【宮城県】2019年度JICA東北高校生国際協力プログラムを開催しました。

2019年10月30日

【画像】2019年10月26日(土)に、宮城、青森、岩手、山形、福島の高校生34名が集い、国際協力について学び合い、今自分にできることを考えました。

本プログラムは、高校生が国際協力に携わる人々の価値観に触れることで、開発途上国の現状や国際協力に関する理解を深め、自分自身の関わり方を探究し、広い視野を養うことを主な目的として実施しています。

アイスブレーキング:進化じゃんけん

【画像】プログラムの最初に、アイスブレーキングを行ないました。生徒たちが積極的に参加してくれたので、初めて会う人同士でもなごやかに話し合う雰囲気が作られ、グループごとに分かれてテーブルに座った後の自然に会話が始まっていました。

開発教育ワークショップ体験:『援助する前に考えよう』

次に、『援助する前に考えよう(特定非営利活動法人 開発教育協会 作成)』というワークショップの体験です。このワークショップは、シミュレーションという疑似体験をする内容になっていて、スタディツアーでタイを訪れ、電気も来ていない村に泊まるという設定です。そこでグループの一人が、『この村の学校は貧しくて困っています、あなたの10ドルを寄付してください』という看板を発見し、それぞれのグループごとに何ドル寄付するか考えました。

シミュレーションの中では、「アイ子」という人が、一人で支援をしている様子が見えてきます。そんなアイ子について、『お金の支援は終わりが来る』『一人では何もできない』という否定的な意見や『何かアクションを起こしていることは必ずしも間違っていない』という肯定的な意見が出されました。一方で、『現地の人に言われたのか一方的に道具がないと思ったのか、どちらなのだろう』という意見や、『教育だけでなくインフラ整備や色々な課題があるため、実際に現地に赴き、ともに活動を行うことが大切だと思う』『住民が主体となって活動できるように、地球市民の一員として自分に何ができるか?を考える必要があるように感じる。』という継続的で現地のニーズに合った支援に関する意見が出されました。

体験談①IVY youth

昼食をはさみ、実際に海外支援に関わっている方々から体験談を伺いました。まず、IVY Youthの富樫さん、遠見さんからのIVY Youthの活動紹介です。IVY Youthは、国際NGO IVYの学生団体で、カンボジアで小学校教育の支援を行っています。当地は、義務教育制度はあるものの留年率が高く、自分の名前も読み書きできない児童も多いとのこと。そのため、絵やグラフを多用した教科書・ドリルを作成し、現地の人に伝わるかということを重視しています。実際に現地に渡航することで、インターネットや本などでは得ることのできない情報が得られるというお話でした。
生徒からは、長期的な支援による成果や、資金源、都市部と農村部での留年率の差に関して質問が出ました。

体験談②青年海外協力隊

続いて、10月まで青年海外協力隊としてベナンに派遣されていた佐藤さん(職種:コミュニティ開発)から体験談を伺いました。ベナン共和国の衣食住、ベナンの良いところの紹介、住民を巻き込む工夫としてできるだけ村の人と一緒に過ごし、現地の言葉を話して馴染むように心がけ、健康の啓発に住民の方にも参加していただけるようにしたと、お話がありました。
村のコミュニティの一員になり、啓発活動を通して住民の意識の変化を感じることが出来たことがうれしかった一方で、方言が50もありコミュニケーションに苦労したこと、資源がないこと、考え方が違うことに苦労したそうです。

佐藤さん自身、『援助すること』についての葛藤があり、援助依存・村同士のいがみ合いを生んでしまうこと・物資の支援と技術協力どちらが望ましいのか・村の人は十分幸せで援助は本当に必要なのか?という点については帰国後の今でも悩むことがあると語っていました。最後には生徒さんに向けて、『色々なことへアンテナを張ってチャレンジしてほしい。』とメッセージが送られました。

生徒からは、援助において大切なこと、外国からの支援の問題点、現地医療の課題、現地の人に受け入れられるための工夫、帰国後の進路と自分自身の変化、どうして参加したのか、家族・友人への連絡方法などの質問が出ました。

高校生にできることを考えるワークショップ

プログラムの最後には、『高校生にできること』を考えました。4人1グループになり、SDGsの17のゴールから興味があるものを2-3個選び、「高校生の私たちができること」を、まずは一人で考え、次にグループで話し合い、できるだけ多く出し合いました。

そして、その「できること」を、『課題解決の為に影響力が高い順』にダイヤモンドランキングで並べ、ワールドカフェ形式で3分ずつ全体発表を行いました。

*ワールドカフェ:グループの代表が残り、残りのメンバーは他のグループの発表をそれぞれ聞きに行く、という発表方式。

全体発表は全部で4回行ったのですが、回を重ねるごとに、話す方も聞く方もどんどん熱が入って真剣になり、積極的に変わっていったことが印象的でした。

最後には、『国際貢献のために自分にできること』を一人ずつ発表して閉会しました。

『国際貢献のために自分にできること』は下記のようなものが出ました。
・フェアトレード商品を買う(意見多数)
・教育者になる
・募金をする
・募金をして教材を買う
・自分がメッセンジャーになる(発信する)
・意見を持つこと
・留学生を積極的に受け入れる
・学園祭でSDGsを紹介する(パネル展示等)
・興味を持つこと→学校全体で取り組む
・正しく理解をする
・地元の食材を買う
・物を大切にする
・外国の学びを深め、交流する
・実際に現地に行って支援する
・正しい情報を理解し、発信する
・服のリサイクルをする
・青年海外協力隊になる
・お金持ちになって募金する
・国際理解を活かして平和構築をする

【画像】小さなことから一歩ずつ。行動に移していきましょう。高校生のみなさん、参加していただきありがとうございました。

(報告:市民参加協力課 清水)