「道路プロジェクトを通じて見たタジキスタン」三田 博司さん vol.3

2019年2月8日

前回は三田さんの携わる道路プロジェクトについてお話を伺いましたが、最終回となる今回は、ご本人のタジキスタンへの想い、日本の道路インフラ支援に関してもお話を伺っていきます。

最後に三田さんから、将来国際協力に携わりたいと考えている日本の若者や学生に向けてのメッセージも頂きました!

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熱心なタジキスタンの学生たち

-前回の技術協力「道路維持管理改善プロジェクト」(2013年10月~2016年11月)において、タジク工科大学で現地の学生向けに講義をされたことがあるとお伺いしました。講義を通して、タジキスタンの学生に対して感じたことは何かありますか?

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タジク工科大学の学生に向けて行われた実習(2016年9月、アスファルトプラントにて)

2016年に終わった前回の「道路維持管理改善プロジェクト」では、タジク工科大学の研究室の設備をチェックしたり、同大学の教員らと話す機会がありました。

この時、学生らが大学で実習を行う機会が少ないということが判明したんですよね。なので、百聞は一見にしかず、ということで、学生らに実際の現場を見る機会を与えたいと考え、講義と実習を企画しました。

まずアスファルト混合材の生成に関する講義を行い、そして実習として、アスファルト混合材がどのように製造され、現場で敷設されているのかを体験してもらうために、実際の道路補修現場に連れて行きました。彼らはとても熱心に講義に耳を傾け、真剣に見て学んでいましたよ。

-やっぱりただ机に座ってテキストを読むだけでなく、実際に現場に行って目で見ることが大事なんですね。

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タジク工科大学の学生ら

もちろんです。彼らが大学を卒業してから、実際に現場でも活用できるような見識と経験のほんの一部ですが与えることができたのではないかと確信しています。

独自の取り組み

-他国のドナー機関もタジキスタンの道路インフラ支援を行っていますが、ソフト面(技術面)の支援ではなく、ハード面(設備面)の支援が中心です。タジキスタンの道路インフラ支援に活かすことのできる、日本ならではの技術とは何でしょうか?

確かにタジキスタンでは、日本の支援によるJICAの技術協力「道路維持管理プロジェクト」及び「道路災害管理能力向上プロジェクト」が実施されるまでは、ハード・インフラに関する支援が多く、ソフト面、いわゆる人材育成のための支援は行われてきていませんでした。

我々の取り組みは労力と時間がかかりますが、タジキスタンのカウンターパート機関が、これらのプロジェクトを共に実施することは非常に有意義だと考えるようになり、その成果も十分に出ていることから、引き続き同じような取り組みを実施する価値は十分にあります。

第三者視点で日本を見て感じたこと

-タジキスタンについてどんな思い入れがありますか?また、タジキスタンはこれからどんな国になっていくと思いますか?

私は、自分が40年間以上土木技師として学んできたことを、タジキスタンのカウンターパート機関の方々に提供することができて、とても誇りに思っています。

話はそれますが、私が小学生の頃、当時の日本はまだまだ貧乏だったんです。家の中は吹きっさらしで、石油ストーブが一台あるかないかという状況でした。ところが11歳(1964年)のときに父の仕事の都合でアメリカに5年間住むことになりました。アメリカに行ったら、大きな冷蔵庫の中に100%オレンジジュースが入っていてビックリ仰天。日本では子供たちは粉末ジュースを飲んでいた時代であり、このアメリカでの5年間の体験は、全く国力や経済繁栄の違いを見せつけられ、子供心にもショッキングでした。

ところが5年後に日本に帰国したら、日本の家庭でもアメリカと同じようにカラーテレビで娯楽番組を見て、冷蔵庫・洗濯機・電話といった電化製品が揃い、マイカーも当たり前になっていました。つまり私は、日本の高度経済成長期の発展ぶりを、第三者の視点から見ることができたのです。

この体験から、タジキスタンも今はODA支援を受けていますが、今後どんどん民間資本が入り、経済発展が進んでいくようになったら、平和を享受し、より幸福だと感じてくれる国民が多くなると思います。

これだけタジキスタンについて語ることができるのは、個人的に思い入れがあるのかもしれませんね。

アジア諸国の一員として

-将来国際協力に関する仕事に就きたいと考えている若者や学生に、一言メッセージをお願いします。

繰り返しになりますが、日本は第二次世界大戦後、驚異的なスピードで経済発展を遂げました。それは日本人の勤勉性やその時点の世界情勢によるものであったのですが、それだけでなく、戦後の各国からの人道支援や世界銀行などの援助があったからこそ成長できたのは間違いないことです。

1975年にはベトナム戦争が終結し、1991年にカンボジアの紛争が終わったように、多くのアジア諸国が日本と同じように平和を享受できるようになりました。

日本の成功経験をベースに、JICAを通じて日本がこれらアジアの国々を支援してきたお蔭で、どんどん各国の国民の生活も向上してきました。

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タジキスタン運輸省内で業務を行う三田さんとスタッフの方々

このような事実を踏まえ、どんどん希望を持って国際協力の仕事に取り組むことのできる人に、これから先の世界各国における国際協力事業を支えていってほしいですね。

また、将来自分が何の分野で活躍することができるかについても一度よく考えてみてください。私のように、土木技師として専門知識を提供するのも一つの手段です。

謙虚な姿勢を持ち、自分のできることに精一杯取り組んでみてください。

終わりに

タジキスタンでご活躍されている三田さんへのインタビューを、3回に亘ってお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?

取材にあたり、三田さん含めスタッフの方々が業務を行っているタジキスタン運輸省内のプロジェクト事務所にお邪魔したのですが、業務中にも関わらず快く取材に応じてくださいました。

このインタビューを通して、タジキスタンという国について、また、国際協力に取り組んでいる方々の想いを少しでも伝えることができれば幸いです。

プロフィール

三田 博司さん
大学卒業後、ゼネコン関連の会社に入社し、2010年に建設技研インターナショナルに転職。専門家として様々なODAのプロジェクトに携わっており、タジキスタンでの業務には2013年から6年間従事している。

聞き手
松田 実樹
JICAタジキスタン事務所による大阪大学との連携に基づく学生インターン。
活動期間2018年10月~2019年1月