タイで急速に進む高齢化に対する試みの発表 −コミュニティの高齢者保健福祉サービスのモデルについて初の全国会議−

2010年9月22日

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会場での全国会議の様子

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メイン会場横で行われたブース展示

タイ保健省と社会開発・人間安全保障省はJICAとともに、技術協力プロジェクト「コミュニティにおける高齢者向け保健医療・福祉サービスの統合型モデル形成プロジェクト」を実施していますが、8月20日、バンコク市内のホテルにおいて、初めての全国会議を開催しました。この会議には、同プロジェクトの4つのプロジェクトサイトであるチェンライ、コンケン、ノンタブリ、スラタニを含め、タイ全国50県から約261名もの参加がありました。4つのサイトでの成果を共有し、コミュニティの保健・福祉の統合サービスについて発表があり、活発な意見交換が行われました。参加者は、日本の経験から学んだ知識やサイトでの活動の発表に熱心に聞き入っていました。

タイは2001年に高齢者人口(65歳以上人口)が7%に達し、国連の定義による「高齢化社会」に突入しましたが、高齢化のスピードを示す指標である高齢化率が7%から14%に至るまでの期間(倍加年数)をみると、タイは推計で22年と、日本の24年よりも速いスピードで高齢化が進行することが予想されています。

プロジェクトは、「CTOP」(シートップ、英文名称である”Development of Community-based IntegratedHealth Care and Social Welfare Services Model for Thai Older Persons”の略称)の愛称で呼ばれており、2007年11月から4年間の予定で実施しています。プロジェクトでは、4つのプロジェクトサイトのタンボン(日本の市・町に相当)でのコミュニティが支える高齢者のよりよい暮らしのモデル構築と、そのモデルの全国での活用を目指しています。

例えば、南部のスラタニでは、公共交通機関の発達していない地方の課題に応えるため、保健と福祉の担当者とボランティアが一緒に村落を回り、検診や福祉の相談を行う「巡回・ワンストップ保健福祉サービス」モデルを毎月実施しています。

会議当日は、保健省のパイジット・ワラチット事務次官と在タイ日本大使館の小町恭士特命全権大使の挨拶で始まり、セリ・ホンヨック保健省事務次官補と4つのプロジェクトサイトから、プロジェクトの全体像と各サイトでのモデル活動がそれぞれ紹介されました。また、JICAタイ事務所の大西靖典所長から「アジアの高齢化に対するJICAの取組みと方向性」の発表があり、続いて堀江裕チーフアドバイザーが「日本の経験と高齢化社会に向けてのタイの課題」と題する講演を行って日本の高齢化対策を紹介し、参加者にとって日々の活動に役立ったと思われます。午後は、4つの分科会に分かれてグループディスカッションが行われ、テーマ毎に掘り下げた意見交換がなされました。

CTOPプロジェクトのモデルをタイ全国に紹介するのは今回が初めてです。この全国会議で、各パイロットサイトがプロジェクト内外の関係者に対して高齢者保健福祉サービスを発表し議論する機会に恵まれて、得るところは大きかったと考えます。会議の最後に参加者が集まって行われた総括セッションでは、結論として、1)高齢者の価値と権利、2)地元のオーナーシップ、3)保健と福祉の統合、4)高齢者本位の活動、の4つが重要な点として共有されました。この全国会議が、現在の活動の励みとなったばかりでなく、モデル活動の全国への普及に向けた足がかりとなることが期待されます。