2020年1月23日
地方マスメディア派遣プログラムで2019年12月8~14日の1週間、インドを訪れ、東北ゆかりの方々の活躍を取材しました。
9日は、東日本大震災の発生直後に宮城県女川町で支援活動を行ったインド国家災害対応部隊(NDRF)のアロック・アワスティ元隊長にインタビューを行いました。アワスティさんは派遣当時の状況を振り返りながら、女川の人々への感謝と尊敬の思いを熱く語ってくれました。復興が進む現在の女川町の写真を見せると「いつか家族も女川に連れていきたい」と感激した様子でした。
その後、日本が資金と技術の両面で支援を続けてきた地下鉄「デリーメトロ」に試乗。地上の喧噪とは対照的な近代的なホームや車両、整然と列を成す乗客たちの姿に、デリーの都市化の一端を見た思いでした。
翌日はグルガーオンのインド工業連盟(CII)に出向き、製造業経営幹部育成支援プロジェクトでコーディネーターを務める稲葉滋子専門家を取材しました。プロジェクトに参加する現地のヘルメット工場にも同行いただき、「メーク・イン・インディア」の旗印の下で拡大しつつある製造業の現場を視察。半年でヘルメットの生産数が3倍以上に増えたという目覚ましい成長の一方で、現地企業は製造過程の効率化などの課題に直面していること、解決策の一つとして技術力を持った日本企業との連携に可能性を見いだしていることなどを知りました。
11日はオディシャ州ブハネシュワルで青年海外協力隊員として卓球の指導にあたる坂本卓也さんを取材。坂本さんの生徒の自宅にも訪問し、急速な経済成長に伴う暮らしの変化を聞きました。
12日にはインド西部のグジャラート州アーメダバードを拠点に弱視の治療機器の普及に取り組むヤグチ電子工業(石巻市)を取材しました。同社は2017年に案件化調査の採択を受け、カウンターパートの市立病院と連携してインド市場の開拓を図っています。経済的理由から継続的な通院ができない、検査体制が確立されていないため治療に結びつかないなど、インド特有の課題が新商品の開発につながったという話も伺いました。
初めてのインド訪問はカルチャーショックの連続でした。高層ビルの近くにはスラムが広がり、瀟洒なホテルの前には物乞いの姿。いびつな成長のただ中にあるインドを自分の目で見て、現場で奮闘する方々の生の声を聞く貴重な体験となりました。
(報告:河北新報石巻総局 関根梢)