「医療機材維持管理に関するセミナー」を開催しました

2018年12月26日

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大内専門家(左)

2018年11月21日から24日までの4日間、JICAタジキスタン事務所は、同国保健省とともに、「医療機材維持管理に関するセミナー」の開催を支援しました。

このセミナーでは、東北エア・ウォーター(株)の大内学専門家が招かれ、医療機器に携わるエンジニアを対象に、医療機器の予防保守(注)に関する講義が行われました。

タジキスタンの医療現場では、臨床工学技士など医療機材を適切に扱うことのできるエンジニアの不足、医療機器の予防保守に関する知識不足などのため、医療機器の故障や障害が日常的に起こっており、保守管理体制の強化が必要とされています。

かかる状況を受け、JICAは2016年に国別研修「医療施設・機材維持管理」を実施しました。同研修にはタジキスタンから8名の臨床工学技士・技術者が参加し、大内専門家による講義と演習、日本の病院や医療機器メーカーの視察を通して、日本の医療施設及び機材維持管理に関する制度や医療機器の予防保守について学びました。

しかしながら、短い本邦研修で習得し得る知識は限られており、病院内での保守管理体制の導入・定着までには至っていません。これらの状況を踏まえ、帰国研修員が同研修で取得した知識・技術のさらなる強化と、タジキスタンでの医療機器の予防保守の普及のために、今回セミナーが開催されることになりました。

このセミナーにはエンジニアの他に、同国医療短期大学の講師らも参加しました。

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セミナー参加者ら

同セミナーの前半において大内専門家は、予防保守の基礎事項に関して講義を行いました。

特に同専門家は、予防保守実践のために大事な4つの視点AFPS(A=appearance「外観」、F=function「機能」、P=performance「性能」、S=safety「安全性」)について詳細に説明し、これらの視点から予防保守のプランを立てることが重要であると強調しました。

続いてセミナー後半において同専門家は、タジキスタンの医療現場において故障が頻発している酸素濃縮器と保育器を例に挙げ、AFPSの視点から、各機器の適切な操作方法と予防保守の方法について講義を行いました。

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酸素濃縮器の基本構造

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酸素濃縮器の予防保守に関して講義を行う大内専門家

また参加者らは講義終了後、4つのグループに分かれ、AFPSの視点から、保育器の予防保守プランの作成を試みました。エンジニアと医療機器のユーザーである医療スタッフとでは、予防保守における役割が重なるものもあれば異なるものがあることから、参加者らはそれぞれの役割を整理した予防保守プランを作成するのに奮闘しながら取り組んでいました。また、各グループは、「医療機器のランプが点灯しない場合はどう対処すべきか」「医療機器のバッテリー消耗はどう確認すべきか」といった、実際に起こりうるリスクとその対処法についても議論し合い、その結果の発表を行いました。

同セミナー終了後、参加者からは「予防保守について実用的な情報を得ることができ、学びが多かった」、「このセミナーで得た知識を他の人にも共有したい」という声が寄せられました。

このセミナーの開催により、参加者であるエンジニアが病院で適切な予防保守点検を実施し、AFPSの考え方を広め、他のエンジニアにも知識の普及、技術の移転を行うことが大いに期待されています。

現在に至るまで、タジキスタンでは数多くの医療関連のセミナーや研修が実施されてきたものの、医療機器の予防保守をテーマにしたセミナーをタジキスタン保健省が開催するのは、今回が初めてです。

次回は、病院の医療スタッフを対象としたセミナーを2019年1月下旬に開催する予定です。引き続き大内専門家を招き、予防保守に関するユーザー向けの講義をドゥシャンベやハトロン州で行う予定です。

(注)予防保守とは、故障の修理ではなく、機材に対して体系的なメンテナンス(定期的な点検、記録)を行うことにより、故障を防ぐことです。日本の医療現場では医療機器の定期的な予防保守点検が行われていますが、タジキスタンでは十分な予防保守点検が行われていないために、医療機器の故障が頻発しています。