【ボランティア通信】この国へ来た意味

2015年11月27日

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名前:飯塚卓也
派遣期間:2014年1月〜2016年1月
職種:数学教育
配属先:ルサンガ中等学校
任地:モロゴロ州ンボメロ県トゥリアニ
出身:埼玉県

私が小学生の頃、学校の先生が家にやってくる家庭訪問というイベントが苦手だと友達と話しつつも、少しわくわくする気持ちもあり正直嫌いではありませんでした。その17年後、まさか自分が先生として生徒の家を家庭訪問しているなんて、そのときはまだ夢にも思いませんでした。それもアフリカで。

私は現在ルサンガ・セカンダリーという生徒数600名程の中等学校で活動し約1年10ヶ月が経過しました。
赴任当初、村を歩く度に村の人たちからじっと凝視され、少し離れたところで振り返ってみるとまだ見られているといったような状況でしたが、活動が始まると生徒伝いに「あいつは何者か」ということが地域に口コミで広がり、徐々に地域に馴染んでいきました。
ただ順調な私生活に反して、活動では生徒たちの学力を向上させる難しさを泣きたくなるほど痛感し、どうしたら成績が上がるのか悩む毎日。
悩みながらも活動が一年経過したある日のこと、同僚教員が生徒宅へ用事があるというので私も一緒について行きました。生徒の家でお父さんから「学生の頃、苦手だったが数学はとても好きだった。それは日本人の先生が学校に来て熱心に数学を教えてくれていたから。」という話を聞いた時、私の頭の中で何かが起きました。今まで補習やテストを繰り返し行い、生徒たちの学力向上だけを考え活動していましたが、もっと生徒一人一人と向き合いその子を知るべきだと強く思ったのです。そして家庭訪問を始めることを思いつきました。

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突然の訪問で恥ずかしいそうに部屋を見せたくれたシャリファさん

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訪問し初めて双子だと知る(左側、真ん中)

家庭訪問は地域別に行い、その地域の生徒一人へアポを取り、そこから生徒に次の生徒の家を紹介してもらっていく形で一日約5件程度訪問させてもらいました。
訪問してまず驚くことは、アポなしで行っているのにも関わらず、どの家庭もカリブー(歓迎します)と快く出迎えてくれることです。この習慣がとても素敵です。生徒たち一人一人はみな特技を持っていて、家で豚を飼っている子は屠殺ができたり、家を設計し自分の家を自ら建てたりと、一人一人の生活を覗かせてもらうことで学校では見ることのできない新たな一面を発見し、ただ感心させられるばかりでした。生徒もそういった面を見られることは大好きなようで「次はどこを訪問するの。うちに来てよ」など生徒から逆オファーされるようにもなりました。

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自分で建てた家を見せてくれるオマリくん

家庭訪問を始めてから、生徒たちの学力が向上したかと聞かれると疑問ですが、以前に比べ格段に生徒たちとの会話量は増え、授業も生徒と会話するようにスムーズに行えるようになり、彼らとの心の距離が近づいたように思います。

この二年間で生徒の学力を向上させることは難しかったです。ただこの二年間で生徒たちの心に少しでも私の存在を刻むことができたなら、私はタンザニアへ来た意味はあったと思っています。活動期間も残りわずかですが、今私はそんな貴重な瞬間に関わらせてもらっています。