【民間連携事業】JICA東北では初となる民間連携理解促進調査団をベトナムへ派遣しました

2019年12月9日

 JICAでは、日本の民間企業が有する優れた技術や製品、ノウハウを用いて、途上国が抱える課題の解決と民間企業の海外展開、ひいては日本経済の活性化を目指し民間連携事業に取組んでいます。
 民間連携事業の一つである日本の中小企業等を対象とした中小企業・SDGsビジネス支援事業は、2012年に開始され、東北地域においては50件、全国で約900件が実施されています。JICA東北では、民間連携の担当に加え、郡山市に国際協力推進員を配置し、地場産業の振興と地域の活性化・国際化の促進を進めています。
 JICA東北では、東北地域における中小企業・SDGsビジネス支援事業等民間連携事業の促進のため、東北の6社の民間企業・2団体の合計8名の参加を得て今年9月22~28日に、東北では初となる民間連携促進調査団をベトナムへ派遣しました。
 本調査団では、JICAベトナム事務所をはじめとした日本の支援機関、進出企業、さらには相手国側の関連機関や企業を訪問し、今後、海外展開をどのように計画し実現するかを考えていただきました。

ベトナム日本人材開発インスティチュート(VJCC)訪問 

VJCC入口にて

参加企業によるプレゼン・意見交換

 JICAはベトナム貿易大学と連携し、ベトナムの裾野産業育成のためにVJCCを設立、同国の若手経営者を対象に日本式経営を学ぶ研修コース(経営塾)等の人材育成プログラムを実施しています。
 9月23日に、ベトナム調査団は、VJCCの活動について理解すること、また、東北企業がプレゼンを行い、ベトナム企業と意見交換を行うことを目的にVJCCを訪問しました。
 訪問を通じて、VJCCによる日本の民間企業を対象とした同国へのビジネス展開支援メニューについて理解しました。
また、東北企業とベトナム企業との意見交換を通じて、日越の関連業種毎で連携構築の可能性に向けた活発な意見交換が行われ、本調査団後には、個別に情報収集を行っている企業等もいるようです。

エスハイ社訪問  

実習候補生との意見交換

実習候補生の授業風景

 エスハイ社では、日本で働きたいベトナムの若者に渡航前の約1年間、日本語をはじめ「あいさつ」や「おもてなし」といった日本の文化、商習慣やマナーを教える学校を運営しています。JICAでは、民間企業が途上国で行う事業を支援する融資制度(海外投融資)により同社を支援しました。
 本調査団では、同社が取組む「技能実習生人材育成コース」、「高度人材育成コース」を理解し、同社を介して技能実習生・高度人材を受入れる方法について学ぶことを目的に訪問しました。
 本訪問を通じて、ベトナムの若者が、日本語、日本の文化、商習慣やマナーを学んでいるクラスを見学し、ベトナム側技能実習生等の送り出し機関としての機能や役割を理解しました。参加企業の中には、技能実習生の活用を実施または計画をしており、今回の視察を通じて今後の受入れを検討する一つの有益な情報収集の機会となりました。

ビナジャパン シロガネロジスティクス訪問 

ビナジャパン シロガネロジスティクス社屋外観

倉庫内

 岩手県奥州市の白金運輸株式会社では、JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業(案件化調査)を活用し、物流サービス提供によるカイメップ・チーバイ港利用促進に関する調査を実施、その後、現地企業との合弁企業を設立し、フーミー3工業団地内に物流センターを建設しました。
 本調査団では、ベトナム特有の商習慣や、ビジネス化に向けた工夫や方策等を学ぶことを目的に訪問しました。
 本訪問を通じて、JICAの調査事業を活用したことで、一民間企業では難しいベトナム政府との関係構築ができ、当初の想定よりも短期間で物流拠点の開設ができたこと、また、ベトナムでは契約書がないと事業が進まず日本とのビジネスの進め方に違いがあって苦労した事等の話を伺い、今後現地へのビジネス展開の準備を進めている調査団員にとって参考になる情報収集ができたとともに、JICA事業活用の利点やベトナム特有商習慣について理解を深めることができました。

現地調査~普及実証ビジネス化事業サイト視察~ 

共同企業体による浄化槽等の説明

エコパーク内の浄化槽設置場所

 福島県内にある株式会社環境分析研究所、株式会社昭和衛生センター、本多設備工業株式会社の共同企業体では、浄化槽の普及と維持管理サービスのビジネス化を目指し、JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業(案件化調査)を実施後、現在、普及実証ビジネス化事業を実施しています。
 本調査団では、JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業の実例を学ぶことを目的として普及実証ビジネス化事業サイトを訪問しました。
 本事業サイトであるフンイェン省内には浄化槽5基が設置されており、本調査団では、その内3基が設置されているエコパークを視察しました。本事業では、これから約1年をかけて、設置した浄化槽の適切な維持・管理を行い処理効果を検証する計画です。共同企業体では、現地進出している日系企業に浄化槽の設置を発注し、適切な工期管理のもとで工事を行った等現地での事業を進めるための工夫点について理解を深め、今後、現地への進出を目指す企業にとって参考となりました。

ドンバン日系専用裾野工業団地 

ドンバン日系専用裾野工業団地管理事務所にて

工業団地倉庫内

 ドンバン日系専用裾野工業団地は、ハノイから車で45分の距離に位置し、全国に6カ所設置された政府認定の裾野工業団地の一つです。
 本調査団は、本工業団地を視察し支援体制や優遇措置等について学ぶことを目的として訪問しました。
 本工業団地は、ドンバンIII工業団地インフラ開発(株)が運営しており、日本人コーディネータが常駐しています。
既に日系企業24社が進出済みであり、本工業団地が政府認定裾野工業団地であることから土地使用条件初期投資環境、工場稼働後のオペレーションコスト等について優位性があることについて理解しました。

調査を終えて

・日系企業やJICAプロジェクトサイト訪問を通じ、ベトナム人材育成方法(目標設定に基づく評価の導入)や組織強化(チーム・リーダー制の導入)の取組み、業務の進め方について理解を深めることができました。
・各工業団地訪問を通じ、各工業団地が持つ特性や企業向け優遇政策を学び、今後の進出に向けた情報収集の機会となりました。
・日越双方の支援機関訪問や青年海外協力隊活動現場視察を通じ、各機関の支援体制・制度や人材活用について理解を深めることができました。

本調査後に、秋田県(11月20日)、宮城県(11月21日)では、帰国報告会を含むセミナーを開催しました。下記「関連情報」より、両セミナーの実施報告を確認できますのでご参照ください。

また、2020年2月17日には、郡山市で、本調査団に参加した福島県内企業等による報告会を開催いたします。詳細が決まり次第、JICA東北HPでご案内いたします。

 JICA東北では、今後も、関係支援機関等との連携を通じて東北地域の東北地域の民間企業の海外展開を支援して参ります。

【本件に関するお問合せ先】
JICA東北 民間連携事業 本田、上野、室井(福島県担当)
E-mail: thictpp@jica.go.jp
TEL: 022-223-4772 FAX: 022-227-3090

JICA郡山デスク 室井
(※JICA郡山デスクは、郡山市産業観光部内産業政策課内に設置しております)
TEL:080-3148-2105
E-mail:MUROI-Kenichi2@jica.go.jp