JICAのタイにおける薬物対策への取り組みが表彰されました

2010年7月9日

—国際麻薬乱用撲滅デーを記念して

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独立行政法人国際協力機構(JICA)は、2006年〜2009年に実施した「メコン地域薬物対策協力プロジェクトフェーズ2」等を通した薬物乱用抑制への貢献が認められ、国際麻薬乱用撲滅デー(注1)を記念し、麻薬対策に貢献した個人・団体に贈られる賞を授与されました。

本表彰は、タイ国麻薬統制委員会事務局(ONCB:Office of Narcotic Control Board)及び薬物基金(Narcotic Foundation)による審査の結果、麻薬対策に貢献した131の個人・団体が表彰されており、受賞式は2010年6月25日ガバメントハウス・サンティマイトリーホールにて行われました。表彰側の代表としてアピシット首相より「現政府は薬物乱用防止への対策として法執行のみならず、タイの麻薬問題追放のための5つの防御戦略(注2)のもと、コミュニティでの麻薬撲滅対策も優先課題となっている」といった説明とともにコミュニティ活動に従事している個人やNGO等を含む幅広い分野の受賞者に対する謝辞が述べられました。その後、他の受賞者とともに、本JICA事業に係わった多くの方を代表してJICAタイ事務所大西靖典所長が、アピシット首相からの記念プレートを受け取りました。

今回の受賞については、JICA協力終了後、しばらくたってからのものであったため、関係者一同驚くとともに、プロジェクトに直接従事された専門家からは「当プロジェクトではタイONCBを中心として、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーのインドシナ各国との相互協力による周辺域内の薬物対策能力向上をはかる地道な努力を重ねました。域内各国事情の違いにより均一な指導も困難ななかにあって、日本人専門家チームがあきらめることなく継続指導を重ねたことへの評価が今回の受賞につながったと思います。」(勝俣元調整員)、「メコン地域の麻薬撲滅に協力できたことは薬物鑑定者としてこの上ない喜びであり、誇りに思います。」(小坂元専門家)、「今回の受賞は、警視庁及び警察庁のご支援並びに日本に残した家族の理解の賜物で、心から感謝申し上げます。」(黒川元専門家)といったような感想や感激の声が寄せられました。JICAとしても、プロジェクト専門家を含め多くの関係者のご尽力のもと本プロジェクトが成功裏に実施できたことに対し改めて感謝するとともに、その成果が今回のタイ政府からの表彰につながったことを共に喜びたいと思います。

本JICA協力の背景を説明します。インドシナ地域においては、違法薬物の密造、密売及び乱用が長年に渡る懸案問題であり、タイをはじめとする周辺諸国は、この問題に対処するため、包括的な努力を続けているものの、なお社会のあらゆる局面で多大な負の影響を及ぼしており、近年では新たな薬剤の密造や密売、若年層による乱用などが大きな社会問題になっていました。また、違法薬物は国際的なシンジケートを介して大量に密造されており、地域的国際的な協力による取り組みが不可欠な状況となっていました。このような認識から、JICAは2002年〜2005年にかけてわが国の警察庁・警視庁の協力のもと、タイ政府のインドシナ各国における薬物分析技術の向上を通じた法執行能力の強化実現を目的として、「薬物対策地域プロジェクト」を実施し、薬物鑑定官、取締官の知識・技術向上への支援を行いました。また、その成果を踏まえ、2006年〜2009年には技術協力プロジェクト「メコン地域薬物対策協力プロジェクトフェーズ2」を通して、薬物の不純物分析の結果が薬物取締に活用されるシステム強化のための支援をインドシナ各国において行いました。

この協力にて問題がすべて解決するわけではありませんが、タイ及びインドシナ各国がその成果も活用し、引続き違法薬物乱用撲滅への取り組みを真摯に継続していくことを期待しています。

また、JICAタイ事務所は、今後もタイ国及びメコン地域における国境を越える開発課題の解決に向けた取り組みを一層強化してまいります。

(注1)毎年6月26日。1987年ウィーンでの「国際麻薬会議」において、麻薬の不正需要の防止・削減方策等を参加各国の国際協力により進める等の政治宣言が採択されたことを記念して設定された。

(注2)タイ国全体を「家」となぞらえ、家を取り囲む柵の隙間や穴から麻薬が入るのを防御するための5つの柵「国境、地域、社会、学校、家族」を政策レベル別に制定したもの。

案件概要

()内は協力期間

案件正式名称:
薬物対策地域協力プロジェクト(2002.6-2005.6)
メコン地域薬物対策地域協力プロジェクトフェーズ2(2006.9-2009.3)
相手先機関:
タイ薬物統制委員会事務局(ONCB)、カンボジア国家薬物対策機関(NACD)、ラオス国家薬物統制管理委員会(LCDC)、ミャンマー薬物乱用統制中央委員会(CCDAC)、ベトナム薬物対策常任事務所(SODC)
協力概要:
薬物分析技術(定性・定量、不純物分析)の向上のための指導及びタイ国の薬物対策機関(ONCB及び関係機関)がカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム(CLMV)諸国の薬物取締り及び薬物分析/不純物分析分野の技術支援を実施ができるよう、薬物分析及び不純物プロファイリング能力強化を目的に、日本人専門家の派遣、研修実施、機材供与を行った。プロジェクト活動としては、薬物分析及び薬物取り締まり能力の強化、研修用教材の改善、薬物分析データの解析・、集約方法の検討、ONCB職員とのCLMV諸国での訓練実施等。

以上

【お問い合わせ先】
JICAタイ事務所:西谷 知佐子(にしたに ちさこ)
Tel:02-261-5250/Fax:02-261-5262/e-mail:Nishitani.Chisako@jica.go.jp