【ボランティア通信】平和の種

2015年9月18日

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名前:井上 裕子
派遣期間:2014年1月〜2016年1月
職種:看護師
配属先:トサマガンガ県立病院
任地:イリンガ州イリンガ県トサマガンガ
出身:広島県

原子爆弾投下から70年目。8月6日と8月9日を含めた一週間、私の配属先、イリンガ州のトサマガンガ県立病院で「ヒロシマ、ナガサキ原爆展」を開催しました。

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展示物を興味深く見る学生たち

広島出身の私は、以前から原爆のことを伝えたいとの思いがありました。ある時、同任地のPeace corpsのボランティアに「アメリカ人の5割が原爆を投下して良かったと思ってるって本当?」と尋ねると「いや、8割だと思う」と返答がありました。あまりのショックで何も返答ができませんでした。そんな中、職場の同僚に原爆の話をしていく中で、高い関心を持ってくれ、「これからのタンザニアを担っていく学生達に特に学んで欲しい」との私の思いを理解して、原爆展の開催に協力してくれることになりました。

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原爆展用ポスターに使った平和をテーマにしたティンガティンガ(絵画)

原爆展には、同僚と一緒に事前説明に廻った学校の5校全てが来てくれました。また、近所のママや子どもたち、病院のスタッフや患者さんとその家族など、合計625人に見てもらうことができました。
「原爆は聞いた事はあるが詳細(誰が、どこに、何で落としたのか)は知らない」と話す人も少なくありませんでしたが、展示を見ていく中で来場者から、「やり返したいと思うのか?」、「アメリカ人は敵?それとも友達?」、「今も放射線の影響があるんでしょ?」といった質問が多く出ました。また、現在の「核保有国と核の数」の多さに驚く人も多く、「原爆の被害に胸を痛めた。戦争、原爆はあってはならないことだ」との声が多くの来場者から聞かれました。ある高校生は、「銃は人を殺さない、人が人を殺す。平和な生活のために戦争を避ける選択が必要」とのメッセージを残してくれました。
前述したPeace corpsのボランティアも来てくれ、閲覧後に「第二次世界大戦について大まかな歴史は習ったけど、原爆については知らない事がたくさんあった。ショックだ。アメリカに帰ったら友達にも伝えるよ」と言ってくれました。その言葉を聞けただけでも原爆展を開催した価値はあったと胸が熱くなりました。

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広島平和公園へ奉納する折り鶴をともに作製

来てくれたセカンダリーの先生たちが、「タンザニアには戦争はないけど、みんなが知っておく必要がある。今後もこの展示を続けていく必要がある。うちの学校にも来てくれないか?」と声をかけてくれました。また、原爆について学んだタンザニア人が積極的に来場者に説明している姿が印象的でした。
「一人が理解し、感じた事を含めて次の一人に伝えていく」—小さく地道だけれどこの作業が続いていく事が一番大切だと感じました。

このイベントを通して来場者の方々に【平和の種】を植えることができたと感じています。日常のボランティア活動においても、目の前の一人一人の心に種を植えているという気持ちで業務に取り組んでいきたいと思います。