【宮城県】2019年度JICA東北・JICA二本松教師海外研修に参加した先生による授業実践が宮城県古川黎明中学校で行われました

2019年11月22日

宮城県古川黎明中学校の荒川清政教諭が、11月7日(木)同校3年生に対してタンザニアに関する授業を行いました。

人間の安全保障について考えよう

本時の課題は「人間の安全保障」を理解すること。

※人間の安全保障とは…「飢餓、病気、人権侵害、紛争などから、全世界の一人ひとりの生活を守ること」と紹介されていました。

授業の冒頭で、荒川先生は、世界銀行の出している、世界の『貧困』に関する地図を紹介。世界全体における貧困率は、1990年の36%⇒2015年の10%に、貧困層の数は、1990年の18億9500万人⇒2015年の7億3600万人に減少したものの、まだまだ10人に一人は貧困状態であることを確認しました。(*2011年の購買力平価に基づき、国際貧困ラインを1日1.90ドルで計算)

タンザニアと日本の暮らしは、どこが同じでどこが違うのか

グループごとに配られた映像端末をのぞき込む生徒たち

「世界の人々と共存していくために」というテーマのもと、荒川先生の訪れたタンザニアを題材に、開発途上国で生活する人々の生活スタイルを見て、あってよい違いといけない違い、また、日本との共通点を探すグループワークを行いました。

生徒たちは、それぞれの班に配られた映像や写真などの情報を読み取り、自由に発言していました。自分の班の課題が終わったら、新たな資料(ほかの班が見ている資料)に移ります。

その間荒川先生は、話し合いの進捗状況に合わせて、質問やアドバイスをしてグループを回ります。

<提示されたテーマと映像・写真の情報>
・教室の環境(机、いす、教室の明るさ、教科書)
・生徒の1日のスケジュール
・生徒の将来の夢
・農村での生活(ランタン、携帯)
・バニラ生産での収入
・焼き畑(禿山)
・都市部での仕事
・教師の学校での1日(授業を自習にすることについて)
・農村のお店と都市部のスーパー
・整備されていない道路
・インフラ整備をする工事現場

また、それぞれの資料に関係するSDGsを考えることで、前時までに学んだSDGsと現実の世界が結びついていることを学びました。

全体発表

中高等学校の教室の様子を読み取った生徒たちは、相違点として、「6人で一つの机を共有していてとても小さいこと」「ノートの向きを変えないと記入できないこと」「床は板張りではなく、地面がむき出しで凸凹していること」「ロッカーや教科書がないこと」「制服を着ている子とそうでない子がいること」を挙げていました。ビニールテープで実際の机の周囲のサイズを表してみると、クラスの他の生徒からは、「小さい!」という声が上がっていました。この資料に関連するSDGsは、「1:貧困をなくそう」「4:質の高い教育をみんなに」だそうです。

もう一つの班は、ODAによって作られた高架道路の写真を紹介していました。中央線・ガードレール・歩道があることは同じで、急傾斜、農村の道路は未舗装だということが違う、という発表でした。この資料に関連するSDGは「8:働きがいも経済成長も」、「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」「10:人や国の不平等をなくそう」だそうです。

宿題では、「格差を縮めるために、自分でできる行動」を考えてくるそうです。生徒たちは、どんな行動を挙げるのでしょうか。

(報告:市民参加協力課 清水)