口蹄疫のコントロール・抑止に係る地域ワークショップを開催−国境を越える家畜疾病への取組み−

2010年8月23日

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ワークショップ参加者一同。初日は、各国の検疫の状況の共有を行った。

農水産業・畜産業は東南アジア、とりわけCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)において主要な産業の一つです。昨今、この地域においては、政治経済状況の安定に伴い、東西回廊・南北回廊に代表される道路や橋梁などのインフラが整備されつつあります。そして、これらインフラの整備によって、貿易や国境を越えた物資の移動が益々促進されており、農産物や家畜の移動も進んでいます。国境を越えた家畜の移動が促進されたときに問題になるのが、家畜疾病です。日本でも口蹄疫の発生が大きな問題となりましたが、陸続きの国境を持つメコン地域における家畜疾病の問題は、日本に比較し、はるかに大きなインパクトをもたらす問題です。

この大きな脅威に対応するためには、各国において適切な対応を取るのは勿論のこと、国境を接する国同士が協調して取組むことが重要です。

こうした認識のもと、JICAではこれまで、家畜疾病防除のための地域協力プロジェクト(JICA-ADC2プロジェクト)を2001年〜2006年まで実施し、各国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイ、マレーシア)の中央政府の家畜疾病管理技術の強化をサポートしてきました。このプロジェクトの成果をもとに、2008年〜2011年の期間で、JICA-ADC2プロジェクトフェーズ2を展開しています。フェーズ2においては、地方やフィールド・レベルにおける家畜疾病診断技術の強化や、地方から中央レベルを通じた通報システムの強化等を目指し、それらの成果を各国の横のネットワークでつなげて活用することを意図しています。

去る7月19日〜23日にかけて、フェーズ2の活動の一環として、「口蹄疫のコントロール・抑止に係る地域ワークショップ」を開催しました。このワークショップでは、周辺国の家畜検疫や関連業務に携わっている担当者を招き、各国の検疫の実態を共有しつつ、タイの国境から家畜がどのような検疫プロセスを経て国内に入ってくるのか、実際に現場を回って学び、帰国後に役立てて貰うことを想定しています。

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検疫ポイントにて、実際のプロセスを確認・議論する参加者。

総勢33名の参加者は、タイ北部国境の町、チェンライから視察をスタートしました。チェンライには、ミャンマーとの陸路の国境であるメーサイ、河川でラオスと国境を接するチェンセン、チェンコンの3箇所の入国ポイントがあり、家畜及び畜産品の検疫を行なっています。メーサイの入国管理事務所において、参加者は、タイ政府がどのような検疫を行なっているか、詳細な解説を受け、実際の通関の申請書式のみならず、ワクチン接種の確認等、実情に基づく事例を学びました。タイ畜産局からは、さらにウェブベースの通関・検疫申請システムの紹介もあり、先進的なタイの事例も含め、参加者は国境を越えた家畜の動きに伴う検疫について具体的なイメージを共有することができました。

今回のワークショップには、実際の国境における家畜疾病対策の実態を見学するため、JICAタイ事務所からも職員とナショナルスタッフが参加しました。残念ながら、実際に国境で家畜を検疫している現場に立ち会うことはできませんでしたが、タイが周辺国から入ってくる家畜に対して、どのような体制で、具体的にどのようなことを行なっているのか、イメージが沸くようになりました。と、同時に、改めてタイの事例が周辺国への模範となるに相応しいものであることを実感したワークショップでした。

帰国後、参加者は各国における検疫の改善に向けて、取り組みを強化することが期待されています。