【ボランティア通信】助け合いながら生きる

2015年11月30日

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名前:水戸博之
派遣期間:2014年1月〜2016年1月
職種:PCインストラクター
配属先:ホンボロ地方自治研修所
任地:ドドマ州ホンボロ村
出身:京都府

「私は県庁で開発計画プロジェクトの策定や予算管理、実施等に携わっています」。早朝の静かなPC演習室に落ち着いた声が響く。補習授業で堂々とした態度で普段の業務内容を発表してくれたのは、地方自治体の職員でもある配属先LGTI(地方自治研修所)の学生たち。

LGTIでは、学生たちは地方自治について学ぶ。多くは中等学校を卒業した学生だが、一部、地方自治体職員の年輩の学生も在籍している。ここでの私の主な活動は、学生にPC利用法の授業をする事。教える内容こそ初歩的だが、そこには大きな問題が。というのも、学生数は何と約2,700名。利用できるコンピュータの数は50台弱、一度に教える学生は平均しておよそ100〜150名。大勢の学生を前に精一杯のスワヒリ語で説明するも、一人ひとりの元を見て回るとなかなか伝わっていない。限られた時間の中で前に進むために、理解させた“フリ”をする…。自分には、ここで何ができるのだろうか?

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多くの学生で溢れかえるPC演習室

そんな時に転機となったのは、ドドマの専門家や隊員で開催している勉強会。プロジェクトや活動の状況報告を行い、意見交換の場をもつ。私の報告に対して、地方自治体の職員とも付き合いのある専門家からのひと言、「みんな、頑張っとるか?」。その時の自分には、「真面目にやっていると思います」という表面的な返答しかできなかった。だって、各々の状況や頑張りなんて把握できていなかったのだから。そして考えた。若い学生たちはきっと今後も学ぶ機会がある。他方、職員であるあの学生たちは卒業後は職場にまっすぐ戻るため、先々に勉強できる機会は少ない。しかし本当に今PCスキルが必要とされているのは彼らで、彼らにこそ今しっかりと学んでもらいたい、そう思った。

そこから、地方自治体職員向けの補習授業を計画、開始。皆で眠たい目をこすりながら、でも穏やかに笑い合いながら、約1か月間に亘って毎日、朝の6時から少しずつ演習に取り組んだ。結果的に、当初はマウスの使い方さえおぼつかなかった学生も、簡単な事務文書作成や表計算、そして発表資料の作成まで、ぎこちなさを残しつつも基礎的なPCスキルを身に付けた。最終日の発表の場では、これまでに彼らと共にした時間を思い出し静かに感動した。

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意欲の表れか、早朝にも関わらず毎日大勢が出席

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補習授業の最終日の発表の様子

授業後のアンケートで「自分に自信が持てて、仲間を助ける姿勢を学んだ」と書いてくれた学生がいた。授業の中で自分が一貫して伝え続けたのは、「周囲と助け合い、教え合って欲しい」という事。年齢や身分、宗教、部族が違っても、家族や親友のように共に過ごし助け合っているタンザニアの人々の生き方から私が学んだ事でもある。私が伝えたかった気持ちが、ほんのわずかでも学生に伝わっているなら嬉しく思うし、それがこの2年間でタンザニアに残せた自分の足あとなんだと思う。

今なら自信を持って言える。「彼らは精一杯頑張っていますよ!」

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参加証の贈呈後に学生たちと撮った集合写真