人身取引「ソンクウェー女性保護・職業訓練センター」

2015年10月22日

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バンコクから北に約300km。タイ北部ピッサヌローク県に位置する「ソンクウェー女性保護・職業訓練センター」は、人身取引・売春被害者、家庭内暴力、素行不良など、様々な問題を抱えた女性たちの保護施設です。入所者の大部分は10代前半の子供達であり、ここでの職業訓練などを通して、卒業後の社会復帰を目指しています。

入所した子供達は初めの数ヶ月間を「初期入所室」と呼ばれる場所で過ごし、情緒の安定・回復、自己効力感の向上をはかります。青年海外協力隊員の中元博美さんはここで、子供達の精神的成長に日々貢献しています。

筆者が施設を訪問した日、初期入所室の子供達は静かに座禅を組んでいました。すると、一人が「お母さんに会いたい。」とぽろぽろ泣き出しました。「お母さんに会ったとき、お手伝いできるように立派になろうね。そのためには、今がんばろうね。」そうタイ語で励ましている、中元さんの姿がありました。

約二年前に中元さんが初期入所室に来たとき、子供達には特に日課が無く、時間を持て余していたといいます。そこで中元さんは、部屋のデコレーションや、座禅や読経等の日課の設定、定期的なワークショップ等を行ってきたそうです。今では子供達の情緒の安定のみならず、決められた時間に行動する習慣や、集団で行動する中での協調性などを身に付けることも期待できるようになりました。
中元さんは「人身取引被害者への精神的なケアを行ううちに、被害者保護へのアプローチだけでなく、加害者を減らすアプローチも必要と考えるようになった」と熱い思いを語ります。
「人身取引は、国内のみならず、世界中の人々が関与してしまう可能性を持っています。ですから、できるだけ多くの人に、問題意識を持ってもらうことが大切」と中元さんは考え、人身取引問題の解決に貢献するため、彼女は活動期間中、新聞やフリーペーパー等に記事を寄稿し、啓発活動を行ってきています。
途上国の人々に寄り添いながら日々活動する青年海外協力隊。彼らはまた、課題全体へも目を向けながら問題意識を持って活動しています。

JICAタイ事務所は、ボランティア事業とJICAプロジェクト「タイ・メコン地域人身取引被害者支援能力向上プロジェクト」を連携させながら人身取引問題解決に取り組んでいます。これからも、国際協力への志を持った方々とともに、タイやASEAN地域の課題解決に向けて努力していきます。

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