【宮城県】2019年度JICA東北・JICA二本松教師海外研修に参加した先生による授業実践が石巻西高等学校で行われました

2019年11月19日

【画像】石巻西高等学校の千島真未教諭が、10月28日(月)同校3年生15名に対してタンザニアに関する授業を行いました。

千島先生が作った、「ちがいのちがい」というカードを、「あっていいちがい」「あってはいけないちがい」「どちらともいえない」の3つに分けることで、タンザニアと日本の違い、人による価値観の違いを考え、多様な見方・考え方について議論しました。

「ちがいのちがい」カード 10枚

1.ジャックリンは料理をするときにカンガを着るが、裕子さんは割烹着を着る
2.タンザニアのモロゴロ中等学校の教室に電気は設置されていないが、石巻西高校の教室にはすべて電気がついている
3.日本の最高峰は富士山であるが、タンザニアの最高峰はキリマンジャロである
4.4月になると日本では桜を見ながらお花見を楽しむが、タンザニアではマンゴーが実るので、木からもぎ取って食べる
5.タンザニアの看護師シルマさんは、緊急の場合は医療行為を行うが、日本の看護師の久美さんは、医療行為を行うことはできない
6.日本では、多種多様な自動車メーカーの車が走っているが、タンザニアの車はほとんどがトヨタである。
7.日本ではほとんどの授業が日本語で行われるが、タンザニアでは中等学校から英語で授業が行われる
8.タンザニアでは、毎朝5時ごろになると街中にアザーン(礼拝の呼びかけ)が流れるが、東松島市の防災無線で般若心経を流すことは禁止されている
9.石巻西高で地理を教える千島先生の服は9割がユニクロ製品であるが、タンザニアのコーラヒル中等学校で歴史を教えるフローレンス先生の服は、ほとんどがオーダーメイドである
10.宿題を忘れた千尋くんは、千島先生から長い説教を受けたが、同じく宿題を忘れたジョナスさんは、ムチで3回叩かれたが一瞬で終わった。

グループワークでの、生徒たち発言

【画像】「医者がいないから、看護師が医療行為をするんだよね?でも医療者は多い方がいいんじゃない?(カード5について)」
「トヨタが値上げしたとしても、それを買うしかないってことだよね?それってよくないんじゃない?(カード6について)」
「般若心境って、本当に流すの禁止されているの?(カード8について)」
「そもそもタンザニアにユニクロはあるの?もしタンザニアでユニクロ製品を作っていて、それなのに着られないんだとしたら問題だよね。(カード9について)」
「ムチでたたかれるのは嫌だけど、長い説教もいやだな。(カード10について」」

生徒たちは「答えのない問題」について、わいわいと議論していました。感じたことを素直に伝えあうことが出来る関係性ができあがっているようでした。
授業の後半は、グループの中で盛り上がったカードについて話し合い、その結果を発表しました。
やはり高校生。服には興味があるようで、カード9について盛り上がったグループが多かったようです。

7時間をかけて自然や歴史、気候、産業、紛争などさまざまな角度からアフリカ・タンザニアについて学んだ生徒たち。答えのない問題に対して、生徒たちが考えられるように、できる限り発言しないようにしていた、という千島先生でしたが、生徒たちは前時までに学び考えたことを生かしながら、自分なりの答えを探そうとしていたようでした。

千島先生のこれまでの授業や、今回のちがいのちがいのカードを通して、国と国だけでなく、人によっても、物事に対する考え方や価値観が違うということを学んだ生徒たちは、しっかりと自分の足で立ち、グルーバル社会で異なる文化を受容し、異なる意見を取り入れながら、正解のない問題に取り組む一歩を踏み出したように感じました。

(報告:市民参加協力課 清水)