ODA60周年記念セミナー 「タイ日協力の歩みとこれから」を開催

2014年12月4日

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2014年11月24日(月)、JICAタイ事務所ではシェラトングランデスクンビットホテルにおいてODA60周年記念セミナー「タイ日協力の歩みとこれから」を開催しました。乾季のさわやかな気候の中、タイにおいてODAに関わられた250名(セミナー参加者198名、メディア関係者52名)の方々が参加くださいました。
キーノートスピーチや特別企画を始めとするセミナーの各セッション・プログラム企画について、以下にレポートします。

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当日のプログラム

時刻 本プログラム
9:00〜9:10 開会挨拶
  • 佐藤 重和
    在タイ王国日本国大使館 特命全権大使
  • Mr. Manasvi Srisodapol(マナスウィ・シーソーダポン)
    タイ外務省副次官
9:10〜9:50 基調講演
  • H.E. Dr. Surin Pitsuwan(スリン・ピツワン)
    前アセアン事務総長
9:50〜10:00 写真撮影
10:00〜10:10 休憩
10:10〜10:20 ビデオ上映
10:20〜11:10 プレゼンテーション
  • Dr. Kosol Petchsuwan(ゴーソン・ペッツワン)
    プリンセス・チュラポーン・サイエンス・ハイスクール顧問
    元モンクット王工科大学ラカバン校(KMITL)学長
  • Prof. Dr. Krasae Chanawongse(グラセー・チャナウォン)
    アジア防災センター(ADPC)議長
    初代マヒドン大学アセアン保健開発研究所(AIHD)所長
  • Dr. Monthip Sriratana Tabucanon(モンティップ・シーラッタナ)
    国立研究委員会気候変動研究戦略センター長
    初代タイ環境研究研修センター(ERTC)所長
  • Dr. Pattama Teanravisitsagool(パッタマー・ティアンラヴィシットサクン)
    国家経済社会開発庁(NESDB)副長官
  • 入柿 秀俊
    JICA東南アジア・大洋州部 部長
11:10〜12:00 パネルディスカッション
  • Ms. Suchada Thaibunthao(スチャダー・タイバンタウ)
    外務省国際開発協力機構(TICA)局長
  • Mr. Theeraj Athanavanich(ティーラット・アッタナワニット)
    財務省公的債務管理局(PDMO)公共インフ事業金融部長
  • Mr. Newin Sinsiri(ネウィン・シンシリ)
    周辺諸国経済開発協力機構(NEDA)総裁
  • Dr. Pattama Teanravisitsagool(パッタマー・ティアンラヴィシットサクン)
    国家経済社会開発庁(National Economic and Social
    Development Board, NESDB)副長官
  • 池田 修一
    JICAタイ事務所 所長(モデレーター)
12:00〜12:05 閉会挨拶
  • 池田 修一
    JICAタイ事務所 所長
時刻 メディア向けプログラム
12:10〜17:00 プレスカンファレンス&メディアツアー

開会挨拶

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午前の全体セッションは、在タイ日本国大使館佐藤大使より挨拶とタイにおける今後の日本との関わりの動向について説明しました。
国際協力60周年を迎える今、日本のODAの特徴、新しい日本のODA大綱、タイへのODAの意義等について説明されました。最後に、タイの新たな役割として、TICA等を通じたASEAN周辺国への支援の重要性を強調し、タイ政府の周辺国支援の動きに対してはタイと日本で手を携えて協力していくべきとメッセージを送られました。

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続いて、マナスウィ外務省副次官よりご挨拶いただき、初期の純粋な援助受取国としてのスタートから、その後のグローバルパートナーとして第三国支援を行うことに合意した「日-タイパートナーシッププログラム(JTPP)」の展開、及び現在タイ外務省でドラフト中の「Four-Year International Development Cooperation Strategy(2015-2019)」に至る、「タイと日本の協力の歴史」について解説いただきました。

特に、農業開発、タイ独自の「足るを知る経済哲学」に基づいた農村開発、ユニバーサルヘルスカバレッジ政策、観光等、タイで実績のある分野について、地域拠点となることを目指していると述べ、講演を締めくくられました。

基調講演

スリン元ASEAN事務総長より、「Thailand-Japan Partnership toward AEC and Beyond」と題した基調講演の中で、「タイは1人当たりの国内総生産(GDP)が5,000米ドルを超え、中進国以上となり、すでに先進国から援助を受けなければならない国ではなく、JICA等と協力し、援助国として開発途上国を支援する立場にある」と述べられ、特に「人間の安全保障においては、厳しい立場にある個人が自分の安全を守ることができる力を持たせること、各個人のエンパワメントこそが重要であり、タイも人間の安全保障のための国際協力をより積極的に実施すべきである」と発言されました。

【画像】また「ASEAN域内のみならず、アフリカ等の途上国においては、タイが中進国になるにあたって日本等から吸収し、実践、蓄積してきた知見が有効であり、JICAが設立に携わり、タイ国内有数の工科大学となったKMITLなどを通じ、タイと日本の技術を周辺国やアフリカなどに展開していくことが望ましい」と提言されました。加えて、「来年のAEC成立に向け、ASEAN域内が富める国と貧しい国に分かれたままでは、そして1日3ドル以下で暮らす人口がまだまだ多くいるような状況では、ASEAN統合の成功や持続的社会の形成もあり得ず、ASEANとの深い協力関係にある日本と協力しつつASEAN域内の途上国を支援することが何より重要である」ことを再度強調されました。

ビデオ上映

本セッションではJICAタイ事務所が作成したODA60周年を振り返るタイと日本の協力の歩みについてビデオプレゼンテーションの上映を行いました。

モンクット王工科大学ラカバン校(KMITL)、東部臨海開発、チャオプラヤ川橋梁群、スワンナプーム空港、地下鉄建設、マヒドン大学アセアン保健開発研究所、アジア太平洋障害者センター(APCD)等、タイの代表的なODA事業や、研修員受け入れ、ボランティア事業などをコンパクトにまとめ、最後にタイODA60年の実績について具体的な数字をもとに説明しました。

プレゼンテーション

プレゼンテーションセッションではDr. ゴーソン(KMITL-工学高等教育協力)、Prof. Dr. グラセー(AIHD-プライマリーヘルスケア協力)、Dr. モンティップ(ERTC-環境分野協力)、Dr. パッタマー(NESDB-イースタンシーボード開発協力)より、それぞれの携わったプロジェクに関連して、タイ日協力の好事例と今後への提言を発表していただきました。

それぞれ思い入れたっぷりに熱のこもったプレゼンテーションをしていただき、参加者は熱心に聞き入っていました。

続いて、JICA東南アジア・大洋州部長入柿秀俊より「Challenges of JICA Cooperation to ASEAN」と題して、ASEAN2025の展望及びタイにおけるJICAの事業実績について説明いたしました。

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パネルディスカッション

パネルディスカッションでは「Thailand-Japan Cooperation Post 2015」をテーマにJICAタイ事務所長池田修一をモデレーターとして、スチャダーTICA局長、ティーラットPDMO財務部長、ネウィンNEDA長官、パッタマーNESDB副長官をパネリストとし、これからのタイ日協力の方向性について意見交換を行いました。

【画像】PDMOのティーラット財務部長は、「長年の円借款の支援に感謝すると同時に、タイ財務省は、財政リスクを低減化するために、借入を管理してきたが、中進国となり、更に発展するために、インフラ整備事業に多大な投資資金が必要である。日本から現在支援いただいている都市鉄道の建設は、車社会から脱却し、環境負荷を軽減するための重要なプロジェクトであり、こうした大きなインパクトのある事業に対し、日本政府には、より幅広い分野において円借款の条件緩和を積極的にご検討いただきたい。」と述べました。

また、NESDBのパッタマー副長官は、地方の開発や東西・南北経済回廊の整備、域内の経済的なギャップを埋めるための支援、エコ工業団地の開発や地方の人材育成でJICAの協力が必要だとの考えを示しました。

特別企画 関連団体出展コーナー

今回はセミナーと同じ会場に関連団体出展コーナーを設置し、各団体の活動を紹介したパネルの設置やパンフレットなどを配布しました。参加者は、受付時に加え、休み時間なども本コーナーにて熱心に見入られている姿が印象的でした。
当日出展されたのは、以下の団体です。(順不同)
ご協力ありがとうございました。

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プレスカンファレンス&メディアツアー

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セミナー終了後、タイ、外国、日系メディア向けにプレスカンファレンスを行いました。プレスカンファレンスではJICAタイ事務所長の池田及びスチャダーTICA局長が共同声明文を読み上げ、またプラキットKMTIL元学長及びKMTILを題材とした「一つの国際協力物語」を執筆した荒木国際開発ジャーナル社会長より、日本とタイの協力の成功事例の教訓について説明、その後質疑応答がなされました。

その後、セミナー及びプレスカンファレンスに参加したタイ、外国、日系メディア向けにJICAのODA事業について理解を深めてもらうことを目的として、円借款にて支援を行っているパープルラインのメディアツアーを実施し、地下鉄ブルーラインとの乗り換え駅となるタオプーン駅と、実物大の車両模型を訪問しました。パープルラインでは、土木工事に約800億円の円借款を供与しています。また、車両や信号等のシステムと10年間の維持管理は日系企業が受注し、2016年の運行時には、タイの都市鉄道で初めて日本製車両の走行が実現する見込みです。

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JICAタイ事務所では、引き続きタイのODA60周年を記念して、皆様に有益な情報を提供できるように、企画してまいりますので、ご期待ください!