【研修事業】研修員の帰国後活動

   課題別研修『スポーツを通じた障害者の社会参加の促進』コース

2017年12月12日

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会に向けたスポーツ分野での注目が高まる中、JICA東北では、2017年9月24日〜10月25日にかけて、課題別研修「スポーツを通じた障害者の社会参加促進」コースを実施しました。
 本研修では、開発途上国における障害者スポーツの普及・推進による障害者の社会参加を促すことを目的に、日本国内外で広く本分野の活動を行っている企業・大学・団体等にご協力いただき、開発途上国の行政官等を対象として、日本における障害者スポーツ振興の制度や、障害者スポーツ競技に関する知識・技術を習得する為の研修を実施しました。JICAは日本国政府が推進する『スポーツ・フォー・トゥモロー(SFT:Sport for Tomorrow)』に協力しており、本研修もその一端を担っています。

本邦研修

 研修員は約1か月間日本に滞在し、スポーツ庁への表敬、日本における障害者スポーツの歴史、概要などを学ぶとともに、実践的な技術として、これまで多くのパラリンピック代表選手を輩出してきた福島県などにおいて、フライングディスク、ボッチャといった様々なスポーツを実際に体験しながら、どのような競技であるのか、設備は何が必要となるのか、また、帰国後に自身の所属先でどのように活用できるかを楽しみながらも真剣に考えていました。
 研修の様子は、JICA機関紙『 mundi 』をご参照ください。

帰国後活動

アルビスさんからの指導を受け、生徒に卓球バレーを教える職場の同僚(教師)

パラグアイでの卓球バレー普及活動

 研修員は日本での学びを自国で普及・活用するために、帰国後の活動指針となる活動計画書を作成します。今回は研修員がどのような活動を計画しているのか、一例をご紹介します。

 ウルグアイのアルビスさんは高校の校長であり、自身の職場である高校にも数名の異なる障害のある生徒がいるが、いずれの生徒も参加が可能であるスポーツ競技が無いかと探していたところ、本研修中に『卓球バレー』という競技に出会いました。
 卓球バレーは、日本で考案されたスポーツで、卓球台を6名のイスに座ったプレーヤーで囲み行われる競技です。障害の重い人・軽い人、視覚・聴覚・肢体・知的の障害のある人、また、障害のない人とも誰でも簡単に参加できる共生型のスポーツ種目であり、自身の高校の生徒が参加することが容易であることもあり、興味・関心を強く持ち、帰国後に自国でも実施可能な卓球バレーの普及を通じた障害者の社会参加の促進を計画しました。
 また、アルビスさんは帰国1か月後のまだまもない時期にも関わらず、パラグアイで実施された卓球バレーの指導者養成講習会※1に参加し、指導者のライセンスを獲得するなど、意欲的に帰国後活動を行っています。また、パラグアイ・アルゼンチンで開催された体験会や講習会でサポートを行い、パラグアイで実施された大会ではスタッフとしても活動するなど、指導者ライセンスを獲得しただけではなく、その後開催された体験会等を通じて障害当事者を含む方が卓球バレーを実施するサポートを行ったことは、ウルグアイで普及活動を行う上での重要な基礎となる経験を得られたものと思います。

(注1)日本で障害者スポーツを推進する団体であり、本研修にも講師として講義・実習等でご協力いただいた、(一社)コ・イノベーション研究所、日本卓球バレー連盟がスポーツ庁の実施するSFT事業の一環でパラグアイ国にて、卓球バレーの普及活動・大会を実施されました。

障害の主流化

 また、JICAでは研修事業での協力だけに限らず、青年海外協力隊事業等においても、知見・技術を有する大学等と連携した青年海外協力隊員の派遣(注2)を行うなど、あらゆる事業に於いて【障害の主流化】(注3)に取り組んでいます。アルビスさんや他研修員も今後、青年海外協力隊員等と一緒に、課題、様々なニーズに対し、日本で学んだことを自国の状況に適合させ、多様性のある活動が活発に行われることを願っています。

(報告者:総務課 山口)