感じました。

同じ仲間としてグランドで一緒にプレーすること、ひとつのことに対して一緒に取り組むことによって心と心がつながり、この先大きなものに広がっていく。信頼関係とういうのかな、そういったものは本当に大事だなと思います。

なぜ自分がここにいるのかとか、自分に何ができるのかなといつも問いかけているんですが、その中で、パレスチナの皆さんが非常に心温かくそして家族のように受け入れてくれて、新しいきっかけが生まれてくるような気がしています。パレスチナの皆さんに感謝します。」

また来てみたいですかの問いにはこう答えてくれました。

「仲間になれたと思うし、子供たちがこれから様々なことにトライしていく中で、どんな変化がうまれてくるのか、情熱がどう形になっていくのか見てみたいですね。そして、平和構築というものに対して、自由や平等の意識をもって進めていくことが未来の地球にとってとても大切なことだと感じています。」