【研修事業】ウズベキスタンにてフォローアップ調査を行いました:課題別研修「スポーツを通じた障害者の社会参加の促進」

2020年4月28日

ウズベキスタンでフォローアップ調査を実施

ワークショップ形式でアクションプランの実施状況を発表する帰国研修員

障害者協会で障害当事者の声を聴きました

JICA東北はこれまで、スポーツを通じた障害者の社会参加促進を目指して研修プログラムを実施してきました。本研修は毎年アジアやアフリカ、大洋州など幅広い地域の約10か国から10名以上の参加があり、約1か月にわたって東京都や岩手県などで研修を行っています。
ウズベキスタンからは2017年以降、障害者スポーツに関わる政策担当者や体育大学の教員など4人の研修員が参加。彼らの帰国後の活動を支援するために、2019年11月20日から12月3日に掛けて、一般社団法人コ・イノベーション研究所に委託し、ウズベキスタンでフォローアップ調査を実施しました。

フォローアップ調査の主な目的は以下の2つです。
(1)帰国研修員のアクションプラン(自国での活動計画)実施支援と彼らの能力強化-帰国研修員のアクションプランの実施状況を確認し、その活動を支援するための指導を行う。
(2)ウズベキスタンでの障害者事情や帰国研修員の活動現場から研修の改善策を検討する-ウズベキスタンにおける障害者の状況や、障害者スポーツ普及の実態、研修員の活動状況等を調査し、今後日本で実施する研修の質の向上につなげる。

誰もが参加できるスポーツの普及に向けてセミナーを開催!

シンポジウムで障害者が社会復帰に向かう心理的な過程について説明する講師

帰国研修員の協力の下、障害者を含めた誰もが参加できるインクルーシブ・スポーツの普及に向けたセミナーやシンポジウムをウズベキスタンで開催しました。インクルーシブ・スポーツとは、障害の有無や年齢、性別に関わらず、全ての人々 が参加できるスポーツを言い、子供から高齢者まで、障害がない人も重度障害者も一緒にプレーできることが特徴です。

ふうせんバレーを使って障害者や不安の強い人に対するスポーツ導入方法を学ぶ参加者たち

卓球バレーのルールや審判方法を学ぶ参加者たち

セミナーではインクルーシブ・スポーツである卓球バレーやふうせんバレーなどのスポーツの指導方法、障害者や不安の大きい方がスポーツで自尊感情を高める方法などについて講師から説明がありました。セミナーとシンポジウムには、体育教師や障害者施設職員など、のべ100名以上が参加し、全国放送の番組にも取り上げられるなど大盛況となりました。

国際普及部員認定証を授与された帰国研修員と日本卓球バレー連盟の堀川氏

シンポジウムの終盤には、調査団員として同行した日本卓球バレー連盟副会長兼普及委員長の堀川裕二氏より日本で研修に参加した研修員4名に卓球バレー国際普及部員認定証が授与されました。4名の帰国研修員はこれからウズベキスタンで卓球バレー普及に向けた旗振り役となることが期待されます。

帰国研修員のウズベキスタンでの活躍

療養所に設置されている卓球バレー室。壁には日本での研修写真がプリントされています。

調査の一環として、帰国研修員が長年ボランティアを行っている、高齢者や内部疾患者の療養所を訪れました。こちらの療養所では帰国研修員のショフルクさんが患者のリハビリテーションや職員のコミュニケーションツールとして、卓球バレーを導入しました。療養所院長は「卓球バレーは体のリハビリだけではなく、患者に笑顔が増え、心のリハビリにも繋がっている。次は患者の家族にも参加してもらおうと思っている。」と語りました。

帰国研修員たちは引き続き、日本で得た学びを活かして、スポーツを通じた障害者の社会参加の促進に向けて自国での取り組みを盛り上げていきます。(報告:JICA東北 井澤)