2019年12月3日
酒田市立西荒瀬小学校の萬年真由美養護教諭が、10月30日(水)同校5学年に対してタンザニアに関する授業を行いました。
「世界とつながる私たちの食卓~食文化から世界を見つめよう!~」を目標にした、アフリカ・タンザニアについての学びは、7月の初め、萬年先生の海外研修前から始まっていました。遠いアフリカについて思いを馳せ、イメージを出し合い、帰国後は萬年先生から写真や映像を使って、現地の様子を教えてもらいました。「タンザニアに比べて日本は恵まれている」と子どもたちは学んだようです。
そして、本時では、タンザニアと日本の食文化の違いを、実際に「食べる」ことを通して学ぶ授業が行われました。
家庭科準備室に入ったとたんに漂う、お米の炊けるにおい。
あれ、でもいつもとはちょっと違うような。。。
それもそのはず、炊かれていたのは、先日収穫したばかりの山形のお米と、「タンザニアの米」でした。
炊く前のお米、炊いた後のお米の見た目の違い。食べてみての違い。においの違いを、グループごとに出し合います。
〇形が違う。タンザニアのお米は細長くて、日本のお米は丸っこい。
〇水分量が違う。日本のお米はもちもちしていて、タンザニアのお米はぱさぱさしている。
〇においが違う。タンザニアのお米はラムネのようなにおいがする。
〇タンザニアのお米の方がかたい。日本のお米はやわらかい。
〇色が違う。タンザニアのお米は黄色っぽくて、日本のお米は白い。
様々な気付きがありました。
「タンザニアのお米は粘り気がないので炒めてピラフなどにすることが多く、そしてお米は高級であまりとれないのでウガリを食べる。」と萬年先生が説明します。
ウガリというのは、キャッサバやトウモロコシの粉を加熱して練ったもので、タンザニアでは日本のお米のように、主食として食べられているそうです。
実際にウガリを作ってみましょう。
グループごとに、お鍋にお湯を沸騰させて、ウガリ粉を入れて、混ぜて、混ぜて…。室内にはこんがりとしたにおいが漂います。
この日のために、何度も試作を繰り返した萬年先生は各グループを回って指導を繰り返しました。
さぁ、食べてみましょう!タンザニアでは、このウガリを手で食べます。
萬年先生と一緒にタンザニアに行った鈴木先生が食べ方を教えてくれました。
恐る恐る食べる子どもたち。「おいしい」「ぱさぱさしている」「にがい」など様々な声が聞こえました。
子どもたちが大体ウガリを食べ終わったころ、萬年先生から、「バニラビーンズ」の紹介がありました。
バニラビーンズはプリンやアイスクリームに入っている、におい付けの高級素材です。
「タンザニアは、貧しい国だけど貧困から脱する方法を模索していて、その一つの方法がこのバニラビーンズ栽培です。
この5年くらいで、値段は4倍になっています。」タンザニアにも優れているところがある、そのことを紹介するために、萬年先生はバニラビーンズを取り上げていました。
配られたバニラビーンズを鼻に近づけ、興味深そうににおいを嗅ぐ子どもたちでした。
最後に、萬年先生が子どもたちに、授業の感想を聞きました。
・「食べ物をおいしく食べるために、タンザニアの人もいろいろ工夫していることがわかった。」
・「こうやって苦労して作った食べ物だから、食べ物を残すことが少ないのだろうなと思った。」
・「食べる前、ウガリは餅に似ていると思ったが、実際に食べてみると粉っぽくて苦かった。」
・「ウガリはお米のようでもあり、日本と似ている。」
・「ウガリは結構おいしかった。タンザニアでも過ごせそう。」
知らなかったアフリカ・タンザニアという国の食文化が子どもたちにとって少し身近に感じられるようになったのではないでしょうか。
次の授業では、食料廃棄率(フードロス)について学び、どうしたら廃棄率が減らせるかを考える授業を行います。
この授業の目的「他国の文化や食生活を知ることにより、日本との違いに気づくことができる。」「世界の食卓を比較することにより、食品ロスについて考えることが出来る。」は、子どもたちの五感を通して、しっかりと伝わったように感じました。
(報告:市民参加協力課 清水)