岡本朋子「パナマ便り」

Tomoko Okamoto

【写真】Tomoko Okamoto

秋田県由利本荘市出身
青年海外協力隊

職種
保健師
配属先
パナマ/保健省エレラ地方保健局オク保健所(オク町)
活動概要
村落地域を巡回し、村民に対して健康管理や環境衛生に関する啓発活動を行う。その他現地スタッフに対して、保健医療分野での新たな技術や知識の情報提供も行う。
派遣期間
2005.4月〜2007.4月
プロフィール
秋田県出身の保健師隊員。看護学生時代に、通学電車内で青年海外協力隊募集の広告を見て以来、「いつか参加してみたい」と周囲に漏らすようになったが、誰にも本気とは思われていなかった。それから7年後、3年半勤めた地元の病院を退職し、協力隊参加。

第4回:「全部ホントなんだって」(2006年09月11日)

今回はパナマの迷信を紹介します。

1)熱い物で体があたたまった後、水で冷えると骨が曲がる
全国でマジメに信じられてます。アイロンとかオーブンの前にしばらくいて、その後に手を洗おうとしたり、シャワー浴びようとすると、皆必死で止めてきます。大学出身の薬剤師にまでそう言われてビックリしました。その薬剤師曰く「あなたは知らないかもしれないけど、私はそうやって骨が曲がってリウマチになった人を何人も見ているのよ!」
じゃあ、一日中ストーブで暖をとってる東北の冬は、水仕事は終日禁止か。

2)蛇にかまれた人が触った植物は枯れる
種類にかかわらず、毒蛇にかまれた人は触っただけで植物を枯れさせるそうです。触っただけで1週間後に木が枯れたのを 見たことが、本当に何度もあるらしいですよ。いろんな人がそういいます。しかもその能力は生涯続くそうなので、農業やってる人なら十数年は仕事できないそうです。それって死活問題…でも庭の除草には便利そう。

3)辛い物は体に悪い
中南米の食事といえば唐辛子。暴君ハバネロ。カラムーチョ。 ところがパナマはちがいます。[タバコ=肺癌]であるように、[ 辛味=高血圧と痔と胃痛]です。確かに食べ過ぎると体に悪い。血圧は上がる。痔もできましょう。しかし、一体どれだけ食べるというのか。香辛料は代謝を良くするし、味のアクセントになるから塩分の使用量を控えさせる効果もあるのに、スープに一つまみ唐辛子入れただけで、毒か親のカタキでも見たような顔して「体に悪いわよ!!」…私、辛いの好きなのに…。 中南米の味、唐辛子は、パナマ国民の敵らしいです。真っ先に頭に浮かんだものから順番に挙げてみましたが、この他にも色々あるパナマの迷信。本当に心底本気だから困っちゃいます。

そうそう、パナマに着いた当初、帯状疱疹になったら、医者に トマト貼るよう真面目に勧められたっけ。トマトはいいから、薬おねがいします・・・

第3回:「ノベ族の村で」(2006年08月02日)

【写真】

集団指導が始まる前、恒例の血圧測定

パナマの先住民族のうち、ノベ族とブグレ族の自治区には隊員が派遣されています。
先日ノベ自治区の村落開発普及員、眞貝隊員の所にお邪魔して、集団指導をしてきました。まずはこの村、アルト・カバジェロの様子を紹介しましょう。

一部の家には電気も届いているし、水道もあります。水道水がちゃんと塩素消毒してあるかまではわかりませんが、とりあえず、私は下痢をしません。生活必需品は、村の食料雑貨店でなんとかなります。

最寄りの町まで車で30〜40分。「チバ」と呼ばれる、荷台を座席に改造したトラックが、1時間弱に1本ほど通っています。学校もあるし保健所もある。自治区のなかでは、大きめの村ではないでしょうか。すでに貨幣経済が入ってきているため、村人は農業の傍ら、出稼ぎに出たり、手工芸品を売ったりしてお金を稼いでいます。

でも貯金はもちろん、食べるのも大変なようです。ノベ自治区は男性優位社会で、女性は家でおとなしくしているのが一般的なようですが、この村の女性グループは活発だし勉強熱心。ここでの眞貝隊員との活動は私の楽しみの一つです 。

今回の指導テーマは応急処置。女性グループを対象に、止血、 骨折の固定、やけど等について説明しました。
彼女達、止血法や骨折の固定は非常に上手で飲み込みも早いです。いつでも病院に行って、医師におまかせできる日本と違い、自分たちでなんとかしてきた経験からか、その手つきには自信さえ感じられます。一方、やけどについては「やけどを冷やすのは良くない」という迷信のようなものがあり、冷やさずに軟膏を塗っていたようです。

集団指導も今回で3回目。だんだん信頼関係もできているはず。なので、今回を機に「やけどは冷やす」という習慣ができると嬉しいのですが。

第2回:「名前」(2006年07月14日)

日本人の名前は、両親が考えてかなり自由につけることができます。 あんまり変わった名前だと役場から却下されることもあるようですが、それでもまあ、名前の数は無数にあるし、姓のほうも相当のバリエーションがあります。

さてパナマはどうかというと、私のホームステイ宅エメルダさんは一人暮らしなので、その弟一家を紹介すると、父 カルロス(愛称 ティート)、妻 ダリダ、長男 カルロス(愛称:チニート)、次男カルロス(愛称:カリート)、長女 エイミー、長女の娘 エイミー デル カルメン。
カルロス3人はそれぞれ愛称で呼ぶので良いとして、紛らわしいのは二人のエイミー。「エイミーが風邪ひいたって」「大変だね、で、どっちのエイミー?」みたいな会話ばっかりです。

どうして同じ名前つけるのか質問したら、とにかく昔からそういう習慣があるらしいです。「素敵でしょ」といってました。日本でも親や祖父母から一文字もらったりするので、そういう習慣はなんとなくわかります。でも保健所で診察待ちの患者さんを呼ぶときはホントに大変。村中親戚みたいなもので苗字のバリエーションが少ないのに加えて、同じ名前がわんさかいるし、愛称なんて知らないし、生年月日で確認しようにも、高齢者は自分の生年月日知らない人が多い。 学校健診でもホセ・ゴンサレス君が一クラスに3人いたことがありました。

一クラス20人中3人がホセ・ゴンサレスですよ・ ・・  保健所職員はその地域出身なので、顔みればどこの誰かわかるみたいなんですが、私は最初の頃、本当に四苦八苦して名前を呼んでいました。近頃は保健所の患者さんのほうが私に慣れてきて、受付番号を言うだけでも反応してくれるのでとても助かりますが、学校健診は今でも大変です。

第1回:「お祭り」 (2006年06月02日)

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村のメインストリートを練り歩く山車

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民族衣装を着て踊る子供たち

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民族衣装を着て踊る子供たち

パナマといえばパナマ運河。
というよりも、それしか知らなかったので、パナマ派遣が決まった後で慌てて世界地図を広げたり、ネットで検索したもの でした。

雨季と乾季のある常夏の国パナマは、東西に細長い国です。経済も医療も治安も中米ではトップクラスらしく、初めてパナ マに来た日は首都の発展ぶりに驚きました。「うわっ、秋田より都会だ!」
首都は高層ビルがニョキニョキと生え、24時間スーパーもあ り、夜は夜景がきれいです。

ところが私の活動場所は首都からバスで4時間、太平洋に突き出た半島の真ん中、人口15000人の田舎の保健所。街の中心以外では、自動車より馬に乗る人が多い所でした。

ここは伝統が残っている地域として有名で、伝統衣装のポジェーラを着た女性や刺繍をする女性をよくみかけます。保健所前に馬が並んでいたり、待ち合い室にポジェーラ姿のお婆ちゃんがいる様子を見ると「遠くに来たもんだ」としみじみ思います。

さて、パナマの人々はお祭り好き。そして私の街は特にお祭り大好き。地元の年2回ある大きな祭は国内では有名で、全国から観光客がきます。
パナマのお祭りは、山車の上に衣装を着て踊る女性がいて、その周りを男女が踊りながら街を一周するのが基本。お金持ちも貧乏も、お酒を飲んでパーっとやり、日々のストレスを発散するのだそうです。

その男性陣の飲みっぷりは、酒の国秋田出身の私でも心配になる程。
ちどり足で歩くわ、女性に声かけまくるわ、喧嘩するわ、とっても楽しそう(?)ですが…後日、 保健所は男性患者でごったがえすのでした。