【岩手県】山田町立豊間根小・中学校で「世界の教育展」を開催しました

2020年3月2日

オランダ島と山田湾

 三陸リアス式海岸を臨む山田町。牡蠣やホタテの養殖が盛んな町で、東日本大震災で大きな被害を受けましたが、現在は海原にたくさんの養殖いかだを眺めることができます。JICA東北は、昨年に続き山田町教育委員会と共催で、山田町内の中学校・小学校で「世界の教育展」を開催しました。また、盛岡市の岩手県国際交流センターにおいても「見てみよう!一緒に学ぼう!世界の教室」と題して企画展示を実施しました。

『世界の教育展』 in 山田町  

【画像】 今回山田町で展示をしたのは山田町立豊間根中学校と同豊間根小学校です。JICA岩手デスクが豊間根小学校を訪問して展示の様子を見てきました。正面玄関のホールに展示コーナーが設置されており、6年生が展示を見ているところでした。フィジー・ブータン・セネガル・グアテマラ・ガーナ・マレーシア・パキスタンの制服を比べて、同じ国でも宗教によって制服の形が違っていたり、気候によって生地の素材が違っていたりすること、また、日本の制服との違いに驚いているようでした。
 世界の教科書にも興味津々。言語が違うため読めないものの、イラストを熱心に見ている姿が印象的でした。「実際に見たり触ったりできる展示はいいなと思った。将来海外に行ってみたい!」と感想を教えてくれました。

世界は広いけど、世界は近い!       

世界の教科書に興味津々!

 豊間根小学校の佐藤 玲子副校長先生からは「玄関前のスペースに展示したので、児童のほか、来校された保護者などにも見てもらう機会となりました。視覚に訴える展示品は児童たちの学びが深まるものですので、今後も展示を活用したいと考えています」とお話しいただきました。 
 また、昨年に引き続き企画展示を担当して下さった山田町教育委員会主事の矢後 千紘さんは、青年海外協力隊経験者。「展示を通して児童や生徒たちに、開発途上国の子どもたちについて知ってもらいたいと思いました。世界には学校に通えない子どもたちもいますが、それでもただ〝かわいそう″や〝不幸せ″という捉え方で終わってほしくないと思っています。途上国の子どもたちの笑顔にも触れてほしい」と話してくれました。

ホンジュラスから届いた絵

 矢後さんは、協力隊として活動していた中米・ホンジュラスの子どもたちと豊間根中学校とのスカイプ交流や、それぞれの国を紹介した絵の交換などの交流を続けています。こうした取り組みにより山田町の子どもたちにとって世界が近くに感じられているようであり、また、青年海外協力隊経験者が多文化共生への理解の促進に寄与していると感じました。

『見てみよう!一緒に学ぼう!世界の教室』企画展示 in 盛岡     

【画像】 山田町での展示に続き、盛岡市のいわて県民情報交流センター(アイーナ)・岩手県国際交流センターで企画展示を開催しました。山田町で展示したJICA地球ひろばの展示品のほか、岩手県国際交流協会にあるオーストラリアの制服や東南アジアの教科書が加わり、先進国・開発途上国の教育制度の紹介も行いました。

【画像】 また、JICAの取り組みや、岩手県にゆかりのある教育分野の青年海外協力隊員の活動写真も展示。〝一緒に学ぼう″をコンセプトに、「より良い未来のために、私たちができること」などの質問やクイズに答えてもらいました。訪れた方の感想として「世界の教科書を見ることができて興味深かったし、制服の展示が面白かった」「世界の学校の色々な事が分かりました」など、今後についても様々なテーマで開催してほしいと要望がありました。

 

豊間根小学校

 2020年は東京オリンピック・パラリンピックイヤー。今回訪問した山田町は、以前から交流が盛んなオランダの『復興ありがとうホストタウン』となっています。また、教育展を行った豊間根小学校は国立教育政策研究所教育課程研究指定校事業の指定校として「外国語活動」に力をいれており、今後、海外との交流や学びの活発化が期待されます。
 今や手軽にインターネットで情報を手に取ることができますが、今回の展示と訪問を通して、実際に現地の物を触って感じることや交流する学びは非常に大切なことだと改めて実感しました。山田町、そして盛岡市でのこうした展示や取り組みが、いつか世界を訪れる、世界で活躍する、あるいは海外から日本に来る・住む外国の方々と地域を結ぶ「人づくり」のきっかけの一つになってくれることを願っています。
(報告:JICA岩手デスク 菊池)