【ボランティア通信】フィールド調査研究

2015年12月15日

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名前:浅倉真吾
派遣期間:2015年1月〜2016年1月
職種:獣医・衛生
配属先:ソコイネ農業大学
任地:モロゴロ州モロゴロ市
出身:三重県

現在、私は北海道にある酪農学園大学の大学院博士課程に在籍しながら、JICAボランティアとしてタンザニアのソコイネ農業大学で研究活動を実施しています。

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マサイ族とのサンプリング

研究内容はブルセラ病という人獣共通感染症の調査。日本では現在撲滅されていますが、多くの途上国で蔓延しており、牛で死流産、ヒトで長期間の発熱等を引き起こす影響の大きい疾病です。各地域の畜産専門官と共に牛農家を訪問し、質問票調査と牛の採血、ブルセラ病についての説明を行っています。マサイ族をはじめとする畜産農家や遊牧民にとって、牛は財産の多くを占める重要な家畜。その牛について情報を得ることはとても貴重で、多くの農家が関心を抱いています。
現在まで100件以上の農家を訪問していますが、タンザニアは外からの客をもてなす「カリブ(ようこそ)」の文化があり、多くの農家で暖かく迎え入れてくれます。タンザニアの良い文化の一つであり、訪問調査活動をする身としてはとても助かっています。

一方で、残念なことですが農家から情報やサンプルを収集した後、彼らにフィードバックを還元しない研究者がいるのも事実で、その様な経験がある農家からは調査を断られるケースもあります。

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質問票調査

そのまま諦めることもありますが、調査に同行しているドライバーが「今までの研究者はそうだったかもしれないが、この日本人は違う。これまでの調査でも既に農家に結果を返している。」と説明して助けてくれ、受け入れてくれる農家もあります。
受け入れてくれた場合も、「そんなこと言ってもどうせ二度と来ないんじゃないか」と疑い深い顔をされることは少なくないですが、そんな彼らに結果を返す際は皆一様に喜んでくれ、「本当に結果を持ってきた!」と驚いた顔をする人もいます。ある畜産専門官曰く、「今まで何回か調査に同行してきたが、結果を農家に返す研究者は初めてだ」とのこと。日本人にとっては当たり前のことでも、途上国では日本人の特徴の誠実さが光ることがあります。

私の日常の心境は、多くの博士課程の学生と同様に自分の研究が成功するかどうか、常に不安との戦いですが、彼らの結果を受け取るときの喜ぶ顔を見ると、とりあえず調査研究やって良かったかな、と思えます。また、多くの情報が整理されていない途上国におけるフィールド調査研究の充実感は、言葉で説明するのが難しいのですが、日本では得難いものだと感じています。

もうすぐ私のJICAボランティアとしての任期は終了しますが、今後もタンザニアでの研究活動を継続していく予定です。